戦後民主主義が現代の「いじめ」を生み出した。教育界のタブーを突く。
humanさんの感想
2015年10月13日
●今回読んだ本は・・・? 「いじめ」の構造 です。著者は土居健郎氏と渡部昇一氏。私の記憶によると土居健郎氏は精神分析の権威フロイトから直接学んだ日本の権威です。 ●新しい視点の獲得 本の中の多くは「いじめ」と妬みについて考察しています。いじめのバックグラウンドに潜む妬みについてさまざまな角度から論じられていました。 しかし私が獲得した新しい視点はその部分ではなく、空間の問題です。 空間とはいじめが発生するあるいは実行される空間がどのような環境であろうか。環境の中でどのような性別構成であるかどうかです。 具体的には、共学の教室。男子校の教室。女子校の教室。いじめがもっとも発生するのは一体どこでしょうか。 ●もしその場が男性だけであったら彼はどのように振る舞っただろうか 女性の教師について回る問題 - 渡部 P120 という章立てがあります。中学生のクラスの担任が若い女性だった場合に中学生の男子生徒はその若い女性教師に自分がいじめ被害にあっている事を相談できるかどうかという考察です。 私は自分が男性だから想像できますが、若い女性の先生に相談することは出来ないもしくは難易度が高いと思われます。 性別が逆であれば相談できるでしょうか。若い男性の教師に女子生徒があっている不当ないじめの相談ができますか。 一方で、いじめが行われる環境でいじめ主体が男子生徒だったとしてそこに女子生徒がいる場合といない場合はどうでしょうか。たまたまいる、いないのケースではなく、共学だった場合。そして男子校だった場合を考えてみてください。 その視点は学校の中だけでなく大人が生息する実社会でも新たな視点として活きそうです。 ●それは女性蔑視やホモソーシャルと関係してくるのであろうか そのように考えると女性蔑視やホモソーシャルも問題にも関係してくると考えることも出来そうです。 彼はその場に女性がいたからその態度を取ったのか。そのように振る舞ったのか。もし女性がいなければそうしないのか。 それは女性蔑視なのか。ホモソーシャルなのか・・・。
上智大学名誉教授。英語学、言語学専攻。1930年、山形県鶴岡市生まれ。1955年、上智大学大学院修士課程修了後、ドイツ・ミュンスター大学、イギリス・オックスフォード大学へ留学。ミュンスター大学における学位論文「英文法史」で発生期の英文法に関する研究を発表。ミュンスター大学より、1958年に哲学博士号(Dr.Phil.)、1994年に名誉哲学博士号(Dr.Phil.h.c.)を授与される。文明、歴史批評の分野でも幅広い活動を行ない、ベストセラーとなった『知的生活の技術』をはじめ、『日本そして日本人』『日本史から見た日本人』『アメリカ史の真実(監修)』など多数の著作、監修がある。2017年4月、逝去。 「2022年 『60歳からの人生を楽しむ技術〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」