封建制の文明史観 (PHP新書 560)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569704708

作品紹介・あらすじ

封建制は民主制の反対概念として、悪しきものの形容詞にされてきた。しかし、歴史学的に検証すれば、正しい評価といえるのだろうか?十三世紀、蒙古軍の侵略をはね返した日本、西欧、エジプトでは、いずれも封建制が確立していた。また、近代化、産業資本主義も、封建制が根づいた地域から発展している。私たちは、封建制なる事象をどう考えてゆけばよいのか。福沢諭吉、梅棹忠夫、網野善彦、ウィットフォーゲルなど諸先学の学説を丹念に追いながら、歴史遺産としての封建制に光をあてた真摯な論考。

感想・レビュー・書評

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  • 封建制は一般的には否定的に語られる傾向があるように思うが、経済史あたりでは産業革命への基盤としてニュートラルな評価がなされている印象がある。本書では時代背景によって封建制が肯定的に評価されたり否定的に評価されたりする変遷が語られており、「封建制評価の歴史」といった学説史的要素がある。政治・経済のみならず社会・文化を学ぶ者にとっても有益である。

  • 「封建制」の内実研究史として有益かつ面白い本と思う一方、何とも微妙な読後感。前者に関し、①引用付きで学説を上手く拾い上げて簡明に研究史を解説、②大隈重信や島崎藤村の認識を利用し、史学研究者目線からだけの封建制解説としない点、③ウイットホーゲル、上原専禄、牧健二等一般に知られていないが、示唆に富む研究者を上手く紹介。後者に関し、本論と関係のない蒙古侵略実相を解説(ただし、これ自体は面白い。ドイツは氷結解け大河と城壁・籠城戦術が奏功。日本は神風ではなく、技術面で蒙古兵総数の上陸困難+防塁施設、水際戦が奏功)。
    2008年刊行。著者は都留文科大学学長。

  • 『封建制』。学校の授業では教わったが、実は解釈が様々あり学会では定義されていない言葉。前半では本書の定義を提示し活力ある時代であったことを示し、後半では、この言葉をめぐる政治学史が示されている。何気なく教わった言葉でも、持てる歴史と意味は深い。

  • 09/01/23 前半は興味深く読むことができたが、後半は封建制論の論争史的になり興味が殺がれた。
         しかし、今谷さんの本は知的刺激に溢れてる。

  • イマイチ。ただの学説の抜粋と羅列じゃん!
    ただウィットフォーゲルに興味を持てました。

    しかし、この本読むなら「文明の生態史観」を読むほうがよほどいいです。

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著者プロフィール

今谷 明(いまたに・あきら)
1942年京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得。文学博士。日本中世史専攻。横浜市立大学教授、国際日本文化研究センター教授を経て都留文科大学学長、現在、国際日本文化研究センター名誉教授。主著『室町の王権』(中公新書)、『武家と天皇』(岩波新書)、『象徴天皇の源流』(新人物往来社)、『近江から日本史を読み直す』(講談社現代新書)、『戦国期の室町幕府』(講談社学術文庫)、『日本中世の謎に挑む』(NTT出版)、『象徴天皇の発見』(文春新書)ほか多数。

「2019年 『文庫 中世奇人列伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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