- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569708935
感想・レビュー・書評
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戦国時代の思想家韓非の著作。諸葛亮孔明が劉備の亡き後、2代目劉禅読むように勧めた本でもある。徹底した人間不信の哲学。
ずっと読んでみたいと思いながら、やっと手にした。凄い。何が凄いって、全く人を信頼しない、いつでも殺されかねないという自己防衛の論理。イヤミスのような読後感。時代も時代、国も国、自らの子供を丸焼きにして提供するなんていう挿話もあり、臓腑に来る。
相手がそむかないことに期待をかけるのではなく、そむこうにも背けないような態勢を作る。ペテンを使わないことに期待をかけるのではなく、使うにも使えないような態勢を作る。ふむ。完全な性悪説、素晴らしい。
法と言う概念で人々を制度やルールで支配するだけでは足りず、術と言う概念で信賞必罰、登用によって人を支配する。信賞必罰の権限を臣下に任せてしまったら国中のものはその臣下を恐れて君主を軽視する。
君主が自らの心の中を見透かされてしまい、好き嫌いをはっきりと示せば、臣下は、その好みに沿って過剰と虚栄で動くようになる。
トップは手の内を見せないで黙って上に座っていれば良いが常に部下から注目される立場にあるので言動にはくれぐれも注意せよ。
現代にも通ずる啓蒙の書。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/50714 -
公と私のケジメをつけよ。「私」は、みずから(ム)を囲むもの、「公」はみずから(ム)に反するもの。
儒家のいう恩恵を尊重したり、ぼ墨家の主張する兼愛を信じるのは国を滅ぼす。
法と術による政治をめざせ。
君主は心のなかをみせるな。
刑徳、刑は罰を加えること、徳は賞を与えること。
トップは信賞必罰。えこひいきはダメ。公平。
部下の忠誠をあてにしてはならない。人は自分の利益のために動くもの。相手が背かないことを期待するのではなく、背こうにも背けない態度をつくりあげる。ペテンを使おうにも使えないような態度を作り上げる。これが大事。
君主と、臣下ではあきらかに立場が違う。それぞれの立場を守るためにどうするか。
適材適所に登用すること。法に抜け道を作らない。罰を必とすること。情け深いのは考えもの。
君主と臣下は利害を異にするから臣下の忠誠に期待をかけてはならない。
夫婦でも利害が対立する。神様からの賜り物があまりにも多いと妾をもつことを心配して、妻は多くを求める祈りをしない。
好きだからのめり込む、というのは人間的な弱さ。庶民はともかくトップには禁物。自らに厳しい自己コントロールを課さなければならない。
利益の追求は人間活動の源泉である。それによって人類は進歩した。しかし、やり過ぎることのマイナス、他とのバランスも必要。
「過ちて改めざる、これを過ちという」 -
人の上に立つものは人を使える人物
そのために「賞と罰」をもつ
そして人を見抜く
人の本質は「悪」そして「利」
この二点を活用することが支配できる -
倫理だけでは人はうごかない。人は権力、暴力、利益が絡み合って動くものだ。孔子の弟子たちは結局、官僚組織を作り、自らの保身を図るばかりだ。それならばいかに官僚組織を動かしていくかと考えるべきではないかというわけだ。
故事成語を引き、事例をもとにして論を進める。君主が大臣をいかにうごかすべきか、大臣は君主といかように接していくべきかということを2500年前からの研究であるが、今もかわらなぬ真理だ。 -
守屋洋氏らしく読みやすい解釈です。
原文と読み下し文が掲載されているので使いやすい本です。