逆境に強い心のつくり方 システマ超入門―ロシア軍特殊部隊が生んだメソッド (PHP文庫)
- PHP研究所 (2013年6月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569760223
作品紹介・あらすじ
ほんの十数年前まで国家機密とされてきた旧ソ連発の訓練法「システマ」を用いた健康増進法・メンタル強化術をわかりやすく紹介する。
感想・レビュー・書評
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逆境に強い心のつくり方
システマ超入門―ロシア軍特殊部隊が生んだメソッド
著:北川貴英
PHP文庫 き 28 1
こころの鍛え方というか、ソ連の武道である、システマの解説書でした。
システマとは、ソ連の特殊部隊で生み出された軍隊格闘技で、ソ連崩壊後に、カナダのトロントに設立されたスクールから西側に広がったものとする
コサックが伝え残した武術が源流とあります。
システマの原則は4つ
①呼吸 ⇒ キープ・ブリージング
②リラックス ⇒ キープ・リラックス
③姿勢 ⇒ キープ・ポスチュア
④動き続ける ⇒ キープ・ムービング
キーワードは4つ
①恐怖心のコントロール(自らの能力を殺いでしまう最大の要因)
②キープ・カーム(なぎの状態)
③回復(短時間で気力と体力を回復させる)
④己を知る
呼吸法 武道に共通 複式呼吸、ゆっくり吸って、ゆっくりと吐く
歯のないナイフで、ナイフの恐怖をとりのぞいて練習する
勝ち負けではなく、いかにダメージを軽減できるかを重視
敵をつくらない
他者による精神的なストレスが迫るなかで、いかにして、冷静さとリラックスを保っていくかを練習する
動揺を修めるのではなく、さらに回復する
特別な精神状態を獲得するのではなく、普通の人ととして、余計な緊張がない状態を保つ
みぞおちに指を入れて身体の緊張をセルフチェック
無駄な遠回りや動きを徹底的に排除することで、最小の力で最大の効果をあげる
⇒ 呼吸法といい、力の使い方といい、当然ながら、武術には、共通なところが多いと感じました
CONTENTS
はじめに
CHAPTER1 ロシア軍特殊部隊ご用達システマとは?
CHAPTER2 揺るがぬ心「キープ・カーム」という鉄則
CHAPTER3 強く快適な身体をつくる四原則
CHAPTER4 争いを終わらせるマーシャルアーツ
CHAPTER5 自由な発想で身を守る
CHAPTER6 なぜ誰にでもできるのか?
CHAPTER7 日常に活かせるテクニック
CHAPTER8 もっと知りたい!システマの世界
ISBN:9784569760223
出版社:PHP研究所
判型:文庫
ページ数:288ページ
定価:760円(本体)
発売日:2013年06月19日第1版第1刷詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
北川さんのシステマ本の中で最もよくまとまった入門書。他書も含めて著者が語るエピソードに度々登場するマスターたちの写真がまとまって掲載されているのもうれしい。
システマのブリージングは肉体的な護身術にとどまらず、精神的なトラブルと伴う人間関係全般に亘って利用できるとてもベーシックなメソッド。「何かあればまず呼吸」という習慣は単純なだけに身につけやすいし、その効果も極めて高い。本書は「ブリージング」プロパーの解説にとどまらず、格闘術をも含めたシステマ全般について浅くではあるものの広い範囲で触れている。日本の武術と比較することによって浮かび上がってくる思想もまた興味深い。
システマの練習で使うナイフやチェーン、ハンドガンといった物騒な武器についても解説しているが、これもなかなかお目にかかることは滅多にないだろう。読んでいるだけでも痛さが伝わってくる…。武器あるいは道具についての考察は、自分と「モノ」との関係において考える機会を与えてくれる。自分には何ができて何ができないのか。それを補うためにいかなるモノに頼るのか。それに依存することによって何が失われるのか。こうした「発見」も幅広い情報に接することによって生まれてくるものである。
「呼吸」というか「意識的な呼吸」の効果は「平静」を保つこと。「勝つ」ためにはテンションを上げる必要がある、と考えることもできるだろう。しかし、テンションを上げるのは「勝つ」ためというよりも、見る側にとってもやる側にとっても「面白くする」ためなのではないだろうか。また「勝つ」ことが必ずしも自分の身を守ることにはならない。これはよく言われる格闘技あるいは武術とスポーツを考えるうえで大きな要素であるように思う。
「まず呼吸」という考え方はどこまでも広がりを持つもの。あらゆる行為における「呼吸」のポジションを位置づけることは、その分野を深く知ることに多大な貢献をすることになるはずである。