- Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569760964
作品紹介・あらすじ
バラバラになった家族が「家族」を演じることで家族に戻れるのか? 集められた役者は全員家族!? 特異な設定のもと、撮影が始まる!
感想・レビュー・書評
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かなり変則的だけど、間違いなく家族の物語。
読み終わって温かい気持ちになれる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
破天荒な私生活が故に家族は崩壊した名優・笠松市朗の最後の映画は、愛した家族の共演による『家族』の映画。各人が秘密にしていた真実の爆弾を抱えて撮影が始まる。現実と虚構が複雑に入り交じる家族小説。
本当の家族が映画の為に家族を演じるという設定が秀逸。ドキュメンタリーでもなくドラマでもなく、演じることが日常となる時間の経過が、とても貴重で美しく輝かしい。読み終えた後に深い余韻を残してくれる。 -
なんといっても舞台設定が最高にいい。
家族の微妙な機微を書くのはもともと得意な小路氏だけに、これだけの舞台が整えば面白くならない筈がありません。抜群の一冊でした。 -
映画化を意識したのかなと思わせる作品でした。
とある家族が、ままの家族を演じる映画を取るという物語。
視点の切替わりはとても面白いが、全体としては内容がいまいち薄い。 -
昭和の夏に一瞬吹く清涼な空気のようが雰囲気が感じられた。しかしストーリーには入り込めなかった。
昭和の名優が相次いで亡くなった。今は亡き長門裕之が痴呆を患い幼女の様に死んで行く南田洋子を支えるの姿が、ドキュメンタリーとして放映されていた。そのドキュメンタリーには苦しみ・悲しみと愛が映され、いつしか長門裕之と同化する自分がいた。
しかし本作では、誰しもがカメラを意識し、演技し、計算し、スマートな振る舞いしかしていない。登場人物の誰とも同化もできず共感も覚えなかった。
一郎、睦子、真理の過去を爆弾として仕込むことで家族の陰に仕立て言葉だけの恨みを述べるも、お互いを名優と持上げ、敬愛し合っている姿にドラマ性を感じない。はたして爆弾は上手く処理されたのか?みな不発弾だったのか?一郎、睦子、準一は設定に対し、若く書きすぎていないか?一郎は役に入り込むために人間関係を同じように築いたとある。映画は時間の進みの通り撮影されるわけでなく、時として役者でもストーリーの進みがわからなくなるほどにバラバラに撮影される。シーン毎のシチュエーションを理解しその場の人間関係を表現できて名優ではないのか?監督も親族かもの伏線はどこへ行った?
それとも期待し過ぎたのか? -
2014.3.15読了
家族だった人と家族になる人とが共に生活する様子を撮影する映画である。それぞれに思いがあり、それぞれの振る舞いから思いを感じ取るという見方が面白い。お互いが心を補いながら生活しているのがいい。そして、共通する思いがあるのも素敵なところ。
すごいのは、それを全てまとめた小路さんだと思う。最後お父さんのなくなるところがもっと丁寧に書いて欲しかった。 -
バンドワゴン以外の小路作品は、いまいちのめり込むことができないのが残念。
でも文章はとても読みやすく、この物語に関して言うと、会話文だけでもストーリーが成立しちゃうほど。そして、流れる空気がとても温かいです。 -
台本風小説。
役者として、家族としての微妙な振る舞い方が面白かった。 -
東京バンドワゴンもそうだったけど、配役を妄想しながら読んだ。
皆のかかえる過去や現在の秘密(爆弾)が明かされつつ話が進む。
俳優一家の終の物語。