ラプソディ・イン・ラブ (PHP文芸文庫)

著者 :
  • PHP研究所
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569760964

作品紹介・あらすじ

バラバラになった家族が「家族」を演じることで家族に戻れるのか? 集められた役者は全員家族!? 特異な設定のもと、撮影が始まる!

感想・レビュー・書評

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  • かなり変則的だけど、間違いなく家族の物語。
    読み終わって温かい気持ちになれる。

  • 破天荒な私生活が故に家族は崩壊した名優・笠松市朗の最後の映画は、愛した家族の共演による『家族』の映画。各人が秘密にしていた真実の爆弾を抱えて撮影が始まる。現実と虚構が複雑に入り交じる家族小説。
    本当の家族が映画の為に家族を演じるという設定が秀逸。ドキュメンタリーでもなくドラマでもなく、演じることが日常となる時間の経過が、とても貴重で美しく輝かしい。読み終えた後に深い余韻を残してくれる。

  • なんといっても舞台設定が最高にいい。
    家族の微妙な機微を書くのはもともと得意な小路氏だけに、これだけの舞台が整えば面白くならない筈がありません。抜群の一冊でした。

  • 映画化を意識したのかなと思わせる作品でした。

    とある家族が、ままの家族を演じる映画を取るという物語。
    視点の切替わりはとても面白いが、全体としては内容がいまいち薄い。

  • 昭和の夏に一瞬吹く清涼な空気のようが雰囲気が感じられた。しかしストーリーには入り込めなかった。

    昭和の名優が相次いで亡くなった。今は亡き長門裕之が痴呆を患い幼女の様に死んで行く南田洋子を支えるの姿が、ドキュメンタリーとして放映されていた。そのドキュメンタリーには苦しみ・悲しみと愛が映され、いつしか長門裕之と同化する自分がいた。
    しかし本作では、誰しもがカメラを意識し、演技し、計算し、スマートな振る舞いしかしていない。登場人物の誰とも同化もできず共感も覚えなかった。

    一郎、睦子、真理の過去を爆弾として仕込むことで家族の陰に仕立て言葉だけの恨みを述べるも、お互いを名優と持上げ、敬愛し合っている姿にドラマ性を感じない。はたして爆弾は上手く処理されたのか?みな不発弾だったのか?一郎、睦子、準一は設定に対し、若く書きすぎていないか?一郎は役に入り込むために人間関係を同じように築いたとある。映画は時間の進みの通り撮影されるわけでなく、時として役者でもストーリーの進みがわからなくなるほどにバラバラに撮影される。シーン毎のシチュエーションを理解しその場の人間関係を表現できて名優ではないのか?監督も親族かもの伏線はどこへ行った?

    それとも期待し過ぎたのか?

  • さすが、小路幸也。登場人物のキャラもたっていて、彼らが織り成す家族の情景も美しく、物語中に挟まれる挿話も読み応えがあってすばらしい。王道「東京バンドワゴン」だけじゃない、少々癖のある家族の肖像を描かせても上手いなぁ、とうなってしまう。

    と褒めちぎっておいて、落とすようなことを書く

    読後、「この映画観たい。彼ら(登場人物)の演技を観たい」と思ったのもつかのま、ふと考えた。

    自分たちの現在過去振り返り、役者として自分自身を演じる。そのことを彼らはなんだか高尚なことのように思っている節があるが、それってある意味多重人格にもなりうる逃避行動じゃないのか?
    そりゃまぁ、彼らは根っから役者なんだからそれでいいのかも知れんが、そんなリ映像を観客に観せるってのは、それはそれでちょっとはしたない行為じゃないのか?

    オモロい小説だと思う。小説だから良いのだと思う。こんな映画が出来たとして観に行くかどうか、観てオモロいかどうかはまた別問題だと思った。

  • 2014.3.15読了
    家族だった人と家族になる人とが共に生活する様子を撮影する映画である。それぞれに思いがあり、それぞれの振る舞いから思いを感じ取るという見方が面白い。お互いが心を補いながら生活しているのがいい。そして、共通する思いがあるのも素敵なところ。
    すごいのは、それを全てまとめた小路さんだと思う。最後お父さんのなくなるところがもっと丁寧に書いて欲しかった。

  • バンドワゴン以外の小路作品は、いまいちのめり込むことができないのが残念。
    でも文章はとても読みやすく、この物語に関して言うと、会話文だけでもストーリーが成立しちゃうほど。そして、流れる空気がとても温かいです。

  • 台本風小説。
    役者として、家族としての微妙な振る舞い方が面白かった。

  • 東京バンドワゴンもそうだったけど、配役を妄想しながら読んだ。
    皆のかかえる過去や現在の秘密(爆弾)が明かされつつ話が進む。
    俳優一家の終の物語。

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

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