指導者とは何か (PHP文庫)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569763385

作品紹介・あらすじ

組織の命運を決めるのは、指導者の素質と才能である――。武士道から聖書まで精通した哲人政治家にしか語りえない、至高のリーダー論。

感想・レビュー・書評

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  • 歴史上重要な時期に,正真正銘の「哲人政治家」といえる人物を戴いた台湾は幸せな「国家」だと思いました。

    アジアには,経済的にちょっと成功しただけで図に乗り,「我が国は大国」と恥ずかしげもなく言ってしまうような国もあります。そういった国とは一線を画し,苦しい国際情勢に負けず台湾は着実な成長を遂げています。

    李登輝さんが素晴らしいのは,台湾の政治・文化・教養などの成熟度を正しく見極めて,身の丈に合った形で国家国民を導いていったことです。正しく現状を認識し,未来を見据え,守旧派の抵抗に負けず正しい行ないを続けることができたのは,彼が神に対する厚い信仰心を持っていたからでした。

    「自我の否定の上に立った他者の肯定」は,人間として究極の目標かもしれませんが,努力してゆきたいものです。

    李登輝さんがこれからも元気に過ごされることを,心から祈っております。

  • 死生観と運命感
    日本の神道には、キリスト教のもつ現在という概念がない。なくても自らの姿を顧みる。絶対神による救済を求める必要がないということは、強靭で自立した精神が宿っているとも考えられる。
    公明正大
    広義とは、私利私欲を捨て、全体の全体の幸福のために尽くすことである。
    権力を持つ指導者は、公私の別をはっきりし、部下の処遇については、私情に流されず、明快に評価しなければならない。
    権力とは、困難な問題の解決や理想的計画を執行する道具に過ぎない。それを一時的に借りたに過ぎない。「私は権力でない」と常に戒める必要がある。
    伝統がもたらす信念
    指導者は新しい時代にあっても、伝統的な価値観を捨ててはならない。
    日本の伝統的な思想や美意識をないがしろにした結果それまでの日本になかった極度に物質的な価値が広く支持されるようになってしまった。
    危機に関する心構
    ふりつもる み雪にたへて いろかへぬ 松ぞををしき 人もかくあれ 「昭和天皇の御製」正しいことを行うには、忍耐力によって導かれた大きな勇気が必要なことをさしている。

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著者プロフィール

1923年台湾生まれ。元台湾総統。農業経済学者。米国コーネル大学農業経済学博士。京都帝国大学農学部在学中、終戦のため学業半ばで帰台。台湾大学に編入し卒業。米国アイオワ州立大学大学院を経て、台湾大学教授。71年に国民党入党、72年行政院政務委員として入閣。台北市長、台湾省主席などを歴任。84年に蒋経国総統から副総統に指名される。88年蒋経国の死去にともない総統に昇格。96年台湾初の総統直接選挙で当選し第九代総統に就任。2000年任期満了で退任。07年第1回後藤新平賞受賞。20年7月30日死去、享年97。

「2021年 『人間の価値 李登輝の言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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