夢幻花(むげんばな) (PHP文芸文庫)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569765600

感想・レビュー・書評

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  • 朝食中に「わかっちゃいるけどやめられな〜い」と口づさみ、駅で妻子が見送りする朝の情景に微笑ましく思っていたらいきなり殺された。読書開始数分の出来事 笑。数頁読んだだけで心を釘付けにされた。遠い過去の話?と匂わせるように余韻を残し、本筋が始まる。

    黄色いアサガオが特別な花だとは読んでいてすぐに分かっても、事件や人物との繋がりは中々明らかにならない。蒼太梨乃、早瀬が秋山周治殺害事件の真相に迫る中、謎めいた動きをする要介と突然現れては消える伊庭孝美がまた謎でした。

    伏線はキレイに回収され、本筋と関係ないと思っていた原発と水泳の話もそれぞれの決意に繋げていてさすがと思いました。

    今、自宅の玄関には子供が小学校から持ち帰ったアサガオが綺麗に咲いています。表紙のイラストはとても綺麗で目を引き、ストーリーも夏にぴったりの作品でした。

  • 私自身は華のない人なんで(⌒-⌒; )
    花なんて、全然知らん…
    黄色のアサガオってないんや?ない事自体知らんかった…過去にはあったらしいけど。
    (事実なんか、フィクションかは分かりません!)
    何か青い薔薇の話は聞いた事があるような…
    話は、おじいちゃんが、殺されるんやけど、黄色いアサガオが関連してる?
    そのアサガオって何やねん?
    色んな人が、別ルートで、バラバラにアサガオに関して動いてる…
    バイオテクノロジーとか、昔あってなくなったとか…
    え?どういう事?
    何なん?アサガオと殺人がどう関係してんの?って「???」の嵐…
    黄色いアサガオ作ったら、お金になるんか…
    どうせ東野さんの事やから、キッチリ回収してくれるんやろな!と思いながら…
    やっぱりキッチリ回収してくれました!私の予想とは違うけど(^_^;)
    400ページを超える作品やけど、一気に読めました!

    「世の中には、負の遺産というものがある。それが放っておけば、消えてなくなるものなら、そのままにしておけばいい。でも、そうならないのなら、誰かが引き受けるしかない。」
    それが、花と原子力か…

  • ひとりの老人の殺人事件から関わるとされる黄色い花。
    そこに纏わる人間関係。過去の痛ましい事件。
    それが意外なかたちで関係してきて。
    バラバラに思われた様々な出来事が終盤にかけて繋がる様。
    読んでいてある種の爽快感がありました。
    とても面白い作品でした。
    結末もそれぞれが爽やかに終わったかと思います。

  • 面白いです、隠れた名作ですね。
    とにかく、前半でバラバラと全く関係ないかのような話しの展開、起きる事柄や人物が、最終的に一本に繋がっていくという構成、内容が見事ですね。なるほどなるほどそれでそれでと次から次に繋がり始めてきて、ページをめくる手が止まらなくなります、特に後半にかけて。
    相変わらず読みやすく楽しめる東野作品、好きです、この後もまだ未読の作品を読み漁っていきたいと思います。

  • 「黄色いアサガオだけは追いかけるな」

    この世に存在しない禁断の花をめぐって
    真実が少しずつ明らかになっていく。

    『夢幻花』はもともと月刊誌『歴史街道』に2002年から2004年にかけて連載されていた作品らしく、この連載終了後に10年の時を経て、発刊されたそう。
    長い時間をかけて改稿されただけあるストーリーと圧巻の伏線回収でした。

  • 色んな伏線がしっかりと全て回収されていき1つの結末に収束していくのに東野圭吾の緻密さを感じた。

    梨乃という殺された老人の孫と、大学院生の蒼太のコンビと刑事の早瀬の視点で物語が進んでいく。それぞれの背景、視点をしっかりと描きつつもそれを煩雑にならないようになっており非常に読み進めやすい。
    長さが気にならない一冊だった。

  • 謎の花をめぐり人々の思惑が様々に交錯するヒューマンミステリー小説。
    主人公の梨乃と蒼太は、この世には存在しない黄色い朝顔をめぐる大きな闇に挑むストーリーであるが、最初はお互いに疑いを持ちながらも行動を共にする内にお互いに信頼死遭うところがとても良かった。また蒼太の家族が隠す秘密で蒼太に対してややよそよそしい部分や秘密を隠していて、最初は気持ち悪いなぁと思いながら見ていたが、読むにつれて父・母・兄の覚悟によって裏打ちされた物であると言うことが分かりとても格好良かった。
    宿命に自分の身を預ける主人公サイドと、そのようなものが無い事で道を踏み外してしまった犯人の対比がとてもはっきりしていて素晴らしい、深いストーリーだと思いました。

  • 2004年月刊誌から書き下ろし2013年5月作品
    著者は世相を反映した作品作りをするため、約10年前を
    思い出して読んでみた。

    読んでいくと、上手く誘導される。
    音楽とドラッグ(花)
    原発問題と永年の課題(ドラック犯罪)というところか?

    あと、取り調べ=カラオケボックス、映画「ショーシャンクの空に」千葉は他の作品も出てくる。忙しくて混同?

    丁度、上野に行ったが、駅が綺麗になっていたので
    おどろいた。コロナでしばらく行ってなかった。

  • まったく関係のない数々のピースが散りばめられて、それがひとつづつハマっていくのはやはり気持ちいい。そして、東野作品は推理だけでなく、いつもいろんな要素が組み込まれている。

    天才が身近にいることのつらさ。何でも起用に出来てしまうけど、飛び抜けた才能かないことの無能感。
    底なし沼でもがくような、ドラッグの怖さ。
    正義感の使い方によっては、身を滅ぼしてしまうこと。

    そして、負の遺産を引き継ぐ人が世の中にはいてくれて、その人たちのおかげで平和に暮らしているということ。知らなかったことを知る事ができた。 

  • ちょっと登場人物が多かったけど、ぐいぐい引き込まれた。
    恵まれているように見える人でも、みんな何かしらの悩みは抱えているっていうことを意識して人と接しようと思った。
    これは小説だけど、負の遺産に向き合って、受け継いでいる人もいるんだろうと思った。

著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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