鯖猫長屋ふしぎ草紙(二) (PHP文芸文庫)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569766829

作品紹介・あらすじ

鯖猫長屋に取り壊し騒ぎが起き、慌てる住人達のもとにやって来たのは……。長屋で一番偉い猫サバが主役の謎解き&人情シリーズ第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 鯖猫長屋ふしぎ草紙、シリーズ2作目。
    並外れた猫サバが謎の解決を導きます。

    江戸の根津にある棟割り長屋で、一番偉いのが猫のサバ。
    白地にサバ柄と茶色が少し入った美猫で、賢く堂々としています。
    飼い主は売れない絵描きの拾楽(しゅうらく)。訳あって住んだ長屋にはすでにサバがいて、サバの方が何かと威張っているのでした。

    住人が減った鯖猫長屋に存続の危機が…!
    新しい家主が現れる?
    そんなところへ、団扇売りの新入りが。

    戯作者の豊山の様子がおかしい。
    人気者過ぎて仕事に集中できないため、引っ越してきたのだが…何かにとり憑かれている?
    拾楽は関わりたくなくとも、引っ張り出される羽目に。

    見た目は優しげだが人と深く関わろうとしない拾楽。
    若気の至りで義賊「黒ひょっとこ」だったことを隠し、身を潜めて生きているのだが、同心の掛井に見抜かれていました。
    「成田屋」とあだ名される濃いめの美男で勢いがある掛井だが、実は腕っぷしは立たないので拾楽の方が強かったり。
    しだいに、いいコンビになっていく様子。

    翡翠の玉の持ち主を探すことになったり。
    かわいらしさと切なさもありのお話。
    長屋の住人達も様々で、隣のおてるはしっかり者、若いおはまはけなげ、その兄はちょっとうっかり屋。
    子猫のさくらも登場。
    1作目では、話がどういう方向へ行くのか。わからないところがありましたが。なるほど…
    安定の面白さになって来てます☆

  • 新入りさんが入居したり
    家主さんが変わったりと相変わらず落ち着かない鯖猫長屋。
    ピンチの時のお節介も健在で変に肝が座ってしまって団結力が増したようで微笑ましい。
    今回は猫の「サバ」も子分を引き連れたり新入りの面倒を見たりと大活躍だった。

    縦軸の語りから、黒幕は早々に検討がつくが
    「サバの大将」と猫の先生のやり取りや長屋の人たちや長屋を取り巻く人々の暮らしがいきいきと描かれていて読みやすい。

    お節介で、優しくて粋な人たちの続きも気になるので次の巻も、また買ってこようと思う。

  • シリーズ第2弾
    店子が出て行って、取り壊しになる危機の「鯖猫長屋」を買い取ってくれた、何やら、いい人っぽい、新大家。
    訳ありの色男が、新しい店子となり、今回も、いろいろ、揉め事が、出来。

    「黒ひょっとこ」に、恨みを抱く男が、偽「黒ひょっとこ」を作り、本家の名前を落とそうと、企てる。
    他の店子に迷惑を掛けてはいけないと、長屋を出る覚悟で、捨楽が、偽物に、挑む。

    長屋のみんなに、慣れることに、恐れながら、受け入れられている事が、密かに、嬉しい捨楽が、微笑ましい。

    長屋で一番偉いのは、猫の《サバ》
    機嫌の良い時には、「なーお」と、可愛いく鳴く。
    榛色の眼をした、猫の目も、人の目も惹く、雄の縞三毛で美猫。

    榛色・・
    一体、どんな色だろう。

    調べてみました。
    茶色がかった薄い黄土色系の色。
    やや灰色にくすんだあかみの黄色。
    あら、ますますわからない。

    Wikipediaには、
    シェークスピアが「ロミオとジュリエット」の中で、hazel eyes という表現を用いたことを、嚆矢として、英語圏では、ある種の瞳のいろを指して、hazel と、呼ぶことがおこなわれてきた。と。

    セイヨウハシバミという別称を持つ、ヘーゼルナッツ色に由来する。とも。
    ヘーゼルナッツって、そんな色だったかなぁ?
    まぁ、美味しいから、いいか。

  • 鯖猫長屋の画師・拾楽と長屋を仕切る猫のサバ。
    人情あり、怪異あり、ミステリーありの時代劇連作短編集、第二弾。
    其の一 色男、来る・・・鯖猫長屋存亡の危機に、長屋を買い取る
     者が現れる。一方、入居した団扇売りの涼太には難儀な事が・・・。
    其の二 戯作者、憑かれる・・・ニセ「黒ひょっとこ」が与えた
      金が原因で、大工一家に禍が。戯作者豊山から頼まれる拾楽。
    其の三 猫描き、預かる・・・拾楽が預かった翠の玉の持ち主は、
        三人の内の誰か?ちょっぴり怪異だが犬の話が秀逸。
    其の四 縞三毛、世話を焼く・・・ニセ「黒ひょっとこ」の正体を
        暴くために動く、拾楽と掛井。
        ちょっとした過ちが家族と人生を狂わせてしまう怖さ。
    画師・拾楽と猫のサバのコンビが活躍する、時代劇の2冊目。
    最初の1冊は7つの話でしたが、今回は4つ。
    各話の奥行きが深くなりました。そして、裏に潜む謎を示す、
    各話の冒頭にある“問わず語り”も効いてます。
    成田屋こと定廻り同心の掛井は、この巻で男振りが向上。
    元・盗賊の拾楽と良いコンビとなってきました。
    相変わらずの、長屋のまとめ役おてると差配の磯兵衛。
    新登場の深川の主と手伝いの太市は今後の登場が楽しみです。
    個性豊かな登場人物に、猫たち。
    サバの力量は1冊目以上に発揮されていますね。
    そして其の四最後の後日譚となる長屋の今後と其の三の後始末。
    これまた良かった!続きを読みたくなってしまうじゃないの(^^♪

  • 子猫の名前が、
    「小サバ」→「おまめ」と来て「さくら」になった。肉球が桜色だから、さくら。
    もし、自分が猫を飼うなら「おまめ」にしようと思う。
    今回の黒幕はちょっと微妙な感じだったが、世の中そんなに勧善懲悪ばかりではないと思い直す。
    悪人には悪人たる背景と理由がある。

  • 鯖猫長屋のミステリー冒険譚、第二弾。
    楽しく読んだ。
    ちょっともどかしさを感じるのは相性なのかも。

  • 黒ひょっとこの正体と黒幕は予想どおり。同情はできないけど、気持ちは理解できる。心地良く読み終えました。
    子猫が新たに加わり、今後も楽しみ。「さくら」もかわいいけど、「おまめ」も愛嬌がある。

  • シリーズ第二弾。猫のサバを含め、登場人物のキャラが立っていて面白い。著者は猫好きなんだろうな~。ユーモアもあって、拾楽のぼやきや成田屋の旦那との掛け合いにはクスリと笑ってしまう。時代劇ライトミステリーって感じで、時代物をあまり読まない方も楽しめそうなシリーズ。気に入ったので次巻も読もう。

  • 猫が可愛い、ではなく、えらい。
    この変わった関係もすっかりなじみました。

  • 其の一 色男、来たる
    其のニ 戯作者、憑かれる
    其の三 猫描き、預かる
    其の四 縞三毛、世話を焼く

    かつての黒ひょっとこを知る人物が打ち明け話で語り、本編は長屋の人々に色々困難が降りかかる。
    短編だけど繋がりがあって面白かったです。

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著者プロフィール

作家

「2022年 『鯖猫長屋ふしぎ草紙(十) 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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