岡本太郎 (PHP新書 617)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569771472

感想・レビュー・書評

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  • ●大阪万博 6400万人は史上最高 迷子48000人救急車11000回
    ●なぜ岡本太郎だったのか。小松左京や梅棹忠夫といった人たちが、「太郎さんしかいない」と押していたこと。桑原武夫も。
    ●太郎さんは、1937年のパリ万博「ゲルニカ」を見た万博を知っていた。
    ●人類は進歩なんかしていない。なにが進歩だ。縄文土器の凄さを見ろ。ラスコーの壁画だって、ツタンカーメンだって、いまの人間にあんなもの作れるか!
    ●1954年 今日の芸術
    今日の芸術は、うまくあってはいけない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない。

  • はじめに 
    第1章 突き立てられた太陽の塔 
    第2章 反博の巨像 
    第3章 「岡本太郎」の誕生 
    第4章 日本人を呼びさます 
    終章 そして太陽の塔だけが遺った 
    おわりに 
    引用元一覧 
    岡本太郎にもっと触れたい人へ

  • 「太陽の塔」はなぜ取り壊されなかったのか?

  • 1970年の大阪万博のテーマ・プロデューサーとなった岡本は、会場中央の「大屋根」を突き破る「太陽の塔」の建設を決めます。そこに著者は、「人類の進歩と調和」をテーマとし、19世紀以来「啓蒙」の精神に基づいて開催されてきた万博の中心に持ち込んだ、岡本の反逆精神を見いだしています。

    さらに、古い権力構造が維持されたままの日本の芸術界に殴り込みをかけ、ピカソの芸術主義の限界を超えて、ついには自分自身が新たな権威となることを拒否して道化を装うようになるまでの軌跡がたどられます。

    岡本太郎の仕事を身近で見てきた著者の体験を通して、岡本太郎という芸術家の桁外れのスケールが伝わってきます。

  • 大阪万博のテーマプロデューサー岡本太郎。東京オリンピックに続く世界に向けた国家プロジェクトの背景と「太陽の塔」に込められた意味を詳細に解説。現在の社会では成立しないようなエピソードの数々に驚く。太郎の魅力が伝わる。

  • 1970年の大阪万博開催中、ご多聞に漏れず大阪府の南端にあるわが家にさえ親類縁者が押し寄せた。当時3歳だった私も親に連れられて万博会場を訪れたはずだが、実は万博については何一つ記憶がない。太陽の塔を制作した岡本太郎についても、正直「なんや変なおっちゃん」という印象しかなかった。ところが、最近になって岡本太郎『原色の呪文』(文藝春秋)を拝読、そのあまりに多彩な言説に魅せられてしまった。著者の平野暁臣氏は、岡本太郎記念館館長。太陽の塔は、「人類の進歩と調和」という万博の基本理念に反逆し、むしろ生命の始原に還れという強烈なメッセージを突き付ける。万博の内部にあって万博に反逆するまさに「異物」なのである。岡本太郎は「ベラボーなもの」と表現していたそうだが、大阪人としては「ケッタイなもんつくりよったなあ」というところか。そしてその「ケッタイなもん」はいつまでも我々の前に屹立しているのだ。

  • 太陽の塔になぜ惹き付けられるのか。小さい頃から何度も見に行った太陽の塔。その秘密に迫ることができた。これからも足を運び続けるだろう。

  •  41年前の大阪万博で大屋根を突き破った「太陽の塔」。そのエピソードを中心に,岡本太郎の魅力に迫る。ベラボー,祭り。NHKドラマもなかなか面白い。震災で中断されていたけど再開した模様。著者は岡本敏子の甥だという。敏子は岡本の秘書だが,形式主義を嫌う岡本は彼女と結婚することなく養女にした。芸術家の考えることはよくわからんな。
     近美で岡本太郎展がやっているらしい。家族で行こうかなと思案中。太郎は「こどもが彫刻に乗りたいといったら乗せてやれ。それでモゲたらオレがまたつけてやる。」と言う人だったらしいがホントに乗れるのか?まさかね。

  • 2008年、渋谷駅にある『明日の神話』をはじめて見てからすっかり岡本太郎の虜である。クリエイティブな仕事をしているにもかかわらず、芸術にはあまり興味を持てず、初めて絵を見て感動した作品だ。
    それから南青山の岡本太郎記念館にも行き、川崎市の岡本太郎美術館にも行った。その後本書に出会った。
    ずいぶん前に購入して放置していたのだが、今年彼が生まれて100周年ということで、国立近代美術館での岡本太郎展に出向き、さらにはその翌日には大阪千里の『太陽の塔』を見てきたので、本書もようやく読むに至った。

    本書は、岡本太郎がなぜ太陽の塔を制作したのか、そしてなぜそれだけが現在も残っているのかにフォーカスを当てた内容である。太郎自身がその理由を語ったわけではないので、すべてが推測である。しかしもっとも彼の近くにいた人間の一人である、敏子の甥っ子が書いているので大方その推測は合っているものだと考えたい。

    印象に残った部分を引用しておく。

    岡本太郎氏は自身の展示物をガラスケースに入れることを極端に嫌っていた。できあがった作品は誰のものでもなく、他者すべてのものだと考えているからだ。つまり、所有するものではないと考えているのだ。ケースに入れて展示しないために国立近代美術館で作品を切られる事件も起こったそうだ。それを踏まえ

    P.166「切られて何が悪い!切られたらオレがつないでやる。それでいいだろう。こどもが彫刻に乗りたいといったら乗せてやれ。それでモゲたらオレがまたつけてやる。だから乗せてやれ」

    と言ったそうだ。彼の芸術観とはそういうもので、現在の渋谷駅の『明日の神話』もケースに入れずに裸で展示されているそうだ。

  • 岡本太郎って、ただの芸術家だと思ってたけど、そんなもんじゃない。思想家と呼ぶ方がよりふさわしい。というか、呼び名なんでどうだっていいな。そのぐらい、多方面に対するエネルギーの大きさが半端ではない。これを読んだあとすぐに、大阪まで太陽の塔を見に行った。デカかった。でも、「早くぶっ壊せ」って、岡本さんの声が聞こえてくる気がした。

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著者プロフィール

平野暁臣(1959- )
空間メディアプロデューサー/岡本太郎記念館館長

大阪万博で岡本太郎が創設した現代芸術研究所を主宰し、イベントやディスプレイなど“空間メディア”の領域で多彩なプロデュース活動を行う。2005年岡本太郎記念館館長に就任。総合プロデューサーとして、「明日の神話再生プロジェクト」「岡本太郎生誕100年事業(TARO100祭)」「太陽の塔再生プロジェクト」を率いた。『入門! 岡本太郎』(興陽館)、『万博入門』『大阪万博』『岡本藝術』『太陽の塔』(小学館)、『太陽の塔 新発見!』『太陽の塔―岡本太郎と7人の男たち』(青春出版社)ほか著書多数。

「2023年 『明日の神話 1967-2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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