- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569774787
作品紹介・あらすじ
世界同時不況のさなか、日本には民主党新政権が誕生した。冷戦が終結して二〇年が過ぎ、長く続いた戦後体制は名実ともに変わろうとしている。日本と世界は今どこへ向かっているのか?長く世界潮流を観測してきた著者が、"時空を超える視座""相関という知"を踏まえて、"分散型ネットワーク時代"の新たな展望と日本の針路、いま最も必要とされる「全体知」のあり方を提示する。米中二極体制をどう考えるか?極東ロシア、シンガポールの地政学的な意味とは?「友愛」なる概念は日本の未来を拓くのか。
感想・レビュー・書評
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【本の内容を一言で】
偏った世界観だけでなく、違った目線から世界を「能動的に」知る必要性がある!
【内容まとめ】
1.「アメリカ・フィルター」通しの偏った世界観だけでなく、違った目線から世界を知る必要性がある!
2.「ペリー来航」が近代史の始まりではない!
3.中国をバカにしてはいけない。見習うポイントは勿論、多大なる恩があの国にはある!(ただ心酔しても駄目、やられる。)
4.agree to disagree:「賛成はできなくても、相手の主張の論点は理解した」という姿勢
5.マージナルマン(境界人):複数の系の境界に立つ生き方
【感想】
7年前にリーダーから教えてもらった本で、未だに何度も読み直すくらいのお気に入り本!
定期的に読み返したくなるし、読むと何度でも新しい気付きを与えてくれる名作。
特に印象に残ったのは「ユダヤ格言」と「中国観」。
ユダヤ格言は以下の通り。
『朝寝、昼酒、幼稚な会話、そして愚か者の集いに連なること、これが身を滅ぼす。』
本当にこの通りだし、耳が痛い話しだな・・・
最近改善しつつあるけど、継続していこう!
『汝はいずこより来たりて、いずこに向かう者ぞ』
本当にユダヤは偉大な民族だ。
アンパンマンの歌詞にもあるよね。「何の為に生まれて、何をして生きるのか。分からないまま終わる、そんなのは嫌だ」
ここって定期的に考えないと、本当に「分からないまま終わる」ね!!
日々忙殺されつつも、たまには考え直してみよう。
中国観はまさに【まとめ】に書いてある通り!
むしろ、今の日本人でさえ、中国人をバカにできるに値しない!中国のエリートには完全に負けているだろう。
本当に、下の引用だけでも得るポイントが多いよね。
一度ゆっくり考えないといけない内容がてんこ盛りだった。
とりあえず、異国フレンドが欲しいぜ!!!!
【引用】
今こそ時代や環境の制約を乗り越えて、『世界を知る力』を高めることが痛切に求められている。
凝り固まった認識の鋳型をほぐし、世界認識をできるだけ柔らかく広げ、自分たちが背負っているものの見方や考え方の限界がどこにあるのか、しっかりとらえ直す事はできる。
p34
・ペリー来航が日本の近代史の始まりではない
その150年前に日本人はロシアに漂流しており、世界一周をしており、ロシアの使節団などは来日している!
日露関係は日米関係よりもっと歴史的に深く長い関わりを持っていた。
p48
英語が話せるから『国際人』なのでもない。
異なる国の人たちにも心を開き、自分を相対化して見るとのできる人が『国際人』なのである。
p52
・悠久たる時の流れを歪めた戦後60年
アメリカに影響され続け、自らの体内に蓄積された膨大な歴史時間(=日本史)を忘却
アメリカを通してしか、世界を見ていない。
中国文化に対する尊敬・信奉・敬服・劣等感が、日清戦争によって『優越感』に反転してしまった。
大東亜戦争における敗戦も、戦勝国には中国が含まれるにも関わらず、『アメリカに負けた』とだけ思い込んでいる。
p90
・ユダヤの格言
『朝寝、昼酒、幼稚な会話、そして愚か者の集いに連なること、これが身を滅ぼす。』
・メンチ
『信頼に値するひとかどの人物』
明確な己、技能、見識を持っている人物
・ユダヤの聖典
『汝はいずこより来たりて、いずこに向かう者ぞ』
常に歴史の目的や、人間の本質を問い続けてきた
・ユダヤ人母の教育
自分たちの生活がどんなに苦しくても、どんな逆境にあっても、子どもの教育にだけは心血を注ぐ。
その地域にしがみつくためではない。流浪の民であるユダヤ人には、その土地で採れる資源やモノによって豊かさを確保しようという発想はない。
どこに流れ着いても活用できる目に見えない価値、すなわち技術や情報を習得することで身を立てようとするのがユダヤ人!
人類史に多大なる影響を及ぼしたユダヤ的思想の根底には、どんな逆境にもくじけない根性が横たわっている。
p168
・日本には、世界レベルの通信社やシンクタンクがない!
イギリスのロイター、アメリカのAP、中国の新華社などと比べたら、一桁で済まないほど桁違いに少ない!
日本が独自に入手する世界の情報は、「膨大」でもなんでもない。
自然科学の世界において圧倒的に観測数が少なければ、新事実の発見で遅れをとるのが当たり前のように、そもそも観察される情報がこれだけ桁違いに少なければ、世界を体系化して見ることが困難になるのも当然。
限られた情報に依存して、多くの日本人は世界を認識しようとしていることに気づかなければいけない!
p177
・書を捨てずに街に出よう
文献だけ読んでいれば世界はつかめる、と勘違いする人が出るかもしれない。
「世界を知る力」を養うためには、大空から世界を見渡す「鳥の眼」と、しっかりと地面を見つめる「虫の眼」の両方が必要!
その「虫の眼」を鍛えるのは、なんといってもフィールドワークである。
必ずぶらぶらと地元を歩く時間を作る。
無駄といってもいいだろう。
しかし「虫の眼」を鍛えるためには、これが大切。
p181
・agree to disagree
「賛成はできなくても、相手の主張の論点は理解した」という姿勢
p194
情報は教養を高めるための手段ではない。
問題を解決するために色々な角度から集めるものである。
断片的な情報を「全体知」へと高める動因は、問題解決に向けた強い意志である。
世界の不条理に目を向け、それを解説するのではなく、行動することで問題の解決に至ろうとする。
そういう情念を持って世界に向き合うのでなければ、世界を知っても意味がない。
p203
・マージナルマン(境界人)
→複数の系の境界に立つ生き方という意味。
ひとつの足を帰属する企業・組織に置き、そこでの役割を心を込めて果たしつつ、一方で組織に埋没することなくもうひとつの足を社会に置き、世界のあり方や社会の中での自分の役割を見つめるという生き方。
帰属組織を失ったなら生きていけない虚弱なサラリーマンではなく、技能と専門性を持った汎用性の高い人間を必要としている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日米関係は米中関係であるという言葉は印象的である。
大東亜戦争において、中国も戦勝国に入っていること、中国の躍進、軍事力の強化、G2となったなどを考慮にいれるとなると当たり前なのであろうか。
また、「日本はアメリカを通してしか物事を見れない」というのはまさにそのとおりだ。若い人でさえ、そうなってしまっている。
まだまだ、自分の勉強不足が否めない。 -
自分の目で見て、現場に行って声を聞いてくること。観察すること。それによって見えてくる。どちらにしてもフィルターがかかるが、アメリカというフィルターなしでみられれればそれにこしたことはない。
1805年に通商関係をロシア側の要求を断って、蝦夷地域(今の北海道)の警護を命じているところがすごい。
そして1806-1807年に度々ロシアの船が樺太、利尻などに来航すると。そしてウラジオストックって訳すると「東を征服せよ、支配せよ」って意味ってすごいなあ。
それとあわせてどんどん北海道を屯田兵という形で開拓し、極東ロシアも1)農業移民という形2)ロシア革命の見せしめ 3)ヒトラーのソ連侵攻の見せしめ の 3点で、ウクライナの住民を移民させたりしたとのこと。ここがまた、一つのシベリアだったんだ。
横綱の大鵬がウクライナ人だったとは知らなかった。(樺太出身だし)
また、戦前の日本は、自由に世界に行けたのだ。あまり知られていないけど。1912年与謝野晶子は、夫をおいかけて、シベリア鉄道に乗ってパリに行く。へーー・びっくり。
それと否定できない中華民族が世界を動かしていること。中国だけでなく、マレーシア、シンガポール、いろんな国に中華系のネットワークを持っている人たちがいること。
世界の人と話をしながら、「agree to disagree」という関係をすること。賛成派できなくても、相手の主張の論点は理解したという姿勢が大事というのは教官だった
知的インフラの整備がされていないというのも痛いところを突いたいるなあ
著者が最後にサラリーマンではなくマージルマンである生き方をすることについて書いてある。軸足を片方ずつおいて両方を行う。「境界人」という言葉は、この人が世界を知っていることにつながっているんだろうと思う。 -
今後の自分の生き方を見直すきかっけとなるような影響力のある本。
著者寺島さんの中に描かれている現在の世界の姿を、一部1冊の本にして紹介しているもの。
単に事実を列挙するのではなく、「地下水脈」に脈打っているもの、それを歴史を紐解きながら説明してくれている。
膨大な情報を道筋を立てて体系化したものの見方や考え方を作って知識を体系化していくことの重要性を改めて認識。 -
赤穂浪士の吉良討ち入りのころに、ロシアではピョートル大帝が日本語学校を作った。
信玄も孫子も昔の人、というふう二思いがちだが、両者には2000年の開きがある。信玄にとっても孫子は昔の人だった。現代人は遠景を圧縮してみてしまう。
欧米人がチャイナというとき、それはシンガポールや台湾などを含むことがあるから注意。
タイム・ワーナーの創立者は中国で小さいころを過ごし、親中だったので、太平洋戦争で親中になるよう米国世論を誘導した。 -
2015
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留学に行く人にはぜひ読んでほしい一冊!
いろいろな情報を集めなければならないと思わせてくれる! -
テレビでもおなじみ、日本の知の巨人・寺島実郎の一冊。新書ということで分かりやすく書いてくれているがけっこう内容的には深い。言いたいこととしては戦後教育や戦後のマスコミ報道により日本の歴史感・世界観はだいぶ歪んでしまっているということ。この事実を知っているか知らないか、だけでも世界と話をするときの心構えは変わってくる。自分が知らなかったロシアと日本の江戸時代の話などは非常に興味深かった。もう少し難しい本を読んでみてもいいかも。
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【世界とは何か】
我々は、世界を知るためにメディアを活用します。例えば、テレビやインターネット。でもそれだけでは「世界を知る」のではなく、「世界を見る」だけにすぎないのでは?本書を読めば本当に知るとは何かがわかるはず。