デザインが奇跡を起こす

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著者 : 水谷孝次
  • PHP研究所 (2010年1月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569776361

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デザインが奇跡を起こすの感想・レビュー・書評

  • 今週おすすめする一冊は、水谷孝次著『デザインが奇跡を起こす』
    です。著者の水谷氏は、かつては超売れっ子の広告デザイナーでし
    たが、この10年間は、「笑顔は世界共通のコミュニケーション」を
    合言葉に、世界中の人々の笑顔を題材にしたコミュニケーションア
    ート「MERRY PROJECT」に活動の軸を移しています。愛知万博、北
    京オリンピック、上海万博等で水谷氏の集めた笑顔の写真が使われ
    ているので、ご存知の方も多いことでしょう。

    本書の前半は、デザインと縁のなかった水谷氏が、大学を出てから
    デザインの道を志し、失敗と挫折を繰り返しながらも頂点をつかむ
    までの苦労話です。その過程での努力は凄まじいの一言。一流にな
    るには、やっぱりここまでしないといけないのだな、と背筋が伸び
    る思いがします。

    高度経済成長期からバブルへ。時代も味方したのでしょう。超売れ
    っ子デザイナーとして成功を欲しいままにした水谷氏ですが、消費
    社会の中で自分自身が消費されていくことに次第に虚しさを感じる
    ようになります。

    自らを消耗し疲れ切った水谷氏は、ある日を境にそれまでの世界か
    ら足を洗います。そして、自分を見失い、行き場を失った彼を救っ
    たのが、昔、自分が撮った少女達の笑顔の写真でした。水谷氏は、
    それを写真集にしようと動き始めます。そのタイトルが「Merry」
    でした。メリークリスマスのメリー。ハッピーに近い言葉だけれど
    も、もっと広く深い言葉。シンプルなようでいて曖昧だから、一人
    ひとりにそれぞれのMerryがある。

    その写真集がきっかけになって「あなたにとってのMerryは何です
    か?」と世界中の人々に訊ねながら、その人のMerryな瞬間を撮る、
    というプロジェクトが始まるのです。それが愛知万博で披露され、
    北京オリンピック、上海万博へとつながっていく。

    正直、儲かる仕事ではないと思います。事実、北京オリンピックの
    時は一銭ももらっていないそうです。でも、水谷氏にとっては「与
    えられた仕事」ではなく、「自分の中から出てきたテーマ」を仕事
    にすることの方が重要なのです。

    自分の中から出てきたテーマを仕事にする。そして、それが人に幸
    せを与えていると実感できる。こんなに素晴らしいことはないでし
    ょう。水谷氏は、笑顔というシンプルなコミュニケーションの力に
    導かれて、それを実現してきたのです。

    笑顔の力を改めて教えられると同時に、仕事と自分の関係について
    も考えさせてくれる一冊です。是非、読んでみてください。

    =====================================================

    ▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

    =====================================================

    事務所のゴミを片づけるのも、僕の仕事だった。
    毎日、みんなのゴミを集めて回って、ビルのダストシュートで処理
    することになっていたが、僕はそうしなかった。デザインに関する
    すべてのゴミを、家に持ち帰ったのだ。
    持ち帰ったゴミは、全部広げて分析した。どんなゴミも僕の教科書
    だった。

    「水谷君は、明日から来なくていいです」
    やっぱりダメか…目の前が真っ暗になった。
    しかし田中(一光)先生は、僕のポスターのどこがいけないのか、
    二人きりで二時間くらいかけて丁寧に批評してくれた。そして何よ
    り、今後のことについてアドバイスしてくれた。
    「君には品性と知性が足りない。とにかく、いいものをたくさん見
    なさい。いい人に会いなさい。いい本を読みなさい。いいものを食
    べなさい」

    つらい時期が長ければ長いほど、ポスターが好きになった。失敗や
    挫折の量が多ければ多いほど、「やりたい!」という気持ちが大き
    くなった。

    すべてのクリエイティブにとって、いちばん重要なのは「気迫」だ
    と思う。気迫さえあれば、大きな岩だって動かせる。そしてその気
    迫が「運」を呼び込む。

    順調にデザイナーとして次々と仕事をこなす一方で、僕の心の奥底
    には、完全に満たされないものがあった。
    僕の仕事は、企業の利益にはなるけれど、社会のためになっている
    のだろうか?
    世の中の役に立っているのだろうか?
    ここは、本当に僕が若いときに目指した場所なのだろうか?(…)
    気持ちの虚しさとは裏腹に、通帳の金額は増えるばかりだった。

    山の頂上を目指して、そこにたどり着いたと思ったけれど、結局、
    そこには何の幸せもなかった。(…)
    三歳のとき、「父親をこんなふうにした社会は間違っている。僕が
    世の中を変えよう」と思ったときの感覚を、もう一度思い出そう。
    これからは、誰かを幸せにするような仕事をしよう。与えられた仕
    事ではなく、自分の中から出てきたテーマで、社会を変えるような
    仕事があるはずだ。

    ある日書類を整理していたら、写真の束が出てきた。以前、アメリ
    カを旅行していたあとき、バスの中で偶然出会った少女たちの笑顔
    を撮ったものだ。(…)
    その写真を見たとき、「あっ」と思った。突然、風が吹いてきたよ
    うに、新しい時代の空気を感じた。
    これが、新しい時代のデザインなのかもしれない…。

    「自分の中から出てきたテーマ」を仕事にする。これが第一歩にな
    るかもしれない。そんな予感がした。

    僕にしてみたら、何よりも、ようやくやるべきことが見つかったこ
    とがうれしかった。ここにたどりつくまでに膨大な時間がかかって
    いるのだ。自分のやりたいことが見つからない、自分がわからない
    時期は、本当につらく、怖かった。(…)
    でも今、僕は「MERRY」というプロジェクトの中に、暗闇から抜け
    出すための兆しを発見した。今やりたいことをやればいい。自由に
    生きていけばいい。

    一枚一枚がその人の笑顔。
    パーソナルな幸せをポスターにしていく。
    まさにクオリティからコミュニケーションへ。
    デザインの概念を革命的に変えるポスターだったと思う。

    神戸の人々の笑顔は素晴らしかった。
    震災で一度絶望を経験し、すべてを失った人々が、立ち直ったあと
    の希望の笑顔だった。

    「あなたにとってMERRYとは何ですか?」
    その質問に、ある少女は「YOU」と書いてくれた。(…)
    「私は今まで笑ったことがない。MERRYなんて考えたこともない。
    今日は初めて笑ったし、初めてMERRYって何か考えた。私にとって
    今日は最良の日。私にとってのMERRYはあなたよ」
    思わずシャッターを押す手が止まった。

    デザインってこういうことなんだ。
    人を幸せにすること、人を楽しませることこそ究極のデザインだ。
    求めていた答えに、ようやくたどりついた気がした。

    「スマイルイズビューティフル」
    笑顔には、政治を変える力がある。(…)
    笑顔は笑顔を呼び、幸せの輪につながる。笑顔は究極のコミュニケ
    ーションだな。ここまで人をひとつにしてくれるのだから。
    今、僕は人をつなぐデザインをしている。最高の仕事だと思った。

    若い頃は、富と名声を得たら、そこには幸福が待っていると信じて
    いた。
    実際に、たくさんの賞をとったし、お金もいっぱいもらったけれど、
    そこに愛はなかった。
    今は、愛はあるけれど、残念ながらお金はない。ラブとマネーは同
    時に得られないものなのかもしれない。
    人生には光と影があって、光が当たれば、必ず影がある。さまざま
    な経験と旅を経て、それが僕にはようやくわかった。

    「和顔愛語」
    ブッダが2500年前に言った言葉だ。笑顔と優しい言葉。
    何もあげる物がないなら、あなたが笑顔と優しい言葉をあげなさい。
    そうしたら、あなたに笑顔と優しい言葉が返ってきますよ、と。

    本当の笑顔こそ、アートであり地球の未来を築くための究極のデザ
    インだと思っている。

    僕がこれから目指すデザイン。
    それは社会との関係性を見据えて、地球規模で考え、ひとつひとつ
    のコミュニケーションを大切に、環境をデザインし、平和をデザイ
    ンしていくこと。
    地球全体をひとりでも多くの笑顔でいっぱいにし、幸せにしたい。

    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ●[2]編集後記

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    笑顔は確かに素敵なコミュニケーションツールなのですが、一歩間
    違えると印象操作のための手法になってしまうから怖いですね。
    「営業スマイル」なんて言われますが、相手に好印象を抱いてもら
    うために作り笑いをする、というのは、「大人」の作法の一つなの
    かもしれません。

    もっとも、作り笑いは、かなり早い段階で身に付くものなのだな、
    というのは娘と付き合う中で教えられました。乳幼児は親に見捨て
    られたら生きていけないわけで、だから親の歓心を買おうと努力し
    ます。その努力の象徴が親に向けられる精一杯の笑顔で、それはも
    うほとんど無意識にやっている。本能としか思えません。

    当然、心から笑っている時の笑顔と作り笑いの笑顔は違いますから、
    子どもが作り笑いをしているなと思ったら、何か追い詰めているの
    ではないかとこちら側のあり方を見つめ直すようにしています。幸
    い、それほど作り笑いをしているようには感じませんが、それでも
    たまにあります。そういう時は、たいてい家族のバランスのどこか
    がおかしくなっている。

    怖いことに、家族のバランスの崩れは、必ず子どもに出るのですね。
    核家族なら、夫婦の問題が子どもに出る。だから、子育てに一番大
    事なのは夫婦の関係をどう育てていくかなのですが、実はそれが一
    番難しかったりするのです…。

  • 「あなたにとってMERRYとは?」
    (MERRY=楽しいこと、幸せなこと)
    たくさんの人のMERRYなメッセージと笑顔の写真をデザインするプロジェクトについて書かれています。先進国だけでなく発展途上国、災害や事件のあった国、治安の悪い国でもプロジェクトを行っており、作者である水谷さんの行動力がすごいです!

  • デザインが 企業の枠から 世界に飛び立つ。
    その原点が 戦争によって 父親から
    笑顔 を奪ったこと。

    世界を駆け巡って 笑顔を 探し、
    感動する。
    いいなぁ。
    そのデザインの持つパワーが スゴイ。

    すなおに、ひたむきに、
    真正面から ぶつかっていく。
    愛知博 から 北京オリンピックへ。

    本当の笑顔って やはり 希望 なんですね。

  • 思いをカタチにするには?

    →気迫が一番大事であり、その気迫が運を呼び込む
    攻めることに損はない
    勇み足で失敗することは悪くない
    挑戦を続けることが大切

  • 水谷さんの考えってすごいな。貪欲でいきたいな。

  • 何かに負けそうになると必ず読み返して、自分を奮い立たせる、わたしにとってこれからも心の支えとしてありつづける一冊。水谷さんのように、使命感をもって仕事に取り組める人間になりたい。

  • 代表的な作品は「笑顔」がテーマの「Merry」と言うプロジェクトの方です。
    「9.11」や「愛地球博」、「北京オリンピック」等どれも知っている大きな出来事に関わっていたのに知らなかった。
    あの頃全然アンテナはってなかったんだなぁ自分 と思う。

    思ったら即行動、しかしがむしゃらでなく目標を達成するために努力を惜しまない。
    今の自分の理想像に近いなぁと感じた。

    最近デザイン関連の本を読んでいて思うのは、デザイナーは技術とかよりもどう生きていくか、どう世界と関わっていくか、むしろどう世界を変えていくか、と言う事を重視している人が多いと言う事。
    そして生きる事に貪欲と言うか、諦めない。

    そしてデザインて 物 より 事。
    コミュニケーションを作り出す事 だと改めて思う。

  • 著者の懸命さが伝わってきた。自分のやるべき事を見つけているのが羨ましい。

  • ■デザイン
    ①1,斬新な切り口とオリジナリティー 2、誰も見たことのないようなアイデアと時代の少し先を行くプラン 3、アカデミックとエンタテイメントのバランス 4、限りなく美しく、力強いビジュアルと絵画性。そして完成度 5、コミュニケーション力とマーケティング力 と編集力。
    ②MERRY PRJECT

  • 机の前の壁に,ずいぶん長いことこの本のポスターがはってある。
    ついにゲット。
    表紙の写真がカラフルで好きだ。

  • 北京オリンピックで、子どもたちの笑顔の傘を2008本咲かせた男がいる。

    MERRY PROJECT、という目を惹くHP。
    私は夢中になった。
    なんだ、私がしたい世界中に笑顔をあふれさせるようなプロジェクトがすでにあるなんて・・・

    本を読んで、さらに思う。
    彼の情熱、行動力、愛情があるから、目の前のひとを笑顔に出来るんだ。

    目の前の人から、笑顔に、HAPPYに!

    さあ、明日は何をしよう??

  • 水谷さんの生き方が書いてあります。
    デザインが何なのか?この本を読めばすごくわかるはず。

    デザイナーとしても人ととしても尊敬させてもらえる一冊です。
    水谷さんありがとう!!

  • 「思い」を「カタチ」にする仕事ってどんなやろ
    と立ち止まって手に取った本

    当時の私は
    自分の仕事のつながる先がうまく見出せなくて
    とにかくいろんな人の仕事に対する考えに触れたかった

    水谷さんの情熱はものすごい
    多少無理してでもとにかく走り抜けて
    「〜したい!」
    それをどんどんかたちにしちゃう
    同じ疲れるなら そっちのが絶対心地いい!
    こんなふうに生きてみたい

    でもこれは水谷さんの人生だ
    失敗して 模索しながら生きてきた道
    ひとの人生に触れるのはおもしろいなと思った

    デザインで人を幸せにする

    ずっとデザインに携わってきた人が
    何年もかかって見つけたもの

    いつか私も振り返った時に
    私がやりたかったのは
    こういうことだったんだって
    見つけられたら いいな
    とりあえずなんでもとことんやってみよう

    勇気と元気貰えた^^

  • 0131 朝日新聞に掲載されました。
    2010.03.14 日本経済新聞「活字の海で」で紹介されました。

  • グラフィックデザインの第一人者として活躍する著者の人となりと
    あらたな活動「Berry」について。
    デザインを、本当に困っている人の為に使えないか。
    デザインで、世の中を変えられないか。
    という疑問に、著書は明快な答えを出す。
    その実行力に感動した。

  • 世界中で賞をとりまくっている売れっ子アートディレクター水谷 孝次さんの人生が語られた一作。デザイナーではなくても刺激される作品。

  • *人を幸せにすること!人を楽しませることが究極の
    デザイン、という言葉に感銘を受けた。
    *先日の情熱大陸で観た
    *デザイナーを目指すものとして、考えさせられる内
    容だった。
    *どんや仕事でもやはり努力と情熱が必要だなと思わ
    された。

    評価 ☆☆☆☆☆☆☆★★★ 7点

  • 1/10情熱大陸にて

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情熱さえあれば、仕事は決して裏切らない。思ったら飛べ!世界のポスター展を総ナメにし、いま各界の注目を浴びる著者が現代人に贈る熱いメッセージ。豊かな人生、良い仕事へのヒントが見える1冊。

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