私が日本人になった理由 日本語に魅せられて (100年インタビュー)

  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (117ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569783178

作品紹介・あらすじ

18歳で「源氏物語」に出会い、日本人の日記に魅せられ、3・11を契機に日本国籍を取得した著者。日本に寄せるその思いに学べることは?

感想・レビュー・書評

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  • ドナルド・キーンさんの事はどんな人か知っていても、著書は読んだ事はなかった。この本は東日本大震災の後、キーンさんが日本に帰化した頃にNHKの番組でインタビューされたものの内容であり、キーンさんの事を深く知る事はできない。
    でもキーンさんの日本に対する愛情、日本語や日本文学に対する深い思い入れを知るきっかけとなり得るものでした。
    もうお亡くなりなっていてとても残念ですが、これからキーンさんの著書に触れていきたいと思う。

    巻末の『100年先の皆様へ』と言う6行のキーンさんの言葉には胸が熱くなります。こんなにも日本と日本人の事を思ってくれていた事に泣きそうになりました。

  • インタビューを単行本化された本。
    読んでいてちょっと違和感というほどでもないけどちょっと首を傾げるような感じがしたので、もとのインタビューを見てみたいな。
    足利義政、銀閣寺の話は詳しくないから気になった。学生の頃、この辺の話たしかに習ったんだけどなぁ……。覚えてない。

  • 東日本大震災後、ドナルド・キーン氏が日本に帰化するニュースが流れたとき、氏の著作や論文をまったく読んだことがなかったのに、日本人として本当にうれしく、尊い気持ちでそれを聞いた。
    「いつか読まなければならない本」ととらえていた著作を実際に手に取ったのは、氏が亡くなってから1年後。まったく偶然に、図書館の「き」のつく著者 の棚で見つけたことがきっかけだった。

    NHKの番組を書籍化した本。
    この人は過去世で日本人だったのだろうなと、スピ的なことを考えた。
    心に残ったのは、「心を揺さぶった日本兵の日記」
    戦時中に翻訳の仕事をしていた氏が、悪臭のただよう本、血糊のついた手帳を発見する。日本兵の日記だった。
    戦時中、毎年元旦に兵士に日記帳が配られ、書くことが奨励されていたのだという。
    日記の最後のページには、英語で「この日記を見つけたならば、戦争が終わってから私の家族へ送ってください」と住所と共に記されていたという。
    氏は秘かにそれらの日記を取っておいたが、沖縄戦に向かった折りに誰かに没収されてしまう。
    この経験を通して、日記は日本人にとって非常に貴重なものだと悟ったと氏は語る。だから日本では日記文学が盛んだと。
    アメリカでは情報が筒抜けになることを恐れ、兵士が日記を書くことを厳重に禁じていたという。

    日本人の心を伝える文学として氏は「日記」を研究するようになる。高見順の『敗戦日記』に共鳴する。
    敗戦後の庶民が黙々と我慢する様子を見て、いとしさ、愛情で胸がいっぱいになる。そして、
    「自分はこういう国民と共に生き、共に死にたい」と書く。
    この部分、東日本大震災後の大変なときでも、民衆が暴動を起こさなかったという場面と重なった。
    そして氏はこう言う。
    大震災後にも暴動を起こさず、略奪もせず、配給の列に並ぶ。その姿が世界中の人たちの胸を打ち、誰もが日本を助けたいと動いた。多額な援助金が寄せられたのはそのせいだと。

    読み進めるうちに、日本人の志の尊さを誰よりもよく知り、誰よりも尊重した氏に心から尊敬の気持ちがわいた。

    氏が勧めたように、もっともっと本を、日本の古典を読みたいと思った。
    2020年の貴重な読書体験となった。

  • 日本人以上に日本を知り尽くし日本をこよなく愛したドナルドキーン。今や正真正銘の日本人。花は桜。日本人にとって特別な意味を持ち特別な感慨を抱かせるこの花から日本人固有の感性を簡潔見事に言い当てている。いきなり撃たれたの感しきり。銀閣寺、三島由紀夫、足利義政、源氏物語、日本語、日本人ならではの美風があり、美俗がある。恥ずかしながら日本を再発見したような心地。

  • 素晴らしい方ですね!
    外国の方から見た日本という国はどう見えるのか非常に興味深いです。
    けど、日本国籍を取得され日本人になった。
    もっと彼と関わっておけば良かったな、と思います。

  • 日本の国籍をとったキーン氏
    ニューヨークで生まれ
    偶然入った書店でアーサーウェイリー翻訳の
    源氏物語に出会い魅せられた、

    「日本語そのものに惚れた
    おもしろくてたまらない」
    「日本人の美意識や美徳」
    「日本兵の日記」
    どのページにも日本の素晴らしさが綴られている。

    源氏物語すら読んだことのない私
    まずはそこからな。

  • 日本語に魅せられ56年間勤めたコロンビア大学を退職、2012年3月に日本国籍を取得し日本人となったドナルド・キーン氏(1922-2019)が、東日本大震災直後のNHK放送番組「100年インタビュ-」で語った『私が日本人になった理由』がまとめられています。〝どの国や政府にも問題があり、完璧な国はない。日本にも多くの矛盾と問題があるけれど、素晴らしい国であることに変わりない〟日本文学、日本文化、日本人のこころを愛し続けた「鬼怒鳴門」(キーン ドナルド)さんの心癒されるメッセ-ジに打たれました。

  • 日本は日記文学。
    戦争で、日本兵に日記をつけるために、ノートを渡す。アメリカでは日記を書いてはいけないと、軍事情報が漏れるから。

  • 前日、亡くなられたことで読んでみました。
    日本人以上に日本の良さが分かる日本国籍を取得したアメリカ人。源氏物語、伊勢物語などの古典文学を読んでみょうと思った。

  • インタビュー本。

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著者プロフィール

1922年ニューヨーク生まれ。コロンビア大学名誉教授。日本文学研究者、文芸評論家。2011年3月の東日本大震災後に日本永住・日本国籍取得を決意し、翌年3月に日本国籍を取得。主な著書に『百代の過客』『日本文学の歴史』(全十八巻)『明治天皇』『正岡子規』『ドナルド・キーン著作集』(全十五巻)など。また、古典の『徒然草』や『奥の細道』、近松門左衛門から現代作家の三島由紀夫や安部公房などの著作まで英訳書も多数。

「2014年 『日本の俳句はなぜ世界文学なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ドナルド・キーンの作品

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