ボタンちゃん 【4歳 5歳からの絵本】 (PHPわたしのえほん)

著者 :
  • PHP研究所
3.74
  • (27)
  • (36)
  • (47)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 543
感想 : 69
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569785011

作品紹介・あらすじ

ボタンちゃんは、アンナちゃんのブラウスの一番上にとまっています。ボタンちゃんの仲良しは、なんといってもボタンホールちゃんでしょう。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • あの小川洋子さん作の絵本、ということで手に取った一冊。
    読んでいて、映画『トイ・ストーリー』を思い出した。

    小さなアンナちゃんの、お出かけ用のブラウスの一番上にとまっているボタンちゃん。丸いお顔のかわいい女のコ。
    一番上にいるから、アンナちゃんの一番近くでアンナちゃんのことを見ていられる。いわば特等席に居られる存在。仲良しのボタンホールちゃんと一緒に、お出かけ中のちょっぴりおすましのアンナちゃんのことをニコニコしながら見守っている。
    そんなボタンちゃんにある日ハプニングが。なんとボタンの糸が切れてしまってボタンちゃんが遠くに転がっていってしまい…。

    小さなアンナちゃんがもっと小さな頃、大切に使われていたモノたちとの偶然の出会い。
    『トイ・ストーリー』の中でもこういうシーンがあったけれど、使われなくなって置いてきぼりになったモノたちの寂しさと、その対極にある子供の成長の喜びがこの絵本に丁寧に描かれている。
    うちにも娘たちが幼い頃に使っていたおもちゃやコップなどがまだとってあるけれど、もう使わないと分かっているのに捨てられないでいる。それらを使っていた頃の娘たちの思い出がたくさん詰まっているモノだから。

    アンナちゃんが大きくなるにつれ「思い出の箱」の中身もどんどん増えていく。
    昔の仲間はみんな、アンナちゃんの成長と幸せを願ってくれているんだよね。これからもずっと。
    親としてはこんな有り難いことはない。

    小学校低学年用の課題図書の本作。
    子供よりも親世代から共感を得る絵本のように思えた。

  • 小川洋子さん初の絵本は、小説で時折見られる、妖しくも甘美な毒は無く、お子さんと親御さんに送る、やさしい物語でした。

    ただ、それでも、日の当たらなくなったものたちへの温かい眼差しには、絵本でも、やはり小川さんは小川さんだなと感じられました。

    それは、幼い頃のお子さんの成長を助けたが、やがてお役御免となり、記憶の片隅に取り残された物たちへの眼差しを、ボタンちゃんの素敵な励ましを通して、私たちに見せてくれます。

    確かに、実際に使われていた間は、幼いお子さんにはまだ自意識が目覚めていないから、やむを得ない部分もあるのだが(思い出せないだけで実際嬉しかったんだろうな)、大きくなってから実は、こんなに助けてもらったんだ、いつも一緒にいてくれてありがとうといった気持ちを芽生えさせるような、そんな温かいメッセージを、お子さん本人とともに、親御さんにも、子どもの成長を辿る思い出深い物だったことに気付かせてくれる、素敵な絵本だと思います。

    また、岡田千晶さんの紗のかかったような絵には、いつも、悲しくも懐かしい素敵な思い出を想起させられて、感傷に浸ることが多かったのですが、今回は、ボタンちゃんの可愛さも相まって、また良かったです。

    もちろん、ボタンホールちゃんも(表紙で気付いてあげられなくて、ごめん)。

  • ほっこりの一冊。

    アンナちゃんのブラウスの一番上に誇らしげにとまっているボタンちゃん。
    ある日、糸が取れてコロコロと…。
    そこでボタンちゃんが出会ったものとは?

    優しいタッチの可愛らしい絵にほっこりできるストーリー。

    ボタンちゃんが出会った思い出のみんなにかける言葉の優しさがめちゃくちゃ良い。

    こういう悲しさをガラッと裏返してくれる優しさって気持ち良いな。

    あの時この時、娘や自分の思い出のものを探したくなった。 

    アルバムと一緒で思い出箱も時々開けるのも大切だね。

    ほっこりの中にさりげない淋しさも味わえる絵本。

  • なんとなく、いつも冬になると読みたくなる絵本。

    たぶん、コートに付いてるボタンちゃん…ってことで冬を連想するのかなぁ⁇

    ボタンちゃんのなかよしは、ボタンホールちゃん
    ふたりは、いつもいっしょ。
    ボタンちゃんが ころがった先に 見つけたもの。
    そこには、忘れられた 思い出のものたち。

    ガラガラ よだれかけ ホッキョクグマ

    すべて思い出の箱へ。

    こどもの成長ってほんとうに早い‼︎

    あの頃を忘れないで…。

  • 細かいレースのついた丸襟のブラウス。
    その一番上についているまぁるいボタン。
    表紙の絵を見たとたん、あまりの可愛らしさに本を抱きしめたくなりました。
    小川洋子さん初の童話。
    だけれど、失われて戻ることのない幸せだった時間や
    失われることのない大切な思い出の記憶、
    書かれていることの根底に流れているものは
    大人の本と同じこと。
    子どもの頃にこの本と出会える子たちがうらやましいです。
    物語と同じくらい絵が素敵。
    何度も繰り返し手にとって読みたくなる本でした。

  • ボタンちゃんは、アンナちゃんのたいせつなブラウスのいちばん上。
    ある日、なかよしのボタンホールちゃんとはなれて、たびに出ることになって・・・・。
    ++++++++++++++
    食べ物の話ではないのですが、絵がとても素敵で、思わず購入しました。
    少し大きくなって、自分で読めるようになった子どもたちに、読んでほしい。

  • やさしくやわらかな雰囲気でした。子供が成長がはやすぎて色々なモノを捨てたし買いました。捨てずに残すととんでもない量になるんですよね。

  • 「みな、思い出の箱からアンナちゃんの無事を祈っています」

    いろんなものにも助けられ、育てられ、大きくなっているんだなあ。人とものとことと。温かなお話です。(9分)#絵本 #絵本が好きな人と繋がりたい #ボタンちゃん #小川洋子 #岡田千晶 #PHP研究所

  • 図書館本。

    アンナちゃんのブラウスの一番上にとまっている、丸いお顔の女の子。
    それがボタンちゃん。

    とっておきのブラウスのボタン。
    うーん、“とっておき”っていう単語の響き、いいよねぇ。

    これは完全に私の趣味で選んだ。
    小川洋子さんの絵本、気になる。

    娘はちょっと絵の影がかかった感じがあんまりなのかそんなに最初はくいついてくれず。
    読み聞かせるにつれ、ボタンちゃんの動向が気になってきた模様。

    なかよしのボタンホールちゃんといっしょの姿も愛らしい。

    ある時起こったハプニングにより、ちょっとした旅が始まってしまうボタンちゃん。
    その道中に出会ったのは…。

    ボタンちゃんも、ボタンホールちゃんも、みーんなアンナちゃんのことをずーっと好きなのです。

    最後は少し切ないけれど、優しいお話。

  • あらすじ?

    アンナちゃんのよそ行き用のブラウスの一番上のボタンのボタンちゃんと彼女を支えるボタンホールちゃん。ある日、ボタンちゃんが外れてしまい、部屋の床へ転がってしまいます。ボタンちゃんは、部屋のあちこちを探検しながら、アンナちゃんが小さい頃に使っていて忘れ去られてしまった思い出の品たちに会い、心を通わせていきます。ベットの下にいたところをアンナちゃんのお母さんに見つかったボタンちゃんは無事にボタンホールちゃんの元へ戻りました。時を経てアンナちゃんが大きくなり、ブラウスも着られなくなってしまうと、ブラウスも思い出の品に変わります。


    感想
    表紙ににっこりと可愛く笑ているボタンちゃんが描かれています。よく見るとボタンホールにもにっこり笑顔が!やわらかいタッチで描かれてる絵がとても可愛らしいです。
    よそ行きのブラウスということで、アンナちゃんがレストランかカフェでメロンソーダを飲んでいるシーンがあるのですが、レトロな元祖メロンソーダがとてもおいしそうです。
    お部屋のあちらこちらを探検するボタンちゃん。中途半端に切れてしまった糸がお手々の形なのがこれまたかわいいですね。彼女は各所で忘れ去れてしまった思い出の品達に会うのですが、その思い出の品達は毎回泣いています。まあ、部屋の隅に追いやられて(きっとわざとではない)忘れ去られてしまったら誰でも悲しくもなるでしょうけども。そんな彼らにボタンちゃんはとっても前向きな言葉をかけて励ましていきます。胸がほっこりするようなあたたかい言葉です。絵本の中にいるアンナちゃんの成長を感じながら読めます。最後のページは今まで登場した思い出の品たちが箱に収納されて棚の下にしまわれます。その棚の上にはランドセル姿のアンナちゃんの写真があります。

全69件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川洋子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヨシタケシンスケ
坂木 司
角田光代
ヨシタケシンスケ
小川 洋子
ヨシタケ シンス...
酒井駒子
ヨシタケ シンス...
本谷 有希子
宮部 みゆき
宮下奈都
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×