強毒型インフルエンザ (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569796925

作品紹介・あらすじ

鳥インフルエンザの災禍が日本の各地で静かに進行している。問題の本質は、今後鳥だけにとどまらず、鳥ウイルスが遺伝子の突然変異を起こして、人の中で流行する人型ウイルスに変化して世界的大流行(パンデミック)を起こすことにある。鳥型から人型に徐々に変化しつつある兆候も認められており、いつ強毒型の新型インフルエンザに転じてもおかしくない。危機は本当に去ったのか。どれほどの健康被害、社会的影響があるのか。強毒型インフルエンザの現状を分析し、その行方を探り、対処法をまとめた。

感想・レビュー・書評

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  • 2009年に新型インフルエンザが流行し、問題意識が高まったが、結局は弱毒性だった。しかし、本来のH5N1の鳥インフルエンザの恐怖は去っていないということを明確に訴えたい2011年発刊の本。

    2013年4月、中国でH7N9型の鳥インフルエンザが大量発生し、死者も多く発生している。しかしながら、それに対しての正しい知識を持っている人は意外に少ない。

    本書では、インフルエンザウイルス、その発生と強毒化の過程や種を越えた感染、人間の免疫獲得、ワクチンの効果などがコンパクトにまとめられている。類書に比べて、やや図解が少ないかなと思った。

    その後H5N1型で(H7N9でも基本的な考えは一緒だと思う)危険性を指摘していた。危機は迫ってきている面もあるので、リスクに対しては十分な対策をとってほしいと思った。

  •  H5N1型ウイルスの危機は去っていない。2009年に弱毒型の新型インフルエンザが流行して,日本人の間では危機感が薄れているが,強毒型は全く別物。十分な対策が望まれる,と警鐘を鳴らす。
     当時は報道が過熱気味で,いろいろ情報収集をしたものだがもう一度確認の意味で読んだ。鳥インフルエンザをめぐる現状・歴史,発症の機序,強毒型と弱毒型との違い,対処法までまとまっていて有意義と思う。
     インフルエンザウイルスが複製して感染性をもつためには,HAタンパク質の特定部分が切れる(開裂)ことが必要だが,弱毒型はその開裂に関与する酵素(プロテアーゼ)が呼吸器と消化管にしか存在しないので,そこでしか感染拡大が起こらない。強毒型は全身で増殖可能でこれが致死率を上げる。
     著者は対策として,プレパンデミックワクチンを(7割の)国民に接種することを推奨しているが,政策として取り入れられてはいないようだ。感染が確認されてから製造を始めるパンデミックワクチンでは,流行に間に合わないため。それにしても,スペイン風邪でも弱毒型だったということだし,怖いな。

  • 強毒性新型インフルエンザの大流行は、想定しうる危機である。それはどれほどの健康被害、社会的影響があるのか。強毒性インフルエンザの現状を分析し、その行方を探り、対処法をまとめた。

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著者プロフィール

白鷗大学教育学部教授。専門は、感染免疫学、公衆衛生学。共立薬科大学(現慶應義塾大学薬学部)大学院修士課程修了、順天堂大学大学院医学研究科博士課程中退。ドイツ・マールブルク大学医学部ウイルス学研究所に留学、国立感染症研究所研究員、日本経団連21世紀政策研究所シニア・アソシエイトなどを経て、現職。NHKラジオ「室井滋の感染症劇場」作・脚本・監修。著書に『正しく怖がる感染症』(ちくまプリマ―新書)、『どうする!? 新型コロナ』(岩波ブックレット)、『人類vs感染症』(岩波ジュニア新書)、『キャラでわかる! はじめての感染症図鑑』(日本図書センター)、『病いと癒しの人間史』(日本評論社)、『学校の感染症対策』(東山書房)などがある。

「2020年 『知っておきたい感染症【新版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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