日本人はなぜ日本のことを知らないのか (PHP新書)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569799339

作品紹介・あらすじ

「建国記念の日はなぜ二月十一日なのか」「日本はいつどのようにできたのか」-世界中の国民が知っている自分の国の成り立ちを、日本人の多くは答えられない。初代天皇の存在は伏せられ、『古事記』『日本書紀』は非科学的として封印される。何より、日本が現存する世界最古の国家である事実を学校は教えてくれない。まるで誇りを持たせたくないかのような歪んだ歴史教育。戦争もなく統一を果たし、中国から独立を守り抜いた奇跡の歩みを紐解こう。世界でいちばん人気がある日本を、私たち自身が愛せるように。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の成り立ちについて

    〇では日本の建国はいつなのか。正式な歴史書である正史『日本書紀』によれば、初代神武天皇の橿原宮(奈良県橿原市)での即位が我が国の建国で、これは紀元前660年、すなわち今から約二千七百年前に相当する。もっとも、これはには考古学界からは根強い批判があり、『日本書紀』には神話的要素が強く、特に建国に関する記述には信憑性が乏しく、認められないという。(p12)
    ☆こういうことを教えないのは本当にいけないよね。建国の歴史を教えなければ、日本に誇りが持てない。
    自分の国についてもっと教えても大丈夫な国にしてほしい。
    神武天皇の記述は、教科書にないらしい。教科書に出てくる最初の天皇は、第33代の推古天皇!しかも33代って書いていないらしい。それまでの32代はどこへ??

    〇歴史学は文系に属し、文学資料を扱う学問であるのに対し、考古学は理系に属し、遺物や遺構など人類が残した痕跡を主に物質的資料として扱う学問である。(p27)
    ☆このゆがみ。文学的資料を資料として認めないのが考古学。だとすると、永遠に建国の歴史は語られないわけだ。

    〇教科書は古墳時代までは考古学で歴史を語り、飛鳥時代に入ると突然、歴史学で歴史を語りはじめる構造になっていて、勘の鋭い人は、古墳時代から飛鳥時代へのつながりが妙に不自然であることに違和感を持ったのではないか。
    ☆私もその一人です。

    〇文字のない時代に起きた建国を説明するには、神話をもって語る以外に方法はない。(p34)
    〇初代神武天皇の即位日は正確に分からなくて当然であるから、日付を特定する必要があれば、『日本書紀』の神武天皇即位の記事に注目する以外に方法はない。
    〇しかも、『日本書紀』は個人が書いたものではなく、天武天皇の勅命により国家が編纂したものであり、我が国の国史に該当する。
    ☆ここがキモ。『日本書紀』が国史で、それもみんながもっと学ぶ必要あり。

    〇『古事記』と『日本書紀』の違いは後に述べるが、いずれも国家が編纂した正式な歴史書であることに違いはなく、『日本書紀』の方が正史とされ、『古事記』は正史に準ずる歴史書とされている。」(p46)
    ☆『古事記』は海外向けだったのでは、とされている。
    『日本書紀』・・天地開闢から41代持統天皇まで
    『続日本紀』・・42代文武天皇~50代桓武天皇
    『日本後紀』『続日本後紀』『日本文徳天皇実録』『日本三代実録』で、58代光孝天皇まで書かれている。これが「六国史」こうやって、正史は脈々とつながっているわけだ。本来は天皇紀は公開が前提ではないらしい。ぜひ公開してほしいものだ。

  • 期待していた内容と少し違ったので少し読むのに疲れた感じ。
    日本史ではなく国史とすべき、神話にも目を向けるべきというのは概ね同意出来る。
    子供がなんたらかんたらのミコトとかそこまで細かく勉強するのか?というのはやり過ぎな気もするが、読了して意識を深くしたのは、
    ・日本人はもっと自国の歴史に興味を持つべき、特に国の成り立ちについてきちんと理解してないのは日本人くらいのもので、グローバル云々言う前に学ぶべき大切なものがあるだろうということ。
    ・古事記と日本書紀を自分なりに勉強してみないといけないかな
    ということです。

  • なにもそこまで書かなくてもと思うとこが多々あり引いてしまう。
    神話はあくまでも神話。史実ではなく物語として受けとめたい。

  • 日本人の精神的気質の根底にある、日本人の価値観。大事にしたいと思う。主に自然観、死生観、歴史観にあるという。日本人として自分の国の建国の歴史を知っておくことは、日本人としての自分に自信を持つためにも重要だと思った。日本の歴史、特に建国の歴史を勉強できて良かった。

  • 日本が、少なくとも1800年以上続く、世界で最古の王朝だと改めて気づいた。
    なぜか、学校ではそれを教えられない。
    愛国心と戦争とは別なはず、建国記念の日に日本の古代からの歴史を考える良い機会になった。

  • 日本の総選挙を見つめる中で、日本の建国の歴史への興味関心の低さを反省し手に取った本。建国記念日を知らない、祝わない日本人は多い様に思え、海外との比較でも確かに目立つ点。

    筆者は、日本が世界最古の王朝であることについて、「日本書紀」と「古事記」を中心にして論じる。真実と事実の違いについての考え方は興味深く、真実は必ずしも事実ではないという点に歴史の深さを感じる。

    国内、海外旅行を通しても日本の良さを痛感する今日この頃、他国の人に日本の歴史を紹介、説明できるようにしたい。

  • 〈簡易レビュー〉
    明治天皇の玄孫が書いた本です。
    歴史の教科書に書かれていない日本国の建国の秘密について書かれています。
    第一章、第二章の2分割されており、
    第一章では、記紀に基づいた歴史認識の仕方について。第二章では今の中学生のために作られた歴史教科書です。

    〈感想〉
    たしかに自分は日本国がどのように成立してきたのか理解できていませんでした。なぜ天皇陛下があそこまで敬われるようになったのか、長く続く天皇家はどこから始まったのか。それらを理解させてくれる本です。

  • 確かに初代天皇って習わなかったなぁ、推古天皇が女性ってのくらいで何代目かも知らない。
    日本人が宗教に無関心というかあまり興味もないのは聖書とかコーランに値する日本書紀とか古事記を読んだ事のない人の多さもあるような気がしてきた。
    仏教徒の方だってお経はよく聞くものだろうし、中身はわからないけど。

    あと勤労感謝の日は大嘗祭に戻してもいいと思うよ、要は収穫祭でしょ? その国の呼び方でいいじゃない、どこの農業国でもやるような話だよ。

    とりあえず、古事記と日本書紀は読んでみようと思った。
    北欧ギリシャローマ中国インドの神話+聖書は読んだことあるのに日本神話はないという恐ろしさ。

  • 夫が図書館で借りたので、私も読んでみました。

    私は大人になってから古代史に興味を持ち、講演を聴いたり関連本を読むようになって、その時に初めて日本が世界最古の国家であることを知りました。
    一つの王朝が現代まで滅びることなく続いてきたという事実を知った当時はとても感動し、あらためて日本を誇りに思ったことはとてもよく覚えています。

    誇りに思う、でいえばもう一つ、中国の冊封を受けていなかったことも以前からそう思っていました。
    が、本書を読んで、一時期は中国に朝献し冊封を受けていた時期があり、その後脱却していたと知り、更に日本の気概に感銘を受けました。
    損得勘定を抜きにして脱却を決意したワカタケル(雄略天皇)、その後の聖徳太子達もそうだけど昔の日本は政治駆け引きが巧くってすごいんです!

    その他、欠史八代については虚偽の系譜だと思い込んでいたし、出雲の神話から読み取れる和の精神文化についても考えたことがなく、邪馬台国不要論を論じるなんて斬新で、古事記の訳本解説本を何冊か読んできた私は、多少なりとも理解している自負があっただけに・・・まだまだ甘かったと反省しました。。

    色々勉強になったのだけれど、その中で一番腹落ちしたのは、
    「聖書やコーランに書かれたことは、史実であるかどうかはさておき「真実」とみなされている。同じように日本人も記紀に記されている神話は真実として認識するべき。史実性を追求する論争は意味がない。」
    という考え方。
    ノアの方舟とかマリア処女受胎とか、史実かどうかは問題視されないという事実を突き付けながら、神話の意味や価値、アメリカ等戦勝国の意図を丁寧に説明してくれたことはとても納得感がありました。
    教科書に載っていなくても、記紀は現在発禁処分になった訳ではありません。
    せっかくこうした知識を蓄えたのだから、また近いうち再読しようと思います。(訳本だけどね。。)

  • 日本史を『国史』と言わないのはおかしいと著者は指摘していますが、確かにそうですね。一体誰目線だ!って思いましたし、指摘されるまで気付きませんでしたね。
    記紀(古事記と日本書紀)を一つの宗教ととらえれば、日本史を『国史』と呼ばないのは、ちょっと納得します。特定の宗教を教えるのは公正な観点から見れば非難されても仕方ないでしょうが……それにしても日本の成り立ちを記紀に求め、それを教えていかなければならないとする著者の主張も理解できます。

    日本の歴史のすごさをアピールしまくった本ですが、なるほどすごい。世界最大にして最古の古墳があったり、世界最長の歴史をもっていたり、武力に頼らずに領土を拡大したり、世界の常識とは並外れています。それだけで十分に読む価値があります。

    「これだけ物のあふれる自由で豊かで安全で、しかも文化の香りの高い社会に暮らしていて、国を愛して何が悪いのか。むしろ、これだけの大きな恩恵を受けていながら、国を愛さない方がおかしいと私は思う。」
    著者の考えに違和感を持つのは、ここです。これって、『アメ玉をくれるお兄さんが好き』と言う子供と同じ発想で、大人には通用しません。大人だと、『アメ玉をくれる』行為と、その行為をする『人』とを区別し、『アメ玉をくれるのは嬉しい(=好きだ)けど、くれるお兄さんが好きだとはイコールではない』と分かります。これは、アメ玉をくれる人なら誰でも好きになるのと同じで、さらに言えばアメ玉をくれなくなったら嫌いになります。
    では、日本人は日本のことをどう思っているのか。僕自身がそうであるように、大半の日本人、特に若年層では、『日本に生まれて良かった』と思うけど、愛着とか、愛国心はそれほど高いものではないと思います。しかしながら、愛国心は高くなくても、著者危惧する『愛国心のない国は滅びる』という心配は杞憂に終わると思います。根拠はありませんが……。

    従来の中学生の歴史の教科書を改定した教科書(案)が本書末に載っていますが、こちらの方がより上手くまとめてあり、良いものに仕上がっていると感じました。
    僕の評価はAにします。

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著者プロフィール

昭和50年(1975)、旧皇族・竹田家に生まれる。明治天皇の玄孫に当たる。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。専門は憲法学・史学。作家。平成18年(2006)に著書『語られなかった皇族たちの真実』(小学館)で第15回山本七平賞を受賞。令和3年(2021)には第21回正論新風賞を受賞。著書はほかに『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』『日本人はなぜ日本のことをよく知らないのか』『日本人はいつ日本が好きになったのか』『日本人が一生使える勉強法』『アメリカの戦争責任』『天皇は本当にただの象徴に堕ちたのか』『日本の民主主義はなぜ世界一長く続いているのか』(以上、PHP新書)、『現代語古事記』(学研プラス)、『決定版 日本書紀入門』《久野潤氏との共著》』、『なぜ女系天皇で日本が滅ぶのか《門田隆将氏との共著》』(以上、ビジネス社)など多数。

「2023年 『日本のどこが好きですか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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