連合艦隊・戦艦12隻を探偵する

  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569800455

作品紹介・あらすじ

太平洋戦争中、日本の戦艦は何をしていたのか?3人の歴史研究家が、各艦について詳しく検証。

感想・レビュー・書評

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  • 奇妙なタイトルの本。戦史家3人による対談集。内容は、日本の戦艦12隻について評価したもの。各戦艦の戦歴をザックリ知ることができる。対談は、お互いの見解について、異論・反論を提示するところが面白い。相手に色々触発されて、面白いエピソードを紹介したり、相手の意見を考察したりして、なかなか面白く読めた。話を総括すると、日本の戦艦は概ね役に立たなかった。理由は、このタイプの戦闘艦の使い方を日本海軍がよく理解していなかったということだ。「大和」も象徴的な意味しかなかった。昨今、自衛艦の空母化論議が盛んだが、大和のように宝の持ち腐れにならないような使い方をよく検討して欲しいと思う。

  • 本当、悲しくなるくらい戦艦働いてない
    飛行機はおろか、艦船に対しても砲弾が当たらない

    潜水艦魚雷、長く走行するものだから肉薄攻撃しない
    挙句の果てに味方にあたる
    アメリカの飛行機からの雷撃、かなりの高さから落としても大丈夫
    日本のは海面近くで落とさないと壊れる
    八八艦隊、財政的にもたなかった
    艦砲射撃、日本が始める
    ワシントンと霧島、珍しい撃ち合い
    南雲留任にはまずい判断
    連合艦隊亜中枢はへっぴり腰多い
    飛行機は着弾観測用
    ※制空権がないと追われてしまう
    大和の空振り100発@レイテ
    砲術の権威、逃げるやつには弾はあたらん
    ※相手の飛行機や駆逐艦も勇敢

    戦艦大事、空母より格上の意識

  • 往年のウォーターライン・シリーズのプラモで帝国海軍のバトルシップを並べて楽しんでいた身としては、十分面白かった。ただ、みなさん歴史のウンチクが大好きだが、放談に近いので、あんまり真に受けてはいけないような話も含まれているだろう。

  • 長門陸奥/扶桑山城/伊勢日向/金剛榛名/比叡霧島、うまいこと五七五七七になるもんだ。

    後世の気楽さか、もうもう言いたい放題。そこさえ押さえておけば「言ってる言ってる(笑)」という楽しみ方もアリ。

    森下信衛さんという「大和」艦長が興味深いというか、同郷のよしみもあって特に惹かれた(私は常滑出身ではありませんが)。この「大和」「武蔵」の艦長の考え方による行動の違いが、後々大きな差異となって目に見えるようになった…というのがわかりやすく(批判精神一杯で)書いてある。

    おもしろい視点だと思ったのが、何故「大和」は特攻したか、特攻しなければならなかったか。何故「長門」「大和」などの太平洋戦争の旗艦は後方に引っ込んでいたのか。大和ミュージアム行く前に読んでおきたかった(これ読んで、また行きたくなっちゃった)。

  • 半藤さん、秦さん、戸高さんという昭和史を探偵し続けてきた三人が連合艦隊をサカナに鼎談する本書。お三方は年老いても意気軒昂だ。何より、戦後の昔から連合艦隊の生き残り将校の証言を集め歩いてきた、その蓄積があるから色んな角度で議論することができる。

    横須賀港で戦艦三笠を見ると、拍子抜けするほどに小さく感じる。日露戦争の衝撃を受けて英国が造ったのが三笠を超える戦艦ドレッドノート。そしてその「弩級」艦が金剛、霧島、比叡、榛名である。この四隻は太平洋戦争でも「働いた」を三人は目を細める。2.7万トンと小ぶりだが船速はあり、ソロモン海戦で狭い海域を艦砲射撃に向かったのは金剛、そして霧島であった。

    そして激しくなる建艦競争の下、「超弩級」で造られたのが扶桑、山城、伊勢、日向の四隻。そして米英を突き放そうと計画された八八艦隊構想の下で更に優秀な「長門」「陸奥」が建造されるが、ここにきてさすがに財政上の限界に行き当たり、日本はワシントン軍縮条約時代に入る。艦隊派と条約派の長い闘争を経て、軍縮条約を破棄して造られたのが「大和」と「武蔵」である。

    日露戦争の時代に「戦艦」という概念が形作られ、制海権獲得には砲撃力と装甲の厚さこそが重要との思想が世界の主要国を覆い、日本海軍もその時点では世界最高という戦艦を造り続けた。しかし広い太平洋で所詮は12隻しかない戦艦の遭遇戦が実現する訳もなく、太平洋戦争では空母や潜水艦といった脇役がメインで働くことになる。戦艦の働き場は限られるとなれば、鬼っ子ではあっても舞台が巡ってきた時に敢然と戦ったのかが問題となり、その点で三人は総じて不満のようだ。

  • 3氏による戦艦12隻と海軍に関する鼎談。
    大艦巨砲主義、アウトレンジ戦法への「当たれば・・・」批判。
    また対連合軍を大きく上回る魚雷の性能が、逆に遠方から発射することとなり効果を発揮せず。これに対し射程距離の短い米軍は至近距離まで近づいてから発射したので命中効率がよかった。
    武器も道具も使い方次第。機械が人間を退化させる面があるのと同様。

  • 連合艦隊と言えば多くの戦艦や空母等から構成されていたと思うのですが、恥ずかしながら、有名な大和と武蔵の戦艦以外はどんな軍艦があったのか知りません。

    この本は連合艦隊で有名どころの戦艦12隻について、太平洋戦争中にどのような活躍?をしていたかを、3人の戦史研究家が検証しています。

    大和や武蔵以外についての話は私にとっては初めてであり興味深く読むことができました。

    以下は気になったポイントです。

    ・戦艦の本質は「抜かれざる名刀」であることにあった(p2)

    ・日露戦争の黄海海戦や日本海海戦の頃は、指揮官は先頭で、先頭の艦に司令長官が乗っていたが、太平洋戦争のときは逆転している(p31)

    ・戦艦の名前のつけ方は、日本各地の国名、巡洋戦艦等は山の名前、軽巡洋艦は河川の名前(p32)

    ・太平洋戦争の後半に無敵だったアメリカ海軍が損害を受けたいちばんの敵は台風(p41)

    ・日本海海戦はかなり詰め寄って撃たせているので当った、太平洋戦争は射程距離ギリギリに退がっているので当らない(p51)

    ・金剛は英国製だが、そのあとの三隻(比叡=横須賀造船所、榛名=川崎、霧島=長崎)は国産(p56)

    ・以上4隻は太平洋戦争でよく働いた戦艦であった(p61)

    ・航空母艦と戦艦が並んだら、戦艦の艦長のほうが先任者であり守られるのは戦艦、守るのが空母(p63)

    ・96陸攻と1式陸攻で、新鋭戦艦「プリンスオブウェールズ」を沈めた、その時に巡洋戦艦「レパルス」も沈めた(p86)

    ・金剛型戦艦の名前は、4隻とも自衛隊のイージス艦で復活した、すべて「ひらがな名」で(p114)

    ・ミッドウェー海戦において、潜水艦「伊168」が米空母「ヨークタウン」に魚雷を打ち込んで沈めた戦闘は命がけであった、燃料残量が呉に着いたときに1トンのみ、これはほぼゼロの量で奇跡的な帰還(p154)

    ・潜水空母(伊400,伊401)は、海底を潜航していて、パッと浮いて攻撃機を飛ばすもので日本のみが造った(p186)

    ・陸奥と長門というのは本州の北と南、伊勢と日向は神話のセット、扶桑と山城な古代の日本の総称、大和と武蔵は西と東の都(p198)

    ・艦砲射撃を最初に行ったのは、アメリカではなく日本、戦艦「金剛」「榛名」のガダルカナル島ヘンダーソン飛行場への砲撃(p241)

    ・大和の間違いは、1)魚雷な2本までしか当たらない、2)レーダー、特に射撃レーダーがなかった(p270)

    ・大和の沖縄出撃時には、菊水特攻作戦のために、九州に数百機の戦闘機が集中していたが、直衛戦闘機をつけなかった、10数機の戦闘機が途中までついていって引き返した(p294)

    2012年4月22日作成

  • 30年以上前に、ウォーターラインシリーズのプラモデルを作ったり、軍艦の本を読んだりしたことを思い出しつつ、12隻の戦艦の戦歴をおさらいできた。
    その中で、主砲が大きくなるほど遠距離での砲戦となり、接近戦をした日本海海戦と違って、一向に命中しないという指摘は新鮮だった。

    帝国海軍に詳しい3人の鼎談なので、好き放題に発言している感じもあって、南雲やら栗田やらがぼこぼこにされている。たしかに、指揮官として間違ったと思えることも多いが、結果を知っている者の後付けの批判という部分もあるのではないかな。

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