漫画貧乏(まんがびんぼう)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569803838

感想・レビュー・書評

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  • 漫画家が出版社と対等に交渉しようとすると、大変だ、という話。
    漫画 on webの成立に至る

  • 愚痴。漫画家がいかにヒドイ労働をさせられているかを、しつこく繰り返す。「原稿の製作費を保証しろ」とか有り得ない。どうせ喧嘩するなら、原稿の価値を原価じゃなく売上で語らないと。■漫画家サイドの不満をひたすら述べるばかりで、出版社側の都合にはおかまいなし。人気作家となって影響力が出てきた状態でも、出版社に「金くれ」しか言わず、離別する方向でしか考えられないのでは、出版社も同業者も渋い顔するのも当然。■いわゆる「Win-Winの関係」というかビジネス感覚があまりに欠如している子供の我儘に聞こえる。まぁ、出版社も保守的で、こういう無茶をする人がいないと何も変わらないんだろうけど。

  • ブラックジャックによろしくの作者である佐藤秀峰氏が、自信の漫画人生を振り返り、「漫画家は儲からない仕事」と説く本。

    著作権は漫画家にあるにも関わらず、編集部にやりたい放題やられ、原稿料も十分にもらえないという状況に我慢できず、今は、自信でWEBによる漫画販売を行っている佐藤氏。

    漫画は日本の文化、と言われながらも、作成している人たちの扱いはひどくなる一方。漫画文化を守っていくためには、佐藤氏のように、新たな取り組みをしていける人が必要なのかもしれない。

  • unlimitedにて。
    ブラックジャックによろしくの佐藤秀峰さんが、出版業界の慣習に疑問を持ち、また出版の将来性に危機意識を持って、2000年代に電子コミック販売にチャレンジした話。
    危機意識と正義感と行動力がすごい。

    システムエンジニアとしては、サイト構築費用をケチったあたりは悪印象。
    暗黙の決まり事にもいちいち口を出すし、たぶん身近な仕事相手としてやりとりすると嫌になりそう。無関係な立場から成し得た成果だけ見ると正当だしすごい、ってなる人なのだろう。

  • ・ブラックジャックによろしく。で無断でセリフが4箇所変更。連載1話。名前変更、第5話。
    →もっと漫画家の意志が入るもんだと思った。

    ・編集者が行った取材内容を元に書いたら、抗議をうける。編集者は代行してるだけで責任取れないという。その翌年には、担当編集者の氏名を明記し、責任を取らせられるように。
    →自分で取材は忙しくて行けないからのジレンマ。でも最終的に編集者をまけさせてるから、漫画が売れてるからこそできる技。

    ・お金の話はわからない。ヒットしてるんだからいいじゃんと編集部。原稿料の定義がなされてないまま話がこれまですすんでた。覚書を交わしてようやく収穫。
    →力のある漫画家じゃないとできないだろーな。

    ・新人漫画家に原稿料の交渉ができる人は一人もいない。
    →載せてもらえるだけでありがたい所に足元見られるよね。

    ・小学館とは良い契約ができて感謝している。ただ、同時に出版社を通じてしか読者に届けられない挫折感。
    →もうすぐ電子書籍とクチコミで圧倒できる漫画がひとつくらいあってもいい気がする。

    ・漫画は出版社の商品。漫画家は協力してるだけ。
    →媒体が限られれば、強気にできるよね。

    ・電子書籍のウェブサイトで世界を変えたい!
    →ここが肝ですね。ただ、作者の漫画にどこまでの魅力があるか不明確。


    出版社の汚いところをぶちまけた本。想像はしてましたが、実際に漫画を書いてかつある程度の成功を積み上げた人だからこそ批判できるんでしょうか。この人もこの人でうがってる感じはあるので全部の言い分を真実とは思いがたいですが、業界に風穴を開けようとする姿勢に応援したいと思いむす。

  • 2012年現在の「海猿」「ブラックジャックによろしく」漫画家の状況あれこれ。前半は連載赤字に憤る話。後半は雑誌衰退に対し、個人で稼ぐための試行錯誤色々。

    何かよく言えば冒険的、悪く言えばモメごとの多い作家さんなのは知ってた。確かに台詞や人物の無断変更は酷い(っていうか打合せ何やってたの?)。連載作家になりたきゃまず100万貯めろって現実も苦い(マンガ家志望の専門学校や塾では教わるのかな?)。我の強い個人的な主張を鵜呑みにするのは危険だけど、作者が憤るのも分からなくもないと思う。

    反面、収入-経費=所得が原則なので税金計算違わん?とか、効率を考えて取材費のかからないテーマや作画のデジタル化、人件費の最適化など、努力はしてるのかなーとその辺書かれてないことに対して疑問に思ったりもした。週刊連載がいかほど激務か分からないし理屈屋というか職人肌ぽいので妥協は嫌そうだけど。

    あと後半の交渉の不味さを読んでて、タイトル通りお金に飢えた印象、というかお金もそうだけど信用できる人が周りにほぼいなくて、フリーで不安定な人生だからこんな感じの突っかかった人なのかな~と思ったり思わなかったり。でもそこがこの人のマンガの強みと言うか根幹なんだよなと思ったり。新しい試み:漫画on webも見てみたけど、うーんー別にここで買い物しないといけない感じはなさそう。協賛企業なんかついてボチボチはやれてるのかな。

    面白いかと言われると微妙。マンガ家の格差構造というより佐藤秀峰という作家のノンフィクションどっぷりという感じだった。果敢な先駆者か偏屈な道化師か。でも本当、紙の本が急落してるのは本当なので彼の七転八起ぶりには敬意を表したいと思って星3つ。

  • 漫画家の苦労。

    漫画で全部書いているのかと思ったら
    途中から文章。
    最初にあった漫画は、Webに使った分、だそうで。

    漫画家と小説家、といえば、印税で左うちわ、だと
    思っていましたが、まさかの赤字だとは。
    確かにひとりで書けば、時間はかかるけど丸儲け。
    人が入ってしまえば、それだけお金がなくなりますし。

    読んでいて、かなり漫画家ってしょっぱいんだな、と。
    原稿料は貰えるけれど、自分の本なのに
    自分の本ではないとは。
    そういえば、前に勝手に使った、というニュースを
    見た事があります。
    それがあれだったようです。

    今はそうではないらしいですが、某社は原稿命で
    作者の命はうすっぺら、だったと聞いた事があります。
    漫画家って、まったくもって対等ではない現実。
    新人の本をカバーするために、と聞いた事がありますが
    それでも…これは、きつい。

    となると、小説家ってどうなのでしょう?
    一人でしているとはいえ、取材とか資料とか
    色々ありますよね??

  • 「ブラよろ」が何故無料で読めたのか、これで全貌が理解できた。彼ほどの才能、ヒット作の数々を持っていても、個人の看板一つで食っていくのはかくも厳しい。メディアの電子化はフリーランスの重要な活路だと思っていたが、一概にそうとも言い切れないようだ。

  • 漫画家の金銭的な実情が生々しく書かれているのは興味深い。
    佐藤さんの作ったサイトにより、細々とでも食っていける漫画家さんが増えることを祈ってやまない。今後、「この人、漫画onWeb出身だったんだ」と言われる人が出てくるかどうか。
    アシスタントの人件費が圧倒的にネックな様に思える。クラウドソーシングとか活用しやすい枠組み作るのはどうだろうか。
    愚痴っぽいところはご愛嬌。編集も随分酷いことしてる。無許可で許諾はダメだろ。

  • 2012年4月刊。Kindle 版 (0円) で読了。
    『ブラックジャックによろしく』の著者による、漫画家の待遇について書かれた暴露本(?)。
    マンガなのは冒頭だけで、それ以外はエッセイです。
    マンガ業界と出版業界の現状。そしてこれから。

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