- Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569805566
作品紹介・あらすじ
水泳/陸上競技/ブラインドサッカー/スキー/シッティングバレーボール/ボッチャ/シンクロナイズドスイミング、スポーツに出合い、パラリンピックという「可能性」に挑んだ人々の実話。悲しみや苦しみのどん底から、もう一度、夢を見つけた7人の挑戦。
感想・レビュー・書評
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選手一人一人のストーリーだけでなく、障害者競技のクールなテクニック論も読みたくなった。
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障害者スポーツに関る方を追ったルポルタージュ
あとがきには以下の用に記されている。
『本書はマイノリティの努力や、それによってもたらされた結果について伝えようとしたものではない。ここかしこにいる、当たり前の人間が、耐えがたい苦しみや悲しみに直面しながらも、精神世界で自分と闘いゆくその過程。この進化した社会が作り出した、スポーツという、パラリンピックという機会に挑んでゆき、もういちど、新たな一歩を踏み出してゆく、心のありさまを探求した記録である』
7競技におけるルポで、そのどれを取っても、スポーツと人生が深くかかわり合っている様を感じることができる。
やや話の広がりにかけるのが残念だけども(1話で1冊の本が書けてもよいと思う)が、どれもが要点をついた話になっていると思う。
問い扱っている競技は以下
・障害者シンクロナイズドスイミング
・シッティングバレーボール
・ボッチャ
・障害者陸上競技
・障害者ノルディックスキー
・ブラインドサッカー
・身体障害者競泳
タイトルの『パラリンピックからの贈りもの』はルポのうちの一つ。ボッチャを行う選手からの言葉
「すなおになれたこと、謙虚になれたこと、そして、感謝できるようになれたこと。人は、一人なんかじゃ生きていけない。たくさんの人に支えられているし、もちろん、私も、一人なんかじゃないと、あらためて思うことができました。それが、私がもらった、パラリンピックからの贈りものです」
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【内容紹介】
昭和二十三年七月二十九日、イギリスのロンドンにて、第十四回夏季オリンピックの開会式が開催された。それは、第二次世界大戦後初にして、十二年ぶりとなるオリンピックの幕開けであった。会場には約八万人の大観衆が詰めかけ、五十九カ国、四千六十四名の選手団による入場行進や、陸上選手ジョン・マークによる聖火の点火を見まもった。
同日、オリンピックの開会式が行われている会場から北西に五十キロほど離れたバッキンガムシャーにあるストーク・マンデビル病院の院内で、車椅子を利用する入院患者によるアーチェリー大会が開催された。その提唱者である、同院脊髄損傷科初代科長のルートヴィヒ・グットマンは、のちに「パラリンピックの父」と称され、大英帝国勲章を授与された。アーチェリー大会には、男子十四名、女子二名の入院患者が参加したとされるが、その名は残されていない。
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【目次】
仲間がいるから:障害者シンクロナイズドスイミング
トスの人:シッティングバレーボール
パラリンピックからの贈りもの:ボッチャ
義足でのテイクオフ:障害者陸上競技
手作りの金メダル:障害者ノルディックスキー
ブラインドサッカーというサッカー:ブラインドサッカー
四年間:身体障害者競泳
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ノンフィクション作家 平山 譲 氏の作品です。
年齢を問わず子供から大人まで読めるエイジレスな小説であり、またスポーツへの興味の有無を問わず読めるボーダレスな小説でした。
7話の実話はパラリンピック選手やそれを育み支える人々の物語です。
7話とも短編ですがその物語の中には長編小説なみの内容が凝縮されていました。
スポーツを愛して止まない想いの丈が簡潔に物語られていますが、登場人物の人生観やチャレンジャーが費やす健常者の1万倍以上の努力がヒシヒシと伝わってきます。
身体障害者という気負いもなく希望に向う人たちの姿は潔く清々しく心に響きます。
(引用):パラリンピックの父と称される医師ルートヴィッヒ・グッドマンの名言である「失ったものを数えるな、残されたものを最大限に活かせ」:
の言葉は健常者、身体障害者に関係なく人として生きていくための教訓ですね。
勝つ事を考えるより負けない心を持つこと、諦めるよりはまず始めること、仲間と笑い共に生きることを教えていただけた一冊でした。
読後感=パラリンピックから贈られた「希望」を受け取らせて頂きました。
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