ひこばえに咲く

著者 :
  • PHP研究所
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569815060

作品紹介・あらすじ

最晩年に一躍脚光を浴びた津軽の画家と、彼を「オヤブン」と慕う女性。二人の間にはどんな歴史が……。現代と過去とが交錯する長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 原田マハさんを思わせる・・・
    ただ、彼との話はどーなん?
    表紙ってめっちゃインパクトあるけど
    私は裏表紙の方が好き

  • 913

  • これも実在人物がモデルかな。
    いつの時代かよく分からなかったが、実は最近の話か。

  • 小説らしい小説を久しぶりに読んだ気がした。
    フクの一途な想いがよかった。
    香魚子の方は年齢の割に幼い恋というか、それが可愛らしさととればかわいいのだけども。
    とにかく、ケンとフクの話がよかったから⭕️

  • 津軽の画家、描きたいから描く。土蔵の中に日の目を見ないままの絵が150枚もあった。

  • 津軽が、生んだ画家 上羽硯の個展を開くにあたって、香魚子は、奔走する。
    無名の画家であり、1枚も売らずに、リンゴ畑の無屋に、ひっそりと、おかれていた150枚もの絵画。

    ふと手にした画集からの縁で、衝撃を受けた香魚子は、父が閉店したギャラリーで、個展を、開くにあたり、画家ケンを、オヤブンと慕う、フク存在が、そこにあった。
    ケンの生い立ちから、香魚子のフランスでの恋愛状態、そして、フクの絵画への執心、、、
    最後には、ケンと、フクの絵描きとしてのつながりの深さ故の、恋愛感情への動向。

    こどもは、可愛い、のぞむことは、すべて叶えてやりたいし、いつまでも膝の上に乗せて、これが蝶、あれが、花だと一緒に戯れながら、花園で育ててやりたい。と、願いながら、人間は、生活するために、一家を構え、その日々と人生に責任を負わないといけない。と、書かれている。

    ケンの娘が、美術館を作る時に、直ぐに返事が出来なかった理由は、、、、やはり、気ままに、芸術のみを愛した父に対する気持ちが、返事を送らしたのだろう。

    しかし、ひこばえのように、娘も、その根元から、又違った意味で、成長して行くのであろう。

  • 蘖(ひこばえ)とは、樹木の切り株や根元から生えてくる若芽のこと。太い幹に対して、孫(ひこ)に見立てて「ひこばえ(孫生え)」という。(ウィキペディアから)
    今思うと題とあっていないようにも感じるが・・・生み出していく作品がそれなら、良い題だと思った。
    全てを『素直』とか『純情』では生きてゆけない。
    おぞましい部分や未熟な部分。複雑な為りように、納得と悔恨。
    出会えてよかった。読んでよかった。

  • 玉岡かおるさんが好き
    読みやすくって好き
    出身地がお近くなのでこの辺りを題材にしたものが多かったけれど、これは遠く青森
    実在の画家がモデル
    主人公よりフクさんが魅力的だったなあ
    もっと内面に食い込んでほしかった
    《 枯れてなお ひこばえに咲き 命継ぐ 》

  • 実在の画家をモデルとした小説です。
    絵を売るために描くのではなく、描くために描く…。
    画家とフクの関係はたとえ不倫であったとしても、どこか清々しいですし、彼らをとりまく人々は魅力的な人が多いです。

    他方、現代の主人公の恋はどうでしょうか…。
    その切ない気持ちというのは理解できないわけではないですが、相手をしてくれないからといって、夜中にわざと部屋を出て行こうとしたり、泣いたりするその態度は読んでいてちょっとなあ…という気持ちを正直抱きました。
    画家の絵に衝撃を受けてからの主人公は憑きものが落ちたようで、ずっと魅力的に思いました。

    個人的には、主人公の恋は蛇足で、画家とフクの交流についてもっと描かれていたらなおよかったのではと考えます。

    絵のことはよく分かりませんが、実在の画家の絵、いつか機会があったら、見てみたいです。

  •  津軽に埋もれていた未知の画家を発掘した銀座の画廊経営者・香魚子。そして90歳になろうとする土の香りがする画家・上羽硯(ケン)、ケンの絵に圧倒されケンを長年親分と仰いできた女性画家・緒形芙久(フク)、香魚子の恋人らとともに、ケン・フクが若い青春時代に出会った作家・宮本百合子が重要な位置を占めている。百合子と宮本賢治の往復書簡が一つの暗示になっていることも良く考えられている。表紙の絵の常田健氏がこの画家のモデルか?著者があとがきでこの小説を書くことによる迷惑を心配したと書いており、実話に近いことなのか?読み終わって本当の主人公はフクであったように思われる。香魚子が絵に出会った時の表現が美しい。「フクもまた、言い尽くせない幸福な気持ちでそれを見ていた。ケンの絵の中でもとりわけ好きなりんごの木の絵。まるで王女の冠のように、白い、静かな花を無数にちりばめ、咲き誇る木。花に燃え立ちながら、幹を天へと向けてそそらせる木だ。だがそれが美しいのは、樹木が生い立つ地面の色、たしかな土の色が、背後の夜の闇に呼応しているからだった。」

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著者プロフィール

◎玉岡 かおる(たまおか・かおる)作家、大阪芸術大学教授。兵庫県三木市生まれ、神戸女学院大学卒業。15万部のベストセラーとなった『夢食い魚のブルー・グッドバイ』(新潮社)で‘89年、文壇デビュー。著書には『銀のみち一条』、『負けんとき ヴォーリズ満喜子の種蒔く日々』(以上新潮社)、『虹うどうべし 別所一族ご無念御留』(幻冬舎)などの歴史大河小説をはじめ、現代小説、紀行など。舞台化、ドラマ化された『お家さん』(新潮社)で第25回織田作之助賞受賞。『姫君の賦 千姫流流』(PHP研究所)は、2021年、兵庫県姫路市文化コンベンションセンター記念オペラ「千姫」として上演。2022年5月『帆神』で新田次郎文学賞受賞。

「2022年 『春いちばん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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