- Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569818269
作品紹介・あらすじ
本物の教養人・巖谷國士が思い描く植物は文学、映画、美術と広がる。PHPスペシャルの好評連載を加筆、再編集してまとめた随想集。
感想・レビュー・書評
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筆者自身が軽い読み物としていて、そのとおりサラッと読める。それでいてとても満足感があるのは、筆者の植物に対する愛情に満ち溢れているからだろう。それぞれの植物に纏わる幼少時の思い出、思い出す場所、もの、人...すべてに優しさと慈しみが感じられるエッセイ集でした。ところで、花に関わるエッセイといえば、まず「フローラ逍遥」を思い出しますが、澁澤が登場する場面もあったので、そこでしみじみとしました。宇野亜喜良さんの挿画も素敵。
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どれだけ自分が周囲の樹や花に関心なく生きてきたかが分かるな…お恥ずかしい…。
でもこれからはどこかで「ああ、あれか…」と気が付くと、ハッとする日々が送れるかもしれない。
そう信じて心に留めておきたく思う今日この頃。
勉強になる。 -
雑誌連載だった花と木の話、だそうな。
何気なく図書館で手に取った本だけど、好きな植物が結構載っていて嬉しい。
アカシア・紫陽花・時計草・柘榴・凌霄花・ミモザ・オオオニバス・藤・竜血樹…。 -
ジャカランダ。知らぬ間に夢幻の酔いがまわってくるような初夏の夕刻。
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一項一項味わいながら読んだ。
そろそろ季節の植物が楽しみになるころ。 -
この人、好きじゃない。
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巌谷先生と植物で表紙が宇野先生でこのサイズ感でそれはもう手のひらにしっくりとくる愛すべき本。
植物がタイトルとなった36のエッセイ。ご本人も言ってらっしゃったけれど、エッセイと言ってもご自分の事はあんまりなくて、思い出す誰かや出来事の話。そこがまた良い立ち位置というか、ただのオシャレエッセイのような妙なゾワゾワ感も無く、冷静に楽しめる。
とはいえ言葉の選び方はさすが幻想的というか、植物の香りや彩りや情景なんかが過剰なまでにぶわっと感じられるんだけれど、何故か馴染んでいるのは、きちんとその言葉が作者に馴染んでいるからなのだろうなぁと。
個人的には「アンスリウム」ってどうにも造花みたいであまり好みではなかったのだけど、無邪気な澁澤氏のエピソードのおかげで一気に株価上昇(笑)。
余談としては、ちょうどこの時期のトークイベントでサインなぞも頂いたのだけど、会場がまた「幻想植物園」的な、不思議で心地良い空気でした。
トーク内容もタルコフスキーからガルシア・マルケスからナウシカから進撃まで、古来の起源から今現在のカルチャーにまで及ぶ。果ての見えない知識の源泉は、あらゆる琴線に触れるものへの興味と探究心と遊び心なのだろうなぁ。
この本もまた、長い間少しずつ厚みを増した積層があるからこそ、その中のほんの薄皮一枚の話でさえ、さらっと読めるようでいて後味は濃厚で、幾度の読み返しにも耐えうる。
別のギャラリーで宇野さんの原画もちょうど見ていたので、この本の様々なバックヤードをふまえて読む事ができ、とても贅沢な読書となったのでした。