憲法主義:条文には書かれていない本質

  • 311人登録
  • 4.13評価
    • (29)
    • (38)
    • (13)
    • (1)
    • (1)
  • 39レビュー
  • PHP研究所 (2014年7月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569819136

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
中村 文則
シーナ・アイエン...
朝井 リョウ
トマ・ピケティ
川村 元気
國分 功一郎
有効な右矢印 無効な右矢印

憲法主義:条文には書かれていない本質の感想・レビュー・書評

  • 憲法の本質とは、「法の支配」を具現化し、国民を脅かす力を持ちうる国家という存在を抑制する砦となる存在である、ということを「憲法学」というよりも、条文を媒介にして、社会との結びつきの中で体得させていく、という難題に挑んだ講義の記録である。
    タイトルは、AKB48グループのファンにとってみれば、AKB48の名曲「純情主義」とかかっているようにも見えるし、憲法学に造詣が深ければ明治時代の意訳である「立憲主義」にかかっていると思い浮かぶのかもしれない(浅学な私には到底ムリだが…)。
    そんなこの講義録は、将来、日本の憲法学を背負って立つ可能性のある研究者が、元々が知性的である上に、一般的な高校教育からみれば独特な体系の公民の授業を修めたのではないか、と思える優秀な女性との対話が収めてある。
    章立てとしては「法の支配」の要素の4つのうち、最高法規性、基本的人権の尊重、違憲立法審査権、の3つに軸を置きつつ、間に、国民主権と国会についての説明をいれ、最後に、上半期に巷間を騒がせた改憲についてを語る、という構成を取る。
    特に、序論である最高法規性の説明については周到で丁寧な議論がされており、凡百の「憲法」の専門書より余程理解がしやすく、尚且つ深い議論の端緒が記されている素晴らしい書籍だと思う。

    そうした良書であることを踏まえて尚、少々の疑問を述べたい。

    結局、問題は人権の章だ。
    憲法においては、人権は、統治機構と二分する非常に重要な部分を占めるし、憲法の代表的な基本書である芦部信喜氏の「憲法」は、統治機構よりも人権について多く頁が割かれているのは周知の事実だ。
    しかし、南野先生は、憲法は国民に直接影響をもたらさない、という説明に留まり、実際、憲法の人権規定が個人を救う場面を丁寧に説明しない。
    憲法が直接国民に適用されることは否定されているが、そもそも法律は憲法に適合することが求められた上で運用されているため、憲法の理念は法律に反映されている、という説明や剣道実技拒否事件や三菱樹脂事件の判例などを説明すれば、彼女が、たとえば所属するグループにある、と言われる「恋愛禁止ルール」の是非について、「ルールが存在する」前提ではなく、そもそも「ルールが適切か」という所から考える深いレポートに導ける可能性があったのではないか。
    そして、憲法は法律では守れない、私達個人の権利を最終的に救済してくれる方法となりうる、と捉えてくれたのではないか、と思えてならない。
    そういう意味で、人権の議論が淡白になってしまった点は残念だ。

    しかし、それでも本書は非常に良書であることは疑いようがない。

    (本書に第4の権力という俗称は使われないが)マスコミが本来果たすべき役割を明らかにし、違憲立法審査権と三権分立、そして民主主義の欺瞞、といった部分にも光を当て、最終的に、護憲、改憲、というレッテルに傾いた枝葉末節の下らぬ市井の憲法議論を鮮やかに吹き飛ばす終盤は、春に刊行されるべきだった、という悔恨さえ抱かせるもの。

    最後に、慶應大学に入るから、といって「福翁伝」を読む、というほどの意欲的な少女による総括的レポートを引用したい。
    憲法の価値とは、「その憲法が『その国に根づいているか』、『安定しているか』、『運用されてきたか』ということ」から定められる、としている。
    この理解に、リーガルマインドなどという言葉とは無縁のはずの高校生が僅か2日で到達したことに、敬意を表しながら、拙文を締めたい。

  • 憲法学者とAKB48所属のアイドルとの対話形式で進む異色の憲法本。憲法学をかじったことのある人なら知ってるような内容ばかりだが、内容の水準は低くなく、憲法の基本をおさらいできる良書。
    立憲主義的な憲法における違憲審査制の重要性の指摘が印象に残った。確かに違憲審査制の担保がなければ、憲法が最高法規といっても名ばかりになってしまう。ただ、違憲審査制は民主主義の観点からは緊張をはらんだ制度であり、最高裁判事の国民審査が重要という指摘ももっともだと感じた。
    憲法9条をめぐる議論の整理もよくできている。特に、これまでの政府解釈の論理構造についてよくわかった。
    国民の義務を憲法にもっと書き込むべきという議論に対して、憲法は国家権力を対象にしたものであり、国民に義務を課すなら法律でやるべきという指摘があったが、実に明快に感じた。

  • 日本国憲法の基本的なことを学ぶのにお勧めの1冊です。初心者でなければ少し物足りないかもしれません。

    以下ためになった点の箇条書き
    ・憲法→法律→権限
    ・尊属殺規定、一票の格差は憲法違反
    ・後法は前法を破る
    ・硬性憲法→法律に比べて憲法改正は難しい
    ・①最高法規②硬性憲法③違憲審査性
    ・社会契約論→自然状態よりもマシな状態にするため
    ・憲法は国家権力に対するもの、法律は一般人に対するもの。
    ・日本国憲法は一度も改正されていない
    ・他の人の人権との調整が必要な場合もある→プライバシー
    ・大日本帝国憲法では三権をほぼ天皇中心に行っていた。
    ・直接民主制→憲法改正の国民投票、最高裁判所裁判官の国民審査
    ・小選挙区比例代表並立制→メリット・デメリット
    ・間接民主制で表現の自由(報道)は超重要
    ・ねじれ国会
    ・日本の違憲審査はたった10件→内閣法制局の厳しい審査
    ・憲法九条①戦争放棄②戦力不保持
    ・日本政府は①限定放棄②全面不保持説をとってきた
    ・憲法は変化するのは、憲法自体が変わる場合と、憲法の解釈が変わる場合とがある。

  • 2014年刊行。シンプル、スタンダード。一部は論争になりそうな部分への言及があるが、普通のまともな憲法学者が、憲法全体に関して(ただし、基本的人権の項目はあまり詳しくないが…)、わかりやすく、当たり前のことを当たり前に書いている印象。本書から、本書に参考文献として挙げている基本的な憲法本に入っていくのも一法か。まあ、実際、深めていくと法実証主義的な発想か、自然法思想を基盤とする発想か、色々変わってくるのだが…。

  • 憲法は国家権力を縛るためのものである。

  • 2016年8月。個人的な民主主義・憲法強化月間三冊目。基本中の基本も忘れている私には、読みやすく、汲み取りやすかった。

    国民は憲法を守らなくていい。守らなければいけないのは国家権力。

    日本国憲法改正には、国会の三分の二、国民投票の過半数の賛成が必要。憲法改正をするよりも、解釈改憲の方が早いし、簡単だし、確実ということで集団的自衛権の閣議決定を通した安倍総理のやり方には反対。
    ただし集団的自衛権についての立場は、今更…本当に今更だけれど、もう少し考えたい。

    間接民主制で一番大事なのは「表現の自由」、という一文を読んで、SEALDsが「民主主義ってなんだ」「民主主義ってこれだ」と言っている意味が分かった気がする。

    その他にも、一票の格差について最高裁が定数の是正を唱えても選挙制度の改革が難しい理由など、納得する内容だった。

  • 憲法の条文に込められ思いみたいなものを感じました。日本の在り方を考えさせられました。

  • 憲法とは何か? 政治を動かしているのは誰か? 気鋭の憲法学者・南野森が、憲法を暗記しているアイドル・内山奈月に憲法学を講義。2日間の講義のやりとりと、内山が書いたメモやレポートを収録する。

  • AKB48のメンバーである内山奈月さんと九州大学准教授である南野森氏による憲法についての講義をまとめた一冊。
    非常に読みやすく、アイドルである内山さんの見識の深さに感嘆するとともにアイドルと准教授の企画本という領域を超えた深い議論が交わされており本当に勉強になる箇所が多くある一冊であると感じました。

    日本国憲法について憲法の名宛人が誰であるかや日本での法律の作成方法など学生時代に学習したことよりもさらに踏み込んだ内容について深く知ることができました。
    そして、本書で学んだことで印象に残っているところは81条の違憲審査制が明記されている重要性と法律と憲法の力関係は知識として知れました。

    南野氏のわかりやすい解説や各章の最後の内山さんのまとめが論点を押さえられており素晴らしく、アメリカでの失敗や様々な憲法を模範として作られた日本国憲法が独裁と民主主義の間の絶妙なバランスで成り立っていることやなぜ70年ものあいだ改正されなかったのかということが本書から学ぶことも出来ました。

    本書から学んだことを活かして、憲法をはじめとする法律についてもっと学んでいこうと感じると共に、法律学の入り口に立つとき是非とも手に取って欲しい一冊だと感じました。

  • 基本的なことがわかりやすく書かれていて基礎を知るには十分だった。

  • 憲法というものの本質は、権力を縛り暴走させないための最大の抑止力であるという事。憲法を変えるのは容易ではない労力を要するのは、簡単に変えられるようなものでは権力者を縛ることが出来ないためのものだ。
    その為に今解釈の変更のみで憲法を捻じ曲げ、戦争が出来る体制を作り上げようとしている。
    そりゃ解釈だけでねじ曲がるものならこんな楽な事は無いだろう、他の件に関してだって屁理屈をこねればそれで通ってしまう事になる。
    他の国が戦争をしているから、他の国が殴り合いを始めるから俺も一緒に加勢しなくては。おいおいチンピラのような理論を国レベルで適用するつもりか?それが仁義なのか?

    などと思った事を書いてみたものの所詮は憲法ビギナーなので、現在勉強中です。
    この本はAKBの女の子が憲法の講義を受け、それを僕らに分かりやすく提示してくれる非常な良書であります。
    この子はとっても聡明な女の子で、読んでいてある種の危惧を覚えました「俺、ちゃんと生きないといかんなあ・・・」という思いです。

    眼から鱗だったのは、憲法というのは権力を縛る物であって、国民が守らなければいけないのが法律だという事。立憲主義とはそういう事だったんですね。

    国家権力にとって憲法はとっても邪魔な物という事が書いて有って、今まで思った事もありませんでしたが、これだけ変わることなく使われ続けて来たこの憲法というものは成立して以降この国を運営し守ってきたのだなと思うと、解釈程度で変えていいものではないとつくづく思いました。
    こんなことがまかり通るなら権力さえあれば道理が引っ込む事となって、今後も同様に屁理屈を通そうとする輩が続々と登場するに決まっています。

    それにしてもAKBかあ・・・頭の出来とは関係無いけれど、すごいな( ゚Д゚)

  • Akbの内山さん 南野先生との本質的対談

    バーコードがうまく読めず

  • AKB48のアイドルが憲法学者に講義をしてもらう、講義録形式。

    とはいうものの、それなりに重要な事項や内閣法制局になる人はどんな人なのかなどの裏話も読むことができて、最初の本としては悪くないと思った。それなりにオーソドックスな内容を含んでいる。

    これを入り口に巻末のいろいろな本を読んでみるのもよいかもしれない。

  • なっきーはかしこいね。

  • 平易で悪くないが、なぜか読みにくい。

    憲法の存在意義や生い立ちなど、知っていて当然なのにほとんど知らないことを、対話形式で優しくレクチャーする本です。

    わかりやすくてなかなかいいと思いますが、なぜか読みにくい。

    噛み砕きすぎてクドいのかな?

    とはいえ、今まで憲法のことなんて考えたことがない人にオススメです。

    始めの一歩としては悪くないと思いますよ。

  • 非常に分かりやすく、憲法のエッセンスを知ることができた。今、話題の集団的自衛権の問題もどこが問題なのか端的に理解できる。
    しかし、AKB内山、優秀過ぎ。

  • 参考記事:
    『自民党がAKB国会招致を断念した本当の理由 安倍首相と真逆の憲法思想の持ち主だったから?』(LITERA 2015.5.27) http://lite-ra.com/2015/05/post-1140.html

  • 20150210 買って大分経ったが読み終わった。興味から買ったが読みやすく説明も丁寧で良かった。入門の入門に使ったり私のように昔の記憶を思い出すのにも有効だと思う。

  • 時間切れで途中少し飛ばしましたが、よい勉強になりました。いまさら聞けないことが盛りだくさんでした。

  • 憲法は権力者を縛る。法律は国民を縛る。憲法を読んでみようと思った。

  •  憲法とは何か?憲法と普通の法律との違い、役割はなにか? 日本国の憲法がどういう位置づけなのか?等 非常に平易に書かれていて、すんなり頭に入ってくる。(その分、頭から出て行くのも早いけど)
     法律は国民を縛るもの、憲法は権力者を縛るもの。硬性憲法・・・・。 これまでおぼろげながら知っていたことを明確に書いてくれていて非常に為になる。また、日本国憲法中にはいろいろそれまでの他国の憲法を基にした工夫が見られるのがおもしろい。(違憲審査権等)
     聞き手の内山菜月ちゃんが聡明。

  • 以前に読んだ「日本国憲法を口語訳してみたら」は個々の条文解釈にスポットを当てていたように記憶していますが、本書は「そもそも憲法とは?誰のため?何のため?」という根本のところ(制定の背景、理念などの大枠)を理解するのにとても解りやすかったです。
    (著者の名前に引っかけたわけじゃないけど)「まず森をみてから木を見ていく」ことですんなりと読み進められました。
    政治・経済履修してたのに知らないことだらけ…何も勉強してなかった気がして軽く自己嫌悪です。

    それにしてもなっきーの聡明さが滲み出てて!
    編集もあるのでしょうが、南野先生もとのやり取り、章末のリポートのまとめ方やその読みやすさなど「すごいなぁ」と呟きたくなる箇所が多々ありました。
    48グループ好きとしては推しメンがこれでまた一人増えました。

  •  憲法学者がAKB48の女の子に憲法を個人授業。

     アイドルと一緒に憲法の基礎を学ぶことができる良書。日本国憲法を考える上での要点が詰まっていてお手軽ながらしっかり勉強できる。
     ちょっと内山奈月が頭良すぎるのが難点か。もう少しくだけた感じでもよかった。

  • 南野先生と内山さんとのやりとりがすばらしい。素朴な疑問に対して、憲法に込められた精神みたいなものをわかりやすく示してくれる。戦後のアメリカや日本の学者がどのような思いで日本国憲法をつくったのかなんてことは今まで考えたこともなかった。軽い感じで読めるが意外と奥が深い一冊。

  • 323.14 / 憲法-日本 /

全39件中 1 - 25件を表示

憲法主義:条文には書かれていない本質を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

憲法主義:条文には書かれていない本質を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

憲法主義:条文には書かれていない本質を本棚に「積読」で登録しているひと

憲法主義:条文には書かれていない本質の作品紹介

憲法を暗記しているアイドルと、気鋭の憲法学者による、1億人のための憲法学講義。投票の自由とは? 有名人にプライバシーはある?

憲法主義:条文には書かれていない本質はこんな本です

憲法主義:条文には書かれていない本質の文庫

ツイートする