いっしょうけんめい「働かない」社会をつくる 残業代ゼロとセットで考える本物の「エグゼンプション」 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569821047

作品紹介・あらすじ

労働時間の規制を適用除外とする「エグゼンプション制度」。雇用の第一人者が「過労死促進法」といわれる制度の内実に迫る一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 一貫してるね

  • 大企業から中小企業への転職が成り立たないのは、年収の差があるから。
    欧米の普通の人は40歳以降昇給しない。もともと昇進制度はない。
    フランスでもエリートは日曜労働=ガードル層
    日本型人事管理は、全員ガードル層

    欧米は仕事に人をつける、日本は人に仕事をつける。
    職務範囲の限定、ではなくポストと人の結びつき。
    欧米では、異動や昇進はない=別の会社にも応募しやすい。
    社内での応募は玉突き人事を発生する=外部に人材を求めやすい。
    日本型は人事が自由=会社という袋に入る制度だから=自由に仕事を割り振る反面、首にできない。

    エリート学生でも、入口はLP(幹部候補だが、2年程度の非正規)
    日本型は入社の段階で肌合いのいいひと、に絞られる。

    若年雇用の仕組みがあれば、若者の高失業率は避けられる。ドイツの例。

    半休制度と労働日数上限でお付き合い労働を防げる。

    年収が高くなければ転職市場は盛んになる。

    新卒の採用条件は、仕事が上手くできるか、仲間とうまくやっていけるか。

  • 日本型雇用のメリットも活かしながら、その改めるべき点も示した本。欧米礼賛にならず、事情に応じた働き方を選べそうな予感がしました。

  • 海老原氏の今までの著作と比べると、かなり真面目に書かれている。タイトルは奇をてらっているが、内容は他の先進国との比較、エグゼンプション、正社員と非正規社員、今後は欧米と日本のいいとこどりによる労働市場の活性化、中高年でも転職しやすい状況をつくることなど。

  • ある方がおすすめとして紹介していた本でした。
    この著者の本は何冊か読んだことあるが
    今回の本は、私が特に最近疑問に思っていた
    日本以外の国での、新卒の雇用の入り口がどのようなものか
    雇用維持がどのようにされているのか
    という情報の記載があって、
    日本型のシステムが、悪いとことばかりではないこと
    欧米型をそのまま導入すれば良いということでもないこと
    でも、このままではまずいということ
    が、おぼろげながらわかった気がする。
    この本が書かれたのは5年前の2014年なので
    その後の、状況がどのように変化しているのかという点は気になるところ。
    とはいえ、日本は良いも悪くも変化は緩やかなので大きくは状況は変わっていないけど、今年の4月から、労働基準法が改正されて、少しまた変化というところか。

  • ビジネス

  • 刺激的なタイトルだ。「ホワイトカラーエクセプション」に端を発した日本の雇用の問題点を指摘した本書の内容を素直に表すのであれば「日本型雇用の後始末」「日本型雇用の終焉」といったタイトルが相応しいのだろう。

    日本型雇用をある程度礼賛しつづけた著者がこの刺激的なタイトルを選んだのには、日本型雇用の勝手を知る内側から機能不全になっている部分を切り出そうという意図があるらしい。礼賛してきたのは"外側"の欧米型雇用万歳な態度へのアンチテーゼという意味もあったという。

    そういう著者の主張は30代後半くらいのキャリアから日本型から欧米方(人ではなくポストに職をつける雇用)へシフトしていくべきというモノだ。

    なうほど、現状で「ホワイトカラーエグゼンプション」を導入すれば「成果型報酬」が給与面だけにしか反映されなかったように、骨抜きで導入され、結果、企業経営側の都合のよいようにしか運営されないだろう。

    日本型雇用は若年層にはキャリアアップのために有効に働く側面もあるが、反面―いわゆるブラック企業のように―企業に都合のいいように労働力を搾取できるという側面もあるにはある。

    それにしてもここ20年以上も「日本型経営」からの脱却を図ってきたはずではある。しかし、どれひとつとして上手く行ってはないのだろうか。「人間を幸福にしない日本というシステム」(カレル・ヴァン ウォルフレン)が機能不全に陥っているのだろうけれど、それを認めたくない人たちがまだまだ生き残っているということなのだろうな。

  • 日本型がいい、欧米型がいいという話ではなく、どちらにもメリット・デメリットがあって、年齢に合わせて日本型から欧米型に移行していけばよいというのは、たしかに。混ぜ合わせるにしても、欧米で日本型を取り入れていくより、日本で欧米型を取り入れていく方が、実現の可能性が高そう。p.182の欧米と日本の家計維持の図表が分かりやすかった。

  • エグゼンプション(例外という意味。ここでは残業代不払い制度のこと)をうまく活用して、日本型の雇用環境から欧米のジョブ型雇用環境へ半歩でも進もう、そのためにはどういうビジョンと知識を持っていればいいのか、そして、移行していくためにはどうしたらいいのか、どう構えればいいのか、を説いた本です。ただ、そこでは、新卒採用からはずれたり、中途退職したひとの再チャレンジについては、あまり立ち入っていません。本書の三章を読んだ時点で、日本型のよさが、若者たちの就職しやすさという恩恵にあり、そこが捨てらずに欧米のジョブ型に移行できないのならば、定年を35歳くらいにして、35歳からはジョブ型で、そこから再雇用・再就職したらダメなのかなと思いました。60歳定年だとかを維持するよりか、定年を無くすか、思い切って30代で定年にして労働市場に放るかするといいのではないかなんて思い浮かんだんです。それとは別に少数のエリート層がばりばり働けばいい。フランスはエリート層が長々と働き、そうではない多数のひとはワークライフバランスを考えるようだ、と三章までには書いてあった。そうして読み進めていくと、著者もちょっと似たような結論を持っていました。30代くらいまでは日本型のメンバーシップタイプの、新卒採用で総合職として「人に仕事をつけていく」やりかたを残し、それから限定社員など欧米型のジョブ型の雇用方針にしていくというのです。僕のぼんやりした思いつきが、詳しく論理的に展開してく感じで、その後は読み進めました。

  • ホワイトカラーエグゼンプションについて論じた書。海外主要国の人事制度と日本のそれを比較し、日本式の良い点を残しつつの折衷案を提案。マスコミは残業代ばかりフォーカスするが、いかに表層的なものかがわかる。

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著者プロフィール

雇用ジャーナリスト、経済産業研究所コア研究員、人材・経営誌『HRmics』編集長、ニッチモ代表取締役、リクルートキャリア社フェロー(特別研究員)。
1964年、東京生まれ、大手メーカーを経て、リクルート人材センター(リクルートエージェント→リクルートキャリアに社名変更)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計などに携わる。その後、リクルートワークス研究所にて「Works」編集長に。2008年、人事コンサルティング会社「ニッチモ」を立ち上げる。『エンゼルバンク─ドラゴン桜外伝』(「モーニング」連載)の主人公、海老沢康生のモデル。
主な著書に、『「AIで仕事がなくなる」論のウソ』(イースト・プレス)、『雇用の常識「本当に見えるウソ」』(ちくま文庫)、『面接の10分前、1日前、1週間前にやるべきこと』(小学館文庫)、『仕事をしたつもり』(星海社新書)、『女子のキャリア』(ちくまプリマー新書)、『無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論』『経済ってこうなってるんだ教室』(ともにプレジデント社)など。

「2018年 『名著17冊の著者との往復書簡で読み解く 人事の成り立ち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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