異邦人(いりびと)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569823812

作品紹介・あらすじ

京都に滞在中の菜穂。口がきけない画家の一枚の絵に魅せられた彼女は――。アートとドラマが見事に融合した、著者新境地の力作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 京の人は、猶、いとこそ、みやびかに、今めかしけれ。
    (京の人は何といっても風流なものですね)

    「源氏物語 (与謝野晶子訳)」の〈49帖・宿木(やどりぎ)〉、二人の女房が会話する場面の台詞で唐突に始まるこの作品。「源氏」では、若い女房がお香の香りに気づき、尼さんがたいているのかという問いかけをするのに対して、もう一人の女房が返す言葉の中に登場するのがこの台詞です。この作品内ではこの一節しか出てきませんが、「源氏」では、その後に【東にて、かゝる薫物の香は、え合はせ出で給はざりきかし(東国ではこんな薫香を合わせてお作りになることはできませんでしたね)】と国の西と東を比較する台詞が続きます。そして、そんな場面を切り取った原田さんが描くこの作品。『ここにあるものは、なんだって東京にあるじゃないか。いや、ここにはなくて東京にはあるもののほうが、ずっと多いじゃないか』というなんでもあるはずの街・東京を出て、京都に一人暮らす妻・菜穂。そして、『なぜこうまで菜穂を惹き付けるんだ』と京都の街の何が人々を惹きつけていくのか理解できないでいる夫・一輝。そんな二人の人生が京都の街を舞台にして揺れ動く、そこに絵画の運命が絡んでゆく物語、そう、これは原田さんの描くアート小説です。

    『京都に、夜、到着したのはこれが初めてだった』という主人公・篁 一輝。『計画停電』が続く東京。『駅貼りのポスターには「がんばろう」の文字』が躍る東京。そんな街を離れ京都に赴く一輝。そんな一輝は『何年かまえ、パリ出張した日のことを思い出』します。『父の名代で、ある資産家夫人の外遊に同行』した一輝。『彼女が自分に特別な思い入れを持っていることは察していた』ものの、『一輝と夫人のあいだには何ごとも起こらなかった』というその出張。『あのパリ出張の際に夫人とのあいだに何ごとも起こさなかったおかげで、夫人の長女は一輝のものになった。一輝の妻に』という結果論。そんな妻・菜穂は京都のホテルで暮らしています。『原発事故は、収拾どころか、時間が経つほど事の甚大さが明らかになるばかりだ』という事態。『彼女は、七ヵ月後に母親になるのだ』という菜穂。『万が一にも胎児に放射能の影響があってはいけない』という母・克子の意見を受け入れて『彼女の祖父が設立した個人美術館の副館長』としての業務が『火急の仕事は何もない』ということもあって、一人京都のホテルで暮らします。『このような「非常時」にあっても、美術品を売らなければ生きていけない自分の身の上が、かすかに疎ましく思われる』という一輝。そんな一輝に『こんな夜中に来るなんて、一輝さん、非常識よ。どうせ、またママにつかまってたんでしょ』という菜穂。『一輝が専務を務める「たかむら画廊」に立ち寄るのはいつものこと』、『克子の銀座通いは、一輝と菜穂の結婚後、頻度を増した』という一輝と母の関係を不審に思う菜穂。『有吉夫人は父の経営するたかむら画廊の上顧客』のためやむを得ないと考える一輝は『ふたりの関係を妻に怪しまれてもいけない』と考えます。そんな一輝と菜穂は『京都国立近代美術館』へ、パウル・クレーの展覧会を見に行きます。そして、そこで『数メートル先の壁に向かって立っている女性の後ろ姿が目に入った』という一輝。『彼女の後ろ姿に絵を感じた』というその女性、『こちらを二度と振り向くことなく、後ろ姿は出口へと消えた』というその女性が二人の運命を大きく動かしていきます。

    23もの章に細かく分かれたこの作品は京都なしには語れません。そんなこともあって章題も〈宵山〉〈葵のあと〉〈屏風祭〉〈送り火〉と京都の雰囲気満点に、それに合わせたストーリーが展開します。『この街は、ぞっとするほど魅力的だ』という京都の街。『けれど同時に、近寄りがたいほどに気高い。まるで、運命の女のように、魔物のように、美しい』という表現は京都という誰もが魅了されるその街の持つもう一つの顔に光をあてます。『まるで、運命の女のように、魔物のように、美しい。底なしの湖のように奥が知れぬ。冷たく、そら恐ろしい』という京都の街が見せるもう一つの素顔。『余所者は、到底この街には受け入れられないだろう』というその素顔に気づく一輝は、京都の街に魅せられる妻・菜穂が『この街では、自分が永遠の異邦人であることを』気づいていない、と危惧します。『余所者がまともに切り込んだとて、歯が立つはずがない。それが京都という街だ』と感じている一輝。『自分たち一介の「通行人」は、決して深入りすることのできない幽遠なる都。その扉は固く閉ざされて、開くことなどないのだ』とさえ感じる一輝。京都という街ではそこにずっと暮らしてきた人を『地の人』、そして余所者のことを『いりびと』と言うようですが、その『いりびと』を『異邦人』という漢字に重ねて読ませるこの作品。『外国人、異国人』というその漢字が持つ意味合いほどに、余所者を見る目が厳しいという京都の街に惹きつけられていく菜穂。そしてどこまでも『いりびと』であり続ける一輝。京都という、古も今も特別な雰囲気を醸し続けるその街が合わせ持つ奥深さに、私の知らない京都の街の別の顔を見た気がしました。

    そして、この作品は原田さんお得意のアート小説です。その視点からとても興味深い表現が登場します。絵画を見る目に類稀な才能を持つ菜穂。原田さんはそんな菜穂のその才能を『名もない作家であっても、作品が鋭く刺さってくることがある』と表現します。『見た瞬間に刺し貫かれた』というその感覚。『美術品を目にして、心に刺さるあの感じというのは、いったいどこからやってくるのだろう』とふと考える菜穂。『「その感じ」を意識するようになったのは、十代になってからのことだ』というその感覚は『言葉にもできなかった』ものであり、『すぐれた美術品に出合った瞬間に、菜穂の身体のうちに覚える異様な感覚』を、『誰にも伝えられなかった』十代の菜穂。そして『刺さる、という言葉にいきついたのは最近のことだ』、とその感覚がようやく言葉になります。それは『名もない若手の画家の小さな抽象画だった』というその瞬間のこと。『鋭利な細いものを胸に突き立てられたような感じがあった』、それが『刺された、と感じた』、という言葉の誕生に繋がります。『自分の中で、何かが、ことりと動く感じがあった。いや、違う。動いたのではない。刺さったのだ』というまさにストレートな表現。その時には『得体の知れない感情が、つむじ風のように巻き起こった。えも言われぬ感情。見果てぬ欲望の予感があった』とまとめます。そして、それをさらに『狙った獲物を捕らえた、猛禽類の快感』と絶妙な例えでまとめます。私は、このような感覚を持ち合わせてはいませんので、実際のところはもちろん分かりませんが、一見抽象的ながらも、何故か納得感のあるその説明、これこそ原田さんだからこその説得力だと思いました。そして、この感覚の説明があるからこそ、この作品に納得感のあるストーリーが展開できている、そんな風にも感じました。

    原田さんのアート小説は、キュレーターが登場する、美術館における絵画作品の展示に関する作品が多いと思いますが、この作品で取り上げられたのは売買を司る画商の物語でした。『芸術家の創った作品は永遠の時を生きる』、という作品の永遠性。それを原田さんは『それは、永遠に、ただ芸術家のものであり、縁あって、いっとき誰かのもとにある』、と鷹野せんに語らせます。そして、『その誰かのもとでの役目を終えれば、次の誰かのもとへいく。そうやって、作品は永遠に伝えられ、はるかな時を生き延びるのだ』とまとめます。そんな永遠の時を生きる絵画を人から人へと取り次いでいく画商という家業。そんな家業から見えてきた絵画にまつわるあんな側面、こんな側面を見ることのできるこの作品。後半のやや強引な上手投げ的展開による微妙な後味が少し気になりますが、それを超えて、絵画と、そこに携わられている人々に対する興味がさらに増した、そんな作品でした。

  • 原田マハをちょっと見くびっていたかもしれない。勝手に既定路線をひた走る優等生的な作家だと思っていた。ごめんなさい。
    それほどまでにこの作品が期待を裏切って良い作品だったということ。
    私の中では「楽園のカンヴァス」と同等もしくは超えたかもしれない。

    同じようにアートを扱っている作品には違いないが、今回は作品そのもの作家そのものに焦点を当てているわけではなくそれを取り巻く画壇、画商、コレクターなど普段知ることのない世界を織り交ぜて描いているところが決定的に違う。
    まだデビューしていない謎の画家を登場させてミステリー仕立てにしているところはお見事。

    舞台となった京都の移ろいゆく季節や文化、人間模様が描かれる様は耽美的であでやか、妖艶といった形容詞がぴったり。観光客として訪れるだけでは決して見ることのできないブルジョアな京の暮らしが物語のほとんどを占めているが、まったく嫌みなところがない。このぎりぎりまで抑えた筆さばきに好感を覚えた。
    もしこれが林真理子だったら目も当てられないだろう、なんて勝手な感想。

    とにかく全編にわたって楽しめた。
    登場する人物が一癖も二癖もある人ばかりではあるが、いい人ばかりではつまらない。
    わがままなお嬢さん育ちの菜穂をはじめ、京都画壇の重鎮である志村照山、菜穂をサポートする書家の鷹野せん、ミステリアスな白根樹などなど。
    最後の最後で表紙を見ると・・・、いや憎いですねマハさん。

    今までの爽やかで読後感の良い原田マハ作品が好きな人は苦手な作品かも。
    好き嫌いが分かれるかな。

  • たかむら画廊の青年専務・篁一輝と結婚した有吉美術館の副館長・菜穂は、出産を控えて東京を離れ、京都に長期逗留していた。妊婦としての生活に鬱々とする菜穂だったが、気分転換に出かけた老舗の画廊で、一毎の絵に心を奪われる。画廊の奥で、強い磁力を放つその絵を描いたのは、まだ無名の若き女性画家。深く、冷たい瞳を持つ彼女は、声を失くしていた―。京都の移ろう四季を背景に描かれる、若き画家の才能をめぐる人々の「業」。『楽園のカンヴァス』の著者、新境地の衝撃作。
    「BOOKデータベース」より

    美術館に行きたくなった.
    もう長いこと美しい情熱に触れていない.無性に心が乾いていることを感じた.涙がこぼれた.いろんなところに深いふかい溝を感じた作品だった.
    本の中で紡がれることばから頭の中に浮かび上がる絵はきらびやかで美しく、紅葉の葉一枚が、苔むした岩一つが、目の前にあるような感覚に陥るような文章だった.
    激しい感情は感性を守る鎧、譲れないものをもつものは強いと思った.
    京都はよそ者には不親切な街だ、よそ者を受け入れない街だ、とよく聞く.それは一面事実であるけれども、そうではない部分がある.京都のうわべだけを見るものには開かれない扉があるのだろう.求める心が強ければ開く扉もある.
    才能は裕福な家の子どもに降りてくるばかりではない.才能を見出す人がいて後世に残るものもある.絵から情熱を感じるたびに、作者だけでなく、それを残そうとした人々へ尊敬の念を禁じえない.
    嗚呼、美しいものに触れたい.

  • 京都を舞台に、逗留していた資産家の若妻と画家や画廊をめぐる物語。
    美術界を扱うのはお手の物ですが、ドラマとしては新境地のようです。

    画廊経営者の息子で専務の篁一輝は、資産家の令嬢・菜穂と結婚した。
    東日本大震災後で原発の事故が起き、妊娠中の菜穂は、京都に一時避難することに。
    菜穂は美術には目利きで、祖父のコレクションを有する有吉美術館の副館長でもあった。
    うつうつと過ごしていた菜穂はある日、老舗画廊で小品『青葉』を発見する。その絵の作者はまだ無名の若い娘・白根樹だった。
    京都に馴染み、謎めいた白根樹の作品にのめりこんでいく菜穂。
    ところが、東京では画廊と有吉不動産の経営は危機に陥っていた‥

    最初は、お金持ちらしくわがままな印象だった菜穂ですが、美術への感性が鋭く、真摯な気持ちを抱いていることは伝わってきます。
    ある意味では、東京の家族に何もわからない若い娘のように扱われていて‥そのへんをひっくり返して反逆していく話かも。
    鷹野せんの家に預けられてからは素直な感じに。
    こういう京都なら知りたいと思いますよね。

    悪気はないけど周りに押され気味な夫の困惑。
    自分を押し通しているけど、その陰には以前からの事情も実はあった有吉の母。
    京都画壇の重鎮や、老舗の画商。
    どろどろした人間関係は、さわやかな印象が強い原田マハにしては、ねっとりしたストーリー。
    ただその描写はあまり突っ込んではいないので、修羅場は追っていません。その辺が原田さんらしい、抑制したタッチになっています。

    画家の樹も神秘的な面があっていいけれど、最後に明かされる点は、‥え?
    まとまるような、まとまらないような。
    芸術家と作品への尊敬が何より輝いているので、他の面が出てくると意外な落ちに感じるようです。

  • なんと残酷で 美しい作品だろう。
    一枚の絵が発端で繰り広げられる、京都の画壇を揺さぶる物語。
    時空をさまよいながら、陶酔にも似た気持ちを抱きながら読んだ。

    この作品では、絵画だけでなく、千二百年以上に及んで
    京都が守ってきた文化や、人々の暮らしに対する矜持のようなものが描かれている。
    行事、建物、庭、そして人々の立ち居ふるまい、そのどれもが美しく描かれている。
    とりわけ、後半で登場する立野家別邸「無尽居」の庭、
    そしてその庭と新人画家の絵が織りなす情景描写は、
    巨大で色彩豊かな日本画を見ているよう。
    原田マハさんの言葉の力にうっとりした。

    巻末に『月刊文庫におよそ二年間にわたって連載されたものを
    加筆・修正したものです』とあり、
    ほぼ同じ長さの23の章で構成されているのはそういうことだったのかと納得した。
    それぞれの章には、京都ゆかりの情緒あるタイトルがついていて、
    楽しく、読み易い。

    最後に、ひと言。それにしても一輝さん、お気の毒すぎます。

  • 実家が運営する美術館の副館長でするどい審美眼をもつ菜穂と
    菜穂が見出した画家白根樹の物語。

    めずらしいことに…私の中の響きが弱かったんです。
    白根樹の謎が多いミステリー調になっているからなのか、
    図書館の返却期限に追われて、倍速で読んでしまったからなのか。

    菜穂の妊娠が東日本大震災と重なり、
    原発事故のことがあり東京に住んでいた妊娠初期の菜穂が
    一時京都に移り住むということで、京都が舞台でした。

    菜穂がお世話になる、書道家の鷹野せん先生宅。
    家の土壁の色、箱庭の表現。

    白根樹の描く絵画たちの表現。
    (私は特に「青葉」が好きです。
     ホンモノのクレーの絵は私には高度すぎて、
     魅力がちょっとよくわかりませんけど)

    こういうところは、さすがマハさんと堪能しました。

    その上、上品でやわらかい京言葉。
    京の人々の凛とした所作、佇まい。
    鷹野先生が着こなす着物の色の名前の
    なんと豊かで素敵なことか。

    憧れの京都。雅やかな雰囲気を堪能する
    ただの観光客で終わってしまったような、
    響きが弱かった自分に寂しい気持ちが残る一冊です。

    絵画や芸術はこんなにもこんなにも貴重なものなのに
    その時のお金の事情で誰もが見ることが出来たり、
    皆の目から遠ざけられてしまったり…。

    価値のあるものが辿る運命なのかも知れませんが
    権力とは切り離された所で
    最高の保存の状態で後世に繋げて欲しい。
    そう願わずにはいられませんね。

  • 一輝と菜穂、両者の視点を交互に辿り、進んでいくストーリー。読みやすい。
    菜穂のような生き方・感性に憧れはするけど、凡人な自分には一輝の気持ちの方が分かる。
    血縁の有無がどうであれ、菜穂の母娘関係は生々しく、現実を反映しているような気がした。

  • 一枚の絵が、ふたりの止まった時間を動かし始める。
    たかむら画廊の青年専務・篁一輝(たかむら・かずき)と結婚した有吉美術館の副館長・菜穂は、出産を控えて東京を離れ、京都に長期逗留していた。妊婦としての生活に鬱々とする菜穂だったが、気分転換に出かけた老舗の画廊で、一枚の絵に心を奪われる。画廊の奥で、強い磁力を放つその絵を描いたのは、まだ無名の若き女性画家。深く、冷たい瞳を持つ彼女は、声を失くしていた――。
    京都の移ろう四季を背景に描かれる、若き画家の才能をめぐる人々の「業」。
    『楽園のカンヴァス』の著者、新境地の衝撃作。
    「Amazon内容紹介」より

    京都は新参者をなかなか受け入れてくれない街という印象だが、ほんものを受け入れる器をもっている街だとも思う、というのは住んでいる印象.
    途中まで、菜穂の言動にいら立ちを感じていたけれども、それが自分の感性を信じる心や意思を貫く強さから来ているものだと分かって以降は、称賛に値するほんものだと思った.
    人間、いやだと思っていることをずっと続けているとダメになってしまう.でも、やりたいと思うことを続けられる環境にいるのは難しいこと.どれだけ信念をもっていて、貫くことができるのか、だろう.

  • 原田さんのアートもの・・・ではあるのですが、いつものようなアート主軸というより、どちらかというと“人の業”が渦巻く様を描いた作品となっております。

    資産家の娘で実家が所有する美術館の副館長・菜穂の視点と、彼女の夫で銀座の画廊の経営者の息子・一輝の視点が交互に綴れていく構成です。
    原田さんの小説の登場人物にしては珍しく、この作品のメインキャラは我の強さや執着があったりと、所謂“いい人”ではないのですが、そんな生々しい人間たちの気持ちの変化や思惑の交差が、京都の移ろう四季の情景描写と見事に調和しているので、本来ドロドロな内容が情緒あふれる印象になっているのが流石です。
    そして、ミステリアスな美貌の女性画家・白根樹の存在も際立っていましたね。
    樹の抱える哀しい事情と菜穂の出生の秘密がリンクしてくる終盤は怒涛の展開でした。
    個人的に京都は割としょっちゅう訪れているので、街並みを頭に思い浮かべながら、どっぷり浸らせて頂きました。やっぱり古の都は奥が深いですね。

  • うつくしいものへの執着。手に入れたい、そばに置きたい、受け継がれてほしい。自由に描きたい。
    作中の季節の移り変わりと共に頭に思い浮かぶ色が変わっていって、登場人物たちが見ている景色や架空の絵を何となくイメージしながら読んでいました。最後のイメージは文庫版の表紙の喪服のような黒、かなぁ。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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