- Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569826622
作品紹介・あらすじ
“蝮”の斎藤道三の娘で、織田信長の正室・帰蝶。残虐な夫との関係や本能寺の変の真相を軸に、謎多きその生涯を描ききった力作長編。
感想・レビュー・書評
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久しぶりに織田信長時代を読んだ。面白かった。
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(2020-11-12)
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戦国時代に関して恥ずかしいほど興味がなくて無知だったが、面白くて一気に読んだ。織田信長ってサイコパスなの?
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信長の正室・帰蝶からみた本能寺までの話。
新たな視点での物語を楽しむことができる。 -
織田信長の正室・帰蝶を通して、本能寺の変までを描く。
信長の子どもの母親が誰かを、意識したことはなかった。子を得た女たちと、帰蝶。女性たちを多く描いていて、それぞれの生き方が面白い。
美濃衆という切り口も、新鮮。ひとつの家臣団になっても、中にはいろいろな思いを持った人たちがいる。血縁地縁のつながりの深さにも、驚かされる。 -
織田信長の正室、帰蝶の人生。織田信長という魔王の妻として、子供の母として、尾張の国母として、人生を紡いでいった女性の人生。
妻として、母として、国母として、公の義務をこなすことが己の役割と思い切って行く中、出会った一人の商人とのほのかな恋情が、女子としての帰蝶を支えます。
そのほのかな思いを寄せられ寄せていた男が、夫の最後の引き金になったという事実。それを恨むでも悲しむでも蔑むでもなく、感情よりも理性で男を理解できてしまう。男も女も戦国時代という、生と死が一瞬で行き違う社会で生き抜くには、感情よりも理性でしたたかにならなければならなかったのでしょう。
だからこそ、帰蝶と立入宗継の秘め事が煌き、信長との本能寺直前の逢瀬が艶やかに人生を彩ります。 -
新たな視点から見た、本能寺の変。なるほどねー、と思いました。帰蝶が、とても身近な女性に思えました。面白かったです。
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斎藤道三の娘で、美濃から嫁いできたことから濃姫ともよばれる織田信長の正妻、帰蝶。
戦国時代の女性としてつとに有名な存在であるが、残された記録は極めて少なく、その生涯については早世説、早期離縁説を含め諸説がある。
したがってこの小説の主人公、帰蝶に関する記述は大半はフィクションということになる。
しかしながら歴史小説は、「史実と史実の隙間に作家が創り出した物語」を楽しむものであると私は思っている。
そういった意味において、諸田玲子が大胆に創り出したこの物語はなかなか興味深い。
彼女は物語の与条件として以下の仮説を立てて(もしくは諸説のうちの一つを選択して)いる。
・帰蝶はとある理由により表に出なくなるが、裏で織田家の奥を仕切り、本能寺の変以降も生き続ける。
・信長の嫡男信忠の生母は帰蝶の異母妹である。(信忠の母は一般的には生駒吉乃とされているが、美濃に縁のある女性であったとの説もある)
・禁裏御蔵職をあずかる豪商で、多くの戦国大名との交友があったとされる立入宗継が、帰蝶と接点があり、お互い密かに惹かれ合う存在であった。
以上、あくまで物語の与条件であり、ネタバレではない。
あとは読んでのお楽しみとさせて頂くが、帰蝶を中心とした織田家における美濃一族の各人各様の生き様は、なかなか読み応えがある。
ただ惜しむらくは、立入宗継とのラブロマンスめいたあれこれは、却って帰蝶の魅力的な人物像をスポイルしているのではないだろうか。
そこら辺をすべて取っ払った方が、諸田氏の筆力をもってすれば、骨太のもっと良い小説なったにちがいない。
ただこういうのが好きな読者も一定数以上いるだろうから、エンタテイメント小説的には仕方ないことなのだろう。
個人的には少々残念である。