ハーバードでいちばん人気の国・日本 なぜ世界最高の知性はこの国に魅了されるのか (PHP新書)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569827278

作品紹介・あらすじ

世界最高学府はいま日本のことをどうみているのか。ハーバード教授陣へのインタビューを通してみえてくる日本の強みとこれからの戦略。

感想・レビュー・書評

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  • とても参考になった。

  • 日本や日本人の良さを外国から教わる、といった本。

    アメリカのハーバード大学は、国の大統領や会社のCEO、役員などに将来なる人達がリーダーシップを学ぶために集まる。
    その授業は、日本のような講義形式ではなく議論形式である。授業で扱われる教材を「ケース」と呼び、卒業までの2年間で500本のケースを学ぶ。そのうち日本のケースは6本だそうだ(2014年現在)。

    トヨタ、ホンダ(アメリカでスーパーカブ販売)、SONY、福島第二原発でのリーダーシップ、新幹線清掃のテッセイなどのケースが挙げられており、どれも興味深い。

    日本人の強みは日本人であること。学力の高さ、勤勉さ、利益も大切だが公益も求めること、清潔性、仕事にやりがいを持つこと等々。

    一方、弱味は変化に消極的なこと。海外から何かを学んで取り入れようとする考え(グローバル化)が進まないこと。これは日本が快適過ぎるから。日本が快適なのは、戦後の日本人の努力があったからで、今の若者は頭はいいのに勤労意欲が低い。わざわざ不快な国へ行って学ぼうとは思わない。このジレンマは簡単に解決できるものではない。

  • ハーバード経営大学院において、授業の教材にこれ程多くの日本の事例が扱われており、しかも人気が高い事に驚かされた。

    外国人が日本から学べることが多いと知り、日本人として誇らしいと思った。

  • ケースについてはもっと深掘りして、議論をして学んでみたいなと思った。
    なぜ日本なのか、それについては最後の章を読めばいいかな。
    2016年に発刊された本だが、2019年の今日本はハーバードでどう取り上げられているんだろうか?先は見えないけど、ケースとしてはまだ使えそう、みたいな感じなんだろうか?

  • 留学経験のある著者が、ハーバードの教授陣に取材し、日本の企業等に関する講義について書かれたもの。教材として数は少ないものの、教授陣にも学生にも人気の授業が多く、なぜ日本に関する講義が人気があるのかを説明している。とても参考になった。
    「日本は「平和で安定した国家を作る」という偉業に成功した国なのです」p37
    「日本が経済成長を遂げたのは、清廉で謙虚なリーダーがいて、彼らが正しい価値観で、社員を正しく導いたからだと思います」p44
    「リーダーシップの授業で教えていることと、日本の武士道とは驚くほど共通点が多い。たしかにどの国よりも歴史の古い日本は、自国にとって最もよいものを残してきたのだから、欧米よりも先進的であるのも、当然といえば当然かもしれない」p47
    「(トヨタ方式を採用したインド靴工場の失敗)「トヨタがハーバードの教員である私に、つつみ隠さず生産過程を見せてくれたことに、私は驚きを隠せませんでした。しかもビデオで撮影してもいいと言うのです。「私がこの工場を見学したいのは、ハーバードの教材を書くためであることをご存知ですか。トヨタの生産方式の秘密の全てを書いてしまいますよ。そうなれば他のメーカーも真似しますよ」すると彼はこう言いました。「外側を真似できても、マインドはなかなか真似できません。トヨタの社員と同じマインドを持たなければ、同じような結果は出せないのです。」作業服、体操、作業用の音楽、アンドンコードなどの表面的なことを模倣するだけではダメだったのです」p70
    「たとえば私がトヨタの組立ラインで働く従業員で、私の仕事は右側の前輪を設置することだったとしましょう。トヨタのマネージャーは「前輪をつけるだけがあなたの仕事ではありません。どうしたらもっと迅速にミスなく前輪をつけられるか考えるのもあなたの仕事です」と言って、従業員の仕事に意味を与えるのです。単純作業ではなく、会社に役立つための改善案を考えるのが自分の仕事だとわかれば、誰でもやる気になりますよね」p74
    「(採用されたマネージャーがいかにうまくいっているかのプレゼン)「ジムさん。私たちはあなたが素晴らしいマネージャーであることをすでに存じ上げています。そうでなければ、採用しませんでしたから。だからここでは、あなたが抱えている問題を教えていただけませんか。そうすればここにいる皆で力を合わせて解決することができます」ワイズマン氏は、その一言に雷に打たれたような衝撃を受けた。なぜなら彼がこれまで働いてきたアメリカの社会では、失敗を会議で報告することなど、とんでもないことだったからである」p77
    「(MBA学生の思考)30歳までに何かを成し遂げて金持ちになっていないと、人生終わりだ」p103
    「「変化はチャンスだ」「変化を自ら起こすリーダーたれ」」p108
    「(日本人の高い識字率)1870年頃には、各年齢層の男子の40〜45%、女子の15%が日本語の読み書き算数を一応こなし、自国の歴史、地理を多少わきまえていた」p112
    「強い影響力を持ちながらも、日本の官僚が腐敗しなかったのはなぜか。ラインハート教授は、資本を配分する側=官僚の倫理観が高かったからだ、という。私益よりも公益を優先するのは、日本人の官僚にとっては当然のことであった」p129
    「デフレよりもインフレが怖いのは、アメリカも同じ」p133
    「日本企業から「社員を人間として大切にする企業文化」を学ぶべき」p226
    「(日本人の内向き思考)それは、日本が非常に快適な社会だからです。日本には安くて美味しいレストランがいくらでもある。電車は遅れないし、犯罪も少ない。英語を話さなくても何の不自由もない。こうした快適な社会は、日本の強みであると同時に、弱点でもあるのです」p236

  • ハーバード大学といえば文系実学最高峰のイメージを元々持っていたのだが、そこで今日本関連ネタ教材が流行っているという。プロジェクトXばりの仕事成功例の紹介が主で、トヨタ、ホンダからテッセイの新幹線清掃、かと思えばヒロシマの原爆、福島第二原発まで色々。仕事のあり方を考えさせられるし、我々を鼓舞してくれる話が多く、サラッと触れて次々行ってしまうのが惜しい位面白い話が続いていった。

  • 本書はハーバード大学(その中でも特にビジネススクール)で日本にまつわるケースがどう授業で取り上げられているか、そしてそれを通じて日本がどう見られているかを書いた本になります。基本はハーバード大学の先生へのインタビューが中心となっています。本書の論調は題名通り、かなり日本に対してポジティブに書かれていますが、その意味で本書の最大の目的は、「日本人よ、もっと自信を持ちなさい」ということを強調したいのだろうな、と思いました。日本悲観論が多すぎる中こういうメッセージを伝えたいという目的は理解できます。

     著者が達成したいであろうこの目的については私も同意できたものの、書いてある内容自体はかなり浅い記述に終始していて、かつ論理的に?と感じる箇所も多々あり、質的にはあまり感銘を受けませんでした。たとえば「日本の経営者は実はすごいんだ」といって、本書の中で列記している人物はすべて創業者(本田宗一郎など)。ある日本人教授が指摘しているように、日本は戦後の創業者時代は米国企業を打ち負かしていましたが、サラリーマン経営者時代に突入すると、今度は米国の創業者(ビルゲイツ、スティーブジョブズなど)に打ち負かされていると。つまり日本のサラリーマン経営者は、米国でもほとんど評価されていません。今後は、コマツの坂根さんや日立の川村さんなどが「中興の祖」として米国でも評価される可能性はありますが、創業者とサラリーマン経営者の区別という視点は本書にはありませんでした。
     また最後まで違和感を感じた点として、ハーバード・ビジネス・スクールで教鞭をとられている竹内教授に関連する記述がなかった点です。たしか竹内教授は日本発とも言える知識創造経営理論(野中郁次郎さんとの共著が有名ですよね)をHBSで教えられていると思うのですが、これこそ日本企業特有の経営理論を米国で啓蒙されているということで、これを受講している外国人学生がどう感じているか、も私としてはとても関心があったのですが、全く触れられていませんでした。あるいは全編通じて外国人教授に日本を語らせたい、という思いがあったのかもしれませんが、違和感は最後まで続きました。

  • 購入本
    最高学府のハーバードでこれだけ日本の人気が高いとは。
    ・新幹線掃除劇場 テッセイが題材。7分一人一車両
    ・豊田章夫社長米国公聴会でのスピーチ 正直・謙虚
    ・世界最初の先物市場が誕生したのは日本 
     堂島コメ会所 コメが貨幣の代用物 コメ手形、米債券
    ・岩崎弥太郎の企業
     土佐藩の下級武士→九つも商会→共同運輸会社との競争     50歳没
    ・六本木ヒルズブランド
     全体ビジョンをコントロールしている。
     映画の上映に合わせデザイング
     森美術館が一番高価な最上階
    ・グリーは、ゲームのプラットフォーム造りにアップル、グーグルに先行した
    ・東日本大震災 吉田所長のリーダーシップ
     ホワイトボードで情報を一元化 データ化
     

  • 題材が不思議、やっぱりMBAバカかな

  • 日本人として誇りと元気が沸いてくる本ですね。

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著者プロフィール

1998年3月 一橋大学法学部卒業
1999年8月 マールブルク大学(ドイツ)法学部公法・国際法専攻(LL. M)修了
2000年3月 一橋大学大学院法学研究科公法・国際関係専攻修士課程修了
2003年8月 マールブルク大学法学部公法・国際法専攻博士課程修了(Dr. jur)
外務省勤務,明治大学法学部専任講師・准教授等を経て,
2021年10月 明治大学法学部教授(現在に至る)

「2021年 『EU海洋環境法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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