老いる東京、甦る地方 (PHPビジネス新書)

著者 :
  • PHP研究所
3.38
  • (1)
  • (6)
  • (7)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 67
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569831350

作品紹介・あらすじ

日本全体の成長スピードの鈍化は、地方が稼ぐチャンスが到来したことを意味する――。量的拡大に頼らない新しい地方活性化論を提示。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 著者曰く、日本全体の成長スピードが鈍化した今、日本人がなすべきことは、いつの間にか身につけてしまった「上り」中心の発想を捨て、「下る」ことである。
    東京一極集中「上り経済」の終わりが始まっている。
    昭和39年東海道新幹線が開通してから、営々と整備を続けてきましたが、駅は単なる通過点にすぎないし、東京へ向かうことだけが重視された。
    今の日本、「お金と人」の流れが変わってしまったのです。そして、地方が稼ぎ頭になる材料はたくさんあるのに、まだまだ多くの地方で発想の転換ができていないのです。
    そういう状況下、著者は、現状分析のデータを示しながら、現状分析し、未来に向かっての処方箋を示しています。
    ということで、
    第1章 都会が疲れた高齢者の顔になる日
    第2章 雄大な自然、世界遺産に潜むワナ
    第3章 平凡な風景が地方の稼ぎ頭に?
    第4章 実例・非常識な地方活性化
    第5章 駅前が日本経済を動かす
        ―上り経済から下り経済へ
    第6章 お金は空と海からやってくる
    第7章 「陸・海・空」モデルで稼ぐ
        ―国家の発展軸が変わる
    おわりに
       「下り優先経済」時代の到来は地方を再び輝かせる

    この著者の少々ユーモアを交えた書きぶり、そして、不動産ビジネスで培った知見からなる説得力ある提言。
    外国人から見た魅力ある日本の再発見、いつもながら楽しく読まさせていただいています。

  • 地方や都市はこれからどうなっていくのかについて触れられている本。

    地方から東京を中心とした都市へと人が流れる構造であることを示した後、その流れを逆向きにしていくにはどうすればいいかという策について述べている。

    国内外問わず外からの流入を勧めているが、コロナが猛威を奮っている今では少し難しいかもしれないと感じた。しかし、インターネットの普及に伴ってリモートが推し進められているのでそれと合わせれば地方に対する解決策が見えてくるかもしれない。

    個人的には内容が分かりやすく、また著者の釣り好きが文章の端々から感じ取られて面白かった。

    あと、普通の本より細長かった。

  • 読了。

  • 以前なら、東京を含む首都圏と地方の隔たりが大きく感じましたが、昨今のインターネットの普及等もあり、それまで感じていた不便さも減ったのではないでしょうか。ある程度の物はネットを通じて購入出来る事になり、近所のお店は軒並み閉店になっているのが地方の現状かと思います。その反面、東京は未だにお店が増え人の姿は多いですが、観光客等が多いと言う点は外せません。地方は特に、集客できる物が少ない故、人を寄せるには力が及ばず。そして、東京のような真似をして成功するかと言えば、そうでもなく。都心と地方では、全く同じと言う訳にはいかず、その土地の利点を活かした方法で、今後の町としての魅力が出せるかにかかります。本書でも紹介されていますが、これからはただ真似るだけではなく、創造性がポイントの一つになるでしょう。

  • 【世界遺産も、NHKの朝ドラの舞台も、大河ドラマの舞台も】、ブームが過ぎれば、
    観光客の数は数年で元よりも減ってしまうような状況に。

    【団塊の世代】が大量に都市圏で高齢化している今。
    年金暮らしの元気な年寄りが、半年で映画も見飽き、旅行も行き飽きたという状態。
    そのお年寄りを、移住という形でなく、農繁期にだけ手伝ってもらう人材として活用していく。そのためには古民家を家具付き、水周りも修繕し、素晴らしいリニューアルの上、身1つで着てもらい、お世話係をつけ、地方都市の祭りなどの行事にも、どんどん参加してもらう。都心に家を持ちながらの別荘感覚でもいいのだ。

    バブルの若者にターゲットをした【長野県の失敗例】。
    テニスにスキーというけれども、今の若者はそんなにお金も使わないし、そんなにお金を使う余裕もない。

    【飛騨高山の成功例】。積極的に英語のみならず他国語の外国語を地名看板標識に取り入れ、サイクリングで外国人を町中を走らせ、地元の人には、積極的に、かど先でおもてなしをするように、頼んだ。高いリゾートホテルを建てる余裕がなくても、きちんとした民泊ならみんな外国人観光客を受け入れる余裕もある。そういう数々の努力で高山は、年々インバウンドを増加させている。

    【北海道旭川の成功例】。アジアの人は別にスキーをしなくてもいいんだ。ただ雪を見るだけでも喜んで行く。

    例えば中国は平野ばかり。日本のように近場で海や山が楽しめるという景色はそうそうない。

    【境港の成功例】。水深が深い港である境港は、外国の豪華客船が立ち寄ってくれるようになった。日本海側の港にはそういう可能性がある。

    湖にスワンボートが浮かび、ラーメンとカレーが食べられ、ジュースの販売機があって、温泉饅頭が売っている【湖畔の普通のリゾート】。その【さびれたリゾート】を筆者は変える。
    湖の周りには遊歩道を整備。ナンバーを付けて撮影スポットを用意する。ラーメンカレーの食堂は、地元のものを使った小洒落たビストロに。甘いジュースの代わりに、地元で採れたフレッシュフルーツのジュース、ノンアルコールビールを用意。お土産物はレストランで作っている地元名産のハムやソーセージに野菜。
    もうそれだけでストーリーが出来上がる。

    人々の趣味が多様化している今、【ちゃんとしたストーリ】を作って、いきたい人の気持ちにさせて上げる。

    人付き合いのない、自然のない、高齢者施設の少ない東京。
    地方は【2020年には】高齢者施設はきちっと充足する予定になっている。逆に東京での高齢者施設はもっともっと不足するようになっている。

    【役所の空き家対策】というのは、腐ったものも店に出しているようなものである。腐ったものはこれから店に出さず、きちんとリニューアルをして住める状態になった古民家のみを市場に出してくべきである。

    【駅前のシャッター商店街】。商店主は年金暮らしだから、店を開ける必要もない。後を継ぐ2代目は都会に出てサラリーマン暮らし。日本という国は大変私有財産の権利が強いところだが、駅前の店を開けないということにペナルティを課してはどうだろうか。駅前のシャッター通りの店を整備し、店を出す気のある若者に、貸して行く。

    【駅前】というのはその街の顔なんだから、シャッター商店街でなく魅力的な街にしていこう。

    また【コンパクトシティー】へのの拒絶反応というのも大いにある。しかし水道管1本引くのに、散らばっていてはものすごいコストがかかる。またそのようにコストのかかる水道管1本引けないような時代が来ているのだ。協力しあって、集落に住んでいくということも大事だと思う。

    高齢化、人口減少は、当たり前の出来事だ。
    ただその中で地方都市は東京のまねっこではダメだと思う。
    そこでしか体験できないものを、そこに行く人の目線で、考えていくことが生き残りの道だと。

    暗い中で1筋の明かりが見えるような本であった。

  • 日本全国を想定した、総論的な地方創生論と感じさせる内容。著者の経験と知的レベルは高度なもので、分かりやすい文章も一般論として頷くことができるものである。がしかし、島国(単一ではない)であるという特性を十分に分析したうえでの異人(外国人)の呼び込み策といえるだろうか?「個別具体的なことは私にはわからない。自分たちで考えろ。」という声が聞こえてきそうである。
    そもそも不動産開発に重点を置く発想が古いともいえる。

  • 地方に下ることがトレンドになるという考え方が新鮮だった。広場の発想は重要だと思った。

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

不動産プロデューサー。1959年生まれ。東京大学卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストン コンサルティング グループ、三井不動産などを経て、オラガ総研代表取締役兼全国渡り鳥生活倶楽部代表取締役。著書に『空き家問題』『不動産激変』『ここまで変わる!家の買い方 街の選び方』など。

「2022年 『2030年の東京』 で使われていた紹介文から引用しています。」

牧野知弘の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×