- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569832357
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
平成元年に卒業して社会人になってから、ずっと読ませてもらっている日下氏によって書かれた本です。出版は今年(2017)初めですが、気づいたのが最近でした。この本では、これから日本を変えていくことになるだろう、新しい日本人について書かれています。
新しい日本人とは、皆一緒に幸せになれた高度経済成長時代には出現しにくかった、今の日本の環境下でも成長することができる人達です。最近、娘達と話していて気付くのは、私が若かった頃と違って、一度に多くのことをこなし、それを当たり前だと感じていて、違う人種だなと思います。
2020年には大学入試制度が大幅に変わり、2030年にはその制度下で大学で勉強・卒業した新しい日本人が活躍していることが予想されます。この本が今までの彼の著作と比較して特徴的なのは、多くの書籍が本の中で紹介されていることです。私が知る限り初めてだと思います、その中の何冊を実際に読んでみようと思いました。
以下は気になったポイントです。
・新しい日本人とは、1)歴史伝統の連続性を尊ぶ、2)学校秀才でない、3)優位戦思考を持っている、4)先入観・固定観念にとらわれない、5)物事をストーリーとして表現できる、6)一生懸命に働く(p6)
・事実に基づく報道・論評なのか、主義主張に基づく報道・論評なのかが大事(p23)
・旧敵国条項である、53・107条を簡潔に説明すると、旧敵国が加盟国の安全を脅かす行為を起こした場合、連合国によって構成された地位的な機構が安保理許可なしに、独自に旧敵国へ行動がとれる(53)、戦争の結果として結んだ協定は国連憲章の規定に優越する(107)(p29)
・滞納総額が当該国の国連分担金の2年分を超えると投票権を喪失するので、滞納期間を調整した支払っている(p31)
・日本海軍の軍人、軍属の人事記録「軍人履歴原表」を管理する厚生労働省に問い合わせが増えている(p37)
・日本はサウジアラビア政府の要請を受け、独自でカフジ沖の油井に至る航路の掃海を実施、爆破された34個の機雷のうち、直接手作業で爆破準備したのが29個もあった、この活躍によってクウェートで日本の国旗が新たに印刷された記念切手が発行された(p53、55)
・特定秘密保護法における特定秘密は、防衛・外交・特定有害活動(スパイ)・テロ活動防止の4分野で限られている(p57)
・国防動員法は、有事には中国国内で事業を営む外国企業も資産・業務を中国政府に提供しなければならない、これは外国に居住する中国人も対象(p81)
・潔いとは、強いて言えば、Manlyという古い言葉が近い(p98)
・安倍首相が中国のG8加盟を認めないといった理由として、1)軍事費が不透明かつ19年連続で2桁伸びている、2)スーダン政府を支援、3)多くの国際ルールを遵守していない、ことを挙げ、それに米独は納得した、これはルールと価値観を用いた安倍氏の優位戦思考の勝利である(p111)
・パール判事は、東京裁判でインド代表として判事をつとめ、戦勝国が事後法により敗戦国を裁くことに重大な疑義を呈し、日本人被告全員の無罪を主張した国際法の権威である(p111)
・インド訪問により、安倍首相は、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国、中東湾岸協力会議(GCC)6か国と合わせ、シーレーン沿岸国をすべて回った、これはアジアの民主的安全保障ダイヤモンドの形成につながる(p116)
・ガリオア・エロア資金は対米債務と考えるという国会決議(昭和36)を行って返済することを決めた、18億ドルのうち、5億ドルを昭和48年に返済した(p145)
・チャーチルは海軍、陸軍と相談することなしに、巨額の費用を投じて、「陸を走る船=戦車」を制作した、空軍の創設、さらには飛行機を軍艦の甲板から飛ばすこと(空母)を考えた(p152)
・優位戦は、攻めることも守ることも自在、戦いのルールから、勝敗や和平の定義まで決められる立場から仕掛ける戦い、劣位戦は、それらのイニシアティブがない立場からの戦いである(p153)
・トランプ氏、サンダース氏も名指しした「ウォール街」が象徴しているのは、民主・共和両党の主流派が推進してきた、経済のグローバリズムである(p162)
・「シン・ゴジラ」は、ゴジラの襲来という想定外の危機、国家の存亡にかかわる事態に直面した日本政府が、現在の法体系のもとでいかに対応していくかが克明に描かれた(p205)
・ポケモンと OnePieceは、仲間たちとの友情が基本テーマ、仲間をけして見捨てない、また戦い終わったら相手とも心を通わせるという物語、日本人がつくる物語の特徴を、この2つの作品はよく表している(p211)
・エクサスケール・コンピューティングが実現すると、1)世界のエネルギー問題、食糧問題が解決する、2)衣食住が完全にフリー化、3)生活のために働く必要がない社会が到来、4)老化から解放され不老の体が手に入る、エクサスケールの衝撃(p219)
・戦後は、国ではなく、三菱・IHI・川崎重工・戦前の中島飛行機を引き継ぐ富士重工などの民間企業が防衛産業を守ってきた。その裾野には町工場のような零細企業もある(p240)
・平成28年4月に、防衛省の発注で、三菱重工が製造した「心神」というステルス実験機が初飛行に成功した、平成のゼロ戦と言われている(p242)
・杉田女史も新しい日本人である、「歴史戦はオンナの闘い」(p255)
2017年5月1日作成 -
2017/04/01:読了
「エクサスケールの衝撃」の紹介があった。
齊藤 元章著
こほ本を知ったと言うことで、この本を読んで良かったと思う -
未来予測に定評のある日下氏の話として、新しい日本人とは、歴史の連続性に学び、学校秀才でなく、優位戦思考を持ち、先入観固定観念がなく、物事をストーリとして表現し、一生懸命に働く人たちらしい。日本人は、自らの情緒=心に問いかけ、意志を示す時が来ている