クルマを捨ててこそ地方は甦る (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569836959

作品紹介・あらすじ

「地方にクルマは不可欠」という常識こそが地方を壊していた! 気づかない都市は衰滅するだけ。多くの成功事例を紹介する画期的地方

感想・レビュー・書評

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  • クルマがないと地方では生活ができない、というイメージを覆す題名。

    モータリゼーション、都市の郊外化、地方の衰退、グローバリゼーションの浸透という最悪のスパイラルとなっており、クルマ依存について警鐘を鳴らしている。

    また、銀座のホコ天、京都市の車線減少、富山市のLRT事例を踏まえ、クルマ利用減少の実現性について論じている。
    しかし、銀座は論外として京都市は一般的に言う地方ではない上、富山市の事例については新幹線の接続の役割が大きいと書かれている。

    驚いたのは、郊外の大型ショッピングモールと地元商店街での買い物を比較した場合、地域外に流出するお金が2倍以上異なるという研究結果(生鮮食品のみではあるが)が出ている事。このような実証研究はなかったと記憶している為、筆者の主張の論理的説得力が増している。

    地方創生が叫ばれる中、交通政策だけをとっても、様々な分野の複合的な政策が必要だと考えさせられた。

  • 極端かもしれないが、深く考えると内容9割は賛同できる。

  • 商業中心の地方都市では、この論点は成り立つが、農業中心の地方都市ではどうだろうか?
    長野県に住んでいて感じるのは、農地の多い地方で公共交通機関を整備しても、子供の送り迎え、高齢者の買い物、広範囲に既に散在している公共機関・商業施設に、経済的にも持続可能なインフラが整備できるかは大きな疑問に思う。
    成功事例だけではなく、失敗事例も取り上げるべきだと思う。うまく行く背景はなになのか、失敗はなにが要因なのかを分析するような視点・論点がほしかった。

  • SDGs|目標11 住み続けられる まちづくりを|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/691678

  • 卒業制作をどうしようか...?と考えている最中で偶然手に取った本。かなり大胆な?タイトルと思ったが読み進めるうちに納得した。車を全否定ではなく「かしこく使う」ことで自らも健康になり自分が住んでいる地域にお金が落とせる仕組みが書かれている。
    面白かった。

  • 地方が車がないと生活できない、活性化できないという妄信されていることを否定した一冊。
    著者の主張は一貫しているが、単なる交通政策にとどまらず、地域活性化や住宅政策など、様々な要因が絡み合って現在がある。
    簡単にこの状況を変えるには難しい面も多い。
    著者の主張は一定の理解ができる面もあるが、では現実的にどうすればよいか、といった点についてはもう少し踏み込んでほしかったという印象です。
    富山市を成功例と紹介していますが、また違う面での課題もあり、今後の展開が期待されるところです。
    難しいのは、その都市によって、車が入るべきところとそうでないところをどう境界線を切るのかが違うため、ある意味では政治的な決断が必要なのかもしれません。
    成功するかどうか分からない中、どこから手をつけるべきか明確な答えが出せないもどかしさがあると感じました。



    ▼「車線を削っても混乱しない」という帰結は決して例外的ではなく、常に見られる「普遍的」なもの
     人間は新しい環境にあわせて行動を変えるから、車線を削っても混乱を生じない
    ▼「モータリゼーション」「都市の郊外化」「地方の衰退」「グローバリゼーションの浸透」が互いに強化しながら展開していく最悪のスパイラルが、「四位一体」となって展開
    →「クルマ依存」
    →「私的なデメリット」(肥満化・病気、家計負担、地元・故郷の疲弊、地域社会から隔絶)
    →便利さを享受する一方で、所得を大資本に吸い取られ、リスクが巨大化
    ▼本来クルマが入ってくるべきではない領域と、クルマが十二分に活躍すべき領域を明確に線引きすると共に、その領域の「接続」を円滑化することが、地方活性化にとって不可欠

    <目次>
    第1章 道からクルマを追い出せば、人が溢れる
    第2章 クルマが地方を衰退させた
    第3章 クルマを締め出しても、混乱しない
    第4章 「道」にLRTをつくって、地方を活性化する
    第5章 「クルマ利用は、ほどほどに。」―マーケティングの巨大な力
    終章 クルマと「かしこく」つきあうために

  • クルマの発展により郊外への大型商店の進出、ニュータウンの整備が進んだ。その結果地方都市の中心の商店街が荒廃し、人口が流出し、地域の繋がりも薄くなっていってしまったと説く。クルマの排除を行なって中心部に人が増えた事例を富山と京都のケースで説明している。さまざまなデータによる分析がしてあるが、ここまで車に依存した社会からクルマを減らしていくことは簡単ではないだろう。さらに自動運転技術の発展により、クルマの存在意義自体が変わろうとしている。変化の激しい時代に対応していくには、色んな角度からのアプローチが必要なのかもと気付かされた。

  • クルマを使う事のデメリットが滔々と記述されている。
    客観的な研究に則るものも多く、示唆に富む。
    地方活性化というよりは、自動車をつかうことでどうなってしまうのか、ということを学ぶのに良いと感じた。

  • 日本経済は自動車業界が牽引しているから、なかなかこういった発言がでてこない。しかし、これを実現するにはどれくらいの年月がいるのかな?

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著者プロフィール

京都大学大学院工学研究科教授、1968年生。

京都大学卒業後、スウェーデンイエテボリ大学心理学科客員研究員、東京工業大学教授等を経て現職。

2012年から2018年まで安倍内閣・内閣官房参与としてアベノミクス、国土強靱化等の政策アドヴァイスを担当。

2018年より保守思想誌・『表現者クライテリオン』編集長。


「2024年 『「西部邁」を語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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