対人援助学の可能性: 「助ける科学」の創造と展開

制作 : 望月 昭 
  • 福村出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784571250385

感想・レビュー・書評

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  • 卒業する時にポイントで買ったまま積ん読していたがようやく読了。社会福祉、コーディネーションやファシリテーション、地域における学びと育ち、何だか最近の関心事が徐々に合わさってきた。援助、援護、教授という対人援助の連環モデルはなるほど近いなと。

  • 行動分析学に基礎を置きつつも、臨床心理学や社会学的な視点も取り組んで、
    広く「助ける科学」としての「対人援助学」を提唱する一冊。

    この書籍の面白いところは、行動分析学の枠組み(たとえば強化)によって、
    被支援者へのケア、支援者の支援行動の維持、さらには社会制度の構築、
    といった話までを組み込んでいこうとしている点にある。
    従来の行動分析学的な支援と言えば、たとえば行動療法などがあるが、
    支援者の支援行動自体が継続的に成立しないと、実践・分野として続けられない。
    支援者がきちんと教育を受けるためには、そのための場が必要であるし、
    そうした場を構築するには社会制度上の仕組みが必要となる。

    一方で、行動分析学という領域の、恐らくは限界として、
    ある主体の「意味づけ」のような話を扱うことは得意ではない。
    やりようによっては…という気がしないでもないが、
    どうしても介入的なニュアンスが強くならざるを得ないので、
    その辺に違和感を持たれる方も居られるかもしれない。
    今後の展開次第のような気もするが。

    行動分析学は、もっぱら個人「内」だけを扱ってきているように誤解されることがあるが、
    実際には、「環境」の影響による行動の変容を研究してきた分野である。
    ハトの条件付けのようなものから、対人支援という実践志向の営みに至るまで、
    本当に様々な現象を、一つの枠組みで見ることが出来る行動分析学の底力と可能性を示した一冊であると言えよう。

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