- Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
- / ISBN・EAN: 9784572002044
作品紹介・あらすじ
もうすぐクリスマス。メキシコの小さな女の子セシは、ポサダという特別のお祝いを初めてしてもらえることになり、期待に胸をふくらませています。コルデコット賞に輝くすばらしい絵本です。
感想・レビュー・書評
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メキシコに住んでいる主人公のセシは、今年はじめてポセダをしてもらえます。ポセダは、クリスマスの特別のパーティー。セシは、ポセダのために、ピニャタも買ってもらいます。
ポセダとピニャタってなんだろう?!
と思いながら、幼いセシと同じ目線で初めての体験に同行できる、とっても楽しい絵本。
異文化を知る絵本好きだわぁぁと開眼して、そういうジャンルの絵本を色々読んでみたくなりました。(オススメがあったら教えてください!)
メキシコは、独自の文化があり、歴史が長く、国土も広く、人口も多くてパワフル。「メキシコと言えば、アメリカとの国境線を超えたい人たちのいるところ」とアメリカ目線での認識に留めておくには勿体無い魅力的な国だと思っています。
異文化を知りながらクリスマスを味わうのにとってもオススメの絵本でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まあまあ、なんて可愛いお話しだろう!
もう読みながら胸がきゅっとなってくる。
丁寧に丁寧に作られた一冊で、お話しそのものの魅力だけでなく挿絵も何もかも、隅々まで本当によく出来ている。これは読み聞かせはもったいないな・笑
大人がひとりでじっくり楽しむ本。
セシというのは主人公の女の子。
ポサダというのは、お話の舞台であるメキシコの、クリスマス行事。
ピニャタという粘土の壺が入った紙の人形に、お菓子や果物をいっぱい詰めて、ポサダの夜にみんなで割るというもの。それが子供たちにとってとても楽しみな行事であるという。
そして、さすがのマリー・ホール・エッツ。主人公の小さなセシの心の細かな動きに焦点を合わせて、丁寧に語る。もう、それがいじらしいのなんの。
この子はちょぴりみそっかすの子らしい。
くじけそうになったり泣きそうになったりするたびに、大丈夫よ!と応援したくなる。
メキシコのクリスマスというものを、この本で初めて知ることになった。
何もかもが初めてずくしの言葉だらけなのに、しっかりお話の世界に入れるのは、やはりこの文章力と挿絵の力が大きい。
表紙をめくって、その裏表紙からしてもうお話の中。
街の風景、庭や人々の様子、子供たちの表情、マーケットの中、お店に並んでいるたくさんのピニャタたち。どれも本当に丁寧に描かれている。
特に夜のポサダの行列などは、とても神秘的で美しい。
エッツは、いつも素晴らしいお仕事をするなぁ。
やや異色のクリスマス絵本で、これはぜひともおすすめ。 -
マリー・ホール・エッツ&アウロラ・ラバスティダ作。
たなべいすず訳。
この絵本もリアリズム志向。エッツとラバスティダの共作だそう。
メキシコでクリスマス前の九日間に行われる「ポサダ」という行事についてのお話。このポサダはこの期間中近所のどこかの家で行われ、子供たちが参加する。
ピニャタという、中に粘土の壺が入っている人形にお菓子を詰め、スイカ割りの要領で子どもたちが目隠しして棒でそれを割るのだ。すると中からお菓子が落ちてくる。
さて本作では、セシという幼い女の子がはじめて家でポサダをしてもらえるということで、張り切っている。楽しみすぎて待ちきれない。
いよいよマーケットへ「ピニャタ」を買いにいくことになると、嬉しくていつも持ち歩いている人形のガビナに報告しにゆく。
お母さんが他の買い物をしている間に、セシはさっさとピニャタのお店に行く。すると、売り物のピニャタたちが話しかけてくる。いろんな動物のかたちをしたピニャタたちが、自分を選んでと声をかけてくる。
セシはけっきょく、大きな星のかたちをしたピニャタを買ってもらった。
さていよいよポサダの日。お兄さんのサルバドールとお父さんがピニャタをロープで木に吊るし準備完了。
するとセシは、だんだんとそれがみんなに叩かれるのがイヤに思えてくる。
「あたしのピニャタを、だれにも こわされたくないの!」
夜になりお客さんが集まり、ポサダは行列で始まる。セシといとこのマニュエルが、ヨセフとマリアとろばのにんぎょうをもって中庭をまわる。みんなろうそくを手に、聖なる巡礼の歌をうたう。
その後、子どもたちは目隠しをされ、セシのピニャタを割ろうとし始める。
「みんなにたたかせないで!」とセシは割ろうとしない。それに、だれも話を聞いてくれない。
やがて誰かがピニャタを割り、中からお菓子が転がりだす。さあこの、いってみれば子どもにとっては暴力的なイヴェントと、セシはどう折り合いをつけたのか。
これがもういじらしくていじらしくて、胸をしめつけられた。
絵はエッツが描いている。何色と表現すればいいのだろう、背景はセピア色っぽく、ピニャタや衣服や花だけが鮮やかなピンクや朱色や黄色、黒白で塗られていて、最高にいい。お話は抜きにして、これまでに読んだエッツの絵本のなかでこの絵がいちばん好きかも。 -
もうすぐクリスマスです。メキシコの小さな女の子<セシ>は、「ポサダ」という特別のお祝いを初めてしてもらえることになり、夢と希望に胸をふくらませています・・・。カトリック教徒のメキシコでは、クリスマス前の九日間、毎晩どこかの家で催される「ポサダ(宿)」では、「ピニャタ(素焼きの壺)」を割って神の子イエス様の誕生をお祝いする様子が描かれたお話し絵本です。あどけない少女<セシ>のクリスマスへの想いと、この地で懸命に生きる人々の汗と涙と土の匂いが伝わってきます。
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この作品、共作だったのですねー。
たった今、著者名を記しながら驚きました!
メキシコでは、クリスマスまでの9日間、毎日どこかの家でポサダというパーティーをしてお祝いの日々が続くのですね。
今年はコロナで寂しいお祝いになってしまっているのかしら?
子どもたちが幸せだといいなぁ。。
この絵本の主人公は幼稚園に通い始めたばかりのセシ。
ある日お母さんがいいました。
「大きくなったから、セシのポサダをしてもだいじょうぶでしょう」
ポサダは、キリストを身篭ったマリアが、夫ヨセフとともにベツレヘムへと向かい、宿を求めた、福音書の中にある通りの出来事を祝うお祭り。
子どもたちは、その家に吊るされたピニャタを目かくしして棒で叩き割るという遊びを何より楽しみにしています。
ピニャタは星の形や動物の形をした粘土や紙でできた人形のようなもので、中にたくさんのお菓子やキャンディー、ナッツや果物などがはいっているのです。
幼稚園がお休みに入り、ポサダまでの長い日をお手伝いのマリアと過ごすセシの様子や
メキシコの街のいろんな姿が描かれていてとても興味深いです。
公園の池にいた、大好きなアヒルの真似をして、お風呂に水を貼って真似してみせるセシなんていう、もしかしたらこのお話の中に特に必要ともしないエピソードが、とっても愛おしいんですよね。
また、労働者と、セシの家のような中産階級的な家庭の様子といった、貧富の差もさらっと描かれていて奥深い。
なによりも、セシとピニャタの、また大好きなお人形のガビナとの世界が、とっても愛おしくてキュンキュンしてしまいます。
ポサダのその日のセシの気持ち、なんだか分かるなぁ。
お友だちを呼んで、ひな祭りのお祝いをしたあの日を思い出しました☺️
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◆「ポサダ(宿屋)」はメキシコのクリスマス前の9日間のお祭り。ヨセフとマリアの「聖なる巡礼」をまねて子どもたちが家々を巡ります。ポサダに欠かせないのが、お菓子や果物を詰め込んだ素敵な色や形の薬玉「ピニャタ」。西瓜割のように目隠しをして割って楽しみます。インディオとスペイン、二つの文化が混じり合ってできたメキシコのクリスマスは独特なのですね。◆初めてポサダを開いてもらう女の子セシの選んだピニャタは、東方の博士にキリスト降誕を知らせた星の形。「私のピニャタ割らないで」と思うセシの気持ち、よくわかります(^^) ◆落ち着いた色の基調のなか、色彩(ビビッドな!)をあたえられているのは、わずかに、服や果実・花・お菓子・ピニャタ・灯りのみ。きっと小さな女の子セシの目にキラキラと映っているもの。デザインとしても素敵な絵本。絵:マリー・ホール・エッツ。【2013/10/25】
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もう、本当にかわいい物語で、絵本をぎゅっと抱きしめたくなる。
大きく社会は人間を「大人」と「子ども」に分ける。しかし、その「子ども」のなかでも、「子ども」とそこに加えてもらえない「子ども」の2種類があることを気づいている人は多くない。いわゆる、みそっかすの存在である。
本書は、そのみっそかすである、セシちゃんが子どもの仲間に入る間際で感じる、様々な感情を丁寧に丁寧に描いている。そして、その感情のなんて純粋なこと。やっぱり、マリー・ホール・エッツは天才だなと思ってしまいました。 -
私がピニャータ職人となってしまった、原因ともいえる絵本です。
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1960年 コールデコット賞受賞作品
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1960年コールデコット賞