- Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9784572003324
作品紹介・あらすじ
深い森のなかに、親子のシカが住んでいました。ある晩、子ジカが流れ星を追いかけて、見知らぬ世界に迷いこみます。それは、一夜の出来事とは思えないくらいふしぎな冒険でした。
感想・レビュー・書評
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日本画家による文字のない大型絵本。
大人向けのコーナーに配架されてあり、表紙の青色に思わず惹きつけられた。
青は、星空を散りばめた夜空を表現している。
星空を映しているのは流れる川か…
深い森のなかに住んでいる親子のシカ。
子ジカが流れ星を追いかけて、見知らぬ世界へと駆けていく。
一夜を過ごしたあとに親ジカの元へ戻る。
美しい絵だけで充分に伝わってくる物語。
捲る度に風景から音が想像できる、そしてすぎてゆく時間も一目瞭然である。
開いた右側にシカと風景が、そして左側にはスケッチ風に子ジカの辿った地図が描かれている。
この一夜の冒険で、子ジカは何を感じたのだろう。
帰ってきて親に何を伝えたのだろうか…。
ちょっと成長して逞しく見えたのは気のせいではないだろう。
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思ったよりも大判な絵本だった。
ある星のふる夜、森の奥の鹿がふらりと歩き出す。
文字のない絵本。
鹿の移動経路を表す地図と、鹿のいる夜の風景。
森から街へ、人のいない街中に佇む鹿。
このしんとした空気はなんだろう。不思議。 -
〝深いもりのなかに、親子のシカが住んでいました。ある晩、子ジカが流れ星を追いかけて、見知らぬ世界に迷い込みます。それは一夜の出来事とは思えないくらい不思議な冒険でした・・・〟 静まり返った森、星空を映してゆるやかに流れる川、風の囁き、水のせせらぎ、苔の匂い、人っ子ひとり見当たらないネオン街...さ迷う子鹿。 日本画家<千住 博>さんが連続する美しい絵で描いた神秘と幻想の世界。
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文字のない絵本。
水面に映る星々や、夜明けの朝焼けの森…
絵が美しく、見入ってしまう。 -
滝の絵で有名な千住博さん。
これは、文字のない絵だけの絵本。
『深い森のなかに、親子のシカが住んでいました。ある晩、子ジカが流れ星を追いかけて、見知らぬ世界に迷いこみます。それは、一夜の出来事とは思えないくらいふしぎな冒険でした………』
小さく、子ジカが今いる場所の地図も描かれているので、なんとなく応援をしたくなる。
心細いよね、そこ。。
寂しいよね、そこ。。
頑張れ、もう少しだよ。
よかったね。。
絵を眺めながら、色々なストーリーが浮かぶ。
ふと、見覚えのある絵に気づく。
数年前に千住博美術館で見た絵だと思い出す。
あー、この原画を見ていたのかー。。と、なんとなく嬉しい気分になった。 -
千住博美術館は美術館そのものが作品と一体化していて、しかも軽井沢のイメージとも一体化したアートな空間でした。ここで、絵本「星のふる夜に」を原画で見ることができます。贅沢です♪ 千住はイマジネーションのある絵本を作りたかったそうですが、言葉のない絵本です。言葉で伝える必要のない感動が、そこにはありました。
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水面の線が消える幻想的な夜。戸張が明けてほのかに山吹色に変わってゆく色彩の美しさ。
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文字のない絵本。
絵が心にじーんとしみいります。 -
世界で活躍している画家の千住博氏が描いた絵本。
文字が一切ない。すべて絵だけで構成されている。描き手のイマジネーションをどう受けとるかは受け手のイマジネーションに委ねられている。
一応ストーリーはある。森に棲む小鹿が川沿いを下って行くうちに家族とはぐれ、人間の住む街へ迷い込んでしまう。しかし、また上流へ遡るうちに家族と無事に再会するというもの。
この鹿が、どういう気持ちで川を下り、街中で彷徨ったのか。それも受け手の想像に委ねられる。不安そうであるけれども、もしかしたらワクワクしていたかのかもしれない。家族のもとに戻った時に、もう遠出はこりごりだと思ったかもしれないし、また行ってみたいと思ったかもしれない。どう受けとってもいい。
軽井沢の千住博美術館には原画が展示されている。滝の絵で有名な千住氏だが、この絵本の原画も素晴らしい。
表紙の絵を見てもらえばわかる。夜空の星の瞬きが湖面に鏡像として映り、天地の境を消している。湖畔で佇む小鹿の寄る辺のない心象風景が美しく描かれている。
それに引き換え街中の描写は、高層建築の並ぶ近代都市のように見えるが、どこか寂れている雰囲気で、客足の遠のいた温泉街のようだ。静寂な森の美しさと、近代都市の殺伐さが対比されている。(と自分が感じるというだけで、どう感じるかはもちろん自由)
自分ごときがぐだぐだ書いてもたぶん作品の良さは伝わらないから、ぜひ原画を見て欲しいと思う。
絵本とは関係ないが、美術館の設計はルーブル別館や金沢21世紀美術館の設計をした、世界的に有名な建築ユニットSANAAの西沢氏が担当した。建物自体も美術品には天敵である自然光を取り入れた、いい意味で非常識なもので、美術作品としても大変素晴らしいので、こちらもぜひ見てもらいたい。