七姫幻想

  • 178人登録
  • 3.49評価
    • (14)
    • (32)
    • (64)
    • (4)
    • (0)
  • 57レビュー
著者 : 森谷明子
  • 双葉社 (2006年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575235401

七姫幻想の感想・レビュー・書評

  • 織女の七つの呼び名にまつわる、七つの連作短編集。
    古代から近代まで、古い力を受け継ぐ姫たちの周囲で起こる出来事を絵巻のように描いていきます。
    短編どうしはゆるやかなつながりを持ち、歴史を彩った文人たちをも登場させながら、ときに美しく、ときに残酷に、流れていきます。

    予想していたよりもミステリー要素があり、1つ1つの短編に重さもあったため、思っていたよりもずっしりとした読後感でした。
    どの話も印象的でしたが、村の儀式に隠された真相を前にした若者たちを描いた「百子淵」で感じた、きりきりと締め付けられるような切なさが特に余韻をひいています。

  • 和歌からいざなうミステリー。
    7編からなる短編集だが、いずれもたなばたの七姫と、ある集落の人間やそこに祭られる神が関係している。

    娟子の話が唯一おっとりしていた。
    全部おもしろく読めた。

  • 面白かったです。たなばたの七姫に因んだ七つの物語。連作短編?と思うような箇所もあったけれど、多分別の話なのでしょうね。“幻想”というタイトルにふさわしく、不思議で謎に満ちた話ばかりです。ミステリーを読む時のようにわくわくしました。『朝顔斎王』『百子淵』が印象的でした。特に『百子淵』は少年から大人になる儀式、それが当年と一年後にあるという意味、割り切れない思い、苦さ、それらを自分の中で昇華して、やっと大人の仲間になる。たとえそれが、自分の望まない形だとしても。

  • 七夕をからめた短編集。
    けっこうドロドロしてて、最後は、食傷気味{(-_-)}
    話しも、好き嫌いで分かれそう。

  • たなばたの七姫
    あきさり姫
    朝顔姫
    薫(たきもの)姫
    糸織姫
    蜘蛛(ささがに)姫
    梶葉姫
    百子姫
    にまつわる短編集。
    万葉から江戸まで山奥の里と都の物語。

    大王に見初められた大后の妹姫。
    次期大王に贈る衣装を織る巫女姫。
    死を隠された叔母の秘密に迫る少女。
    斎王を降りた娟子の周りで起こる事件の真相。
    梅壺女御が忘れ去りたい七夕の記憶。
    不二原村の年に一度の成人祭の秘密。
    同心の妻、志乃が出逢った京の松林の事件。

    どれもじっとりと絡みつくような余韻が残る。
    寂しく切ない歌物語。
    女性の嫉妬、見栄、復讐心、野心、恋慕。
    狂気さえも感じられる話もあり、後味は良くないけれど、不思議と最後の歌に吸い込まれていく。
    娟子の物語が微笑ましく、不二原のイトが一番不気味。元輔のお話は源氏の本を思い出させて楽しかった。
    女の生き方も様々だな。
    でもどこか強かで強い。

  • 万葉集の古から蕪村の時代まで、七人の姫の、不思議の物語。

  • 織姫伝説になぞらえた七人の女たちの物語。
    神代から江戸時代までの時の流れの中に
    それぞれ関わりのある者たちが登場する。

  •  織姫の七つの異称をモチーフに、日本史の秘事に纏わる謎を描いた、連作歴史ファンタジーミステリ。
     古来より、機を織り、情を絡ませ、罪を織り込んできた、美しく密やかな織女たち。
     時を超えて語り継がれる、妖しく甘美な哀愁の伝説。
     古代史好きには馴染みの面々や説話の数々が、影の織姫の如き筆者の紡ぐ、生々しくも瑞々しい物語として立ち現れる。
     個々の作品は独立した筋立てながら、微妙に根底で繋がり合っては、世界観と奥行きを広めている。
     女の性と水の関連付けや、母方の血筋を辿ることで皇統に絡みつく一族を連想させる下りは、同筆者の「葛野盛衰記」を連想させた。

     また、史実との照合や人物の定説を調べてみる面白さも、歴史物の興。
     個人的には、「朝顔斎王」の娟子内親王と源俊房の二人が可愛らしかった。
     作中では二人とも和歌が不得手という設定だが、「今鏡」のエピソード(交互に扇に一文字ずつ書き加えながら歌を作る遊びをしている内に愛情が深まった)を知れば、微笑ましさも増す。
     (実際は、駆け落ち騒動の末に、内親王の弟である後三条天皇の怒りを買ったらしい。)
     記録では多くの子女に恵まれた俊房だが、娟子との間には子どもができなかったのも皮肉。
     それでも正室として大切に遇されたであろう彼女を想像するのも、小説の楽しみの一つだ。

  • 短編集だけど、ちょっとずつ繋がっているのがよい
    ちょっと背筋がゾワゾワするようで、それでいて刹那い物語

  • アマテラスやスサノオが出てくるような古代からはじまって、
    最後は江戸時代の武家で終わっている連作短編。

    全てを繋ぐ糸は、ある里と七姫。

    で、確かに幻想は幻想なんだけど、「暗黒幻想」というか、
    出てくる女がとにかくしたたかで、怖い。
    生々しさは感じず、狂気だけが静かに滲み出ている暗黒幻想。
    正直後味は悪い。ぞくっと背筋が冷たくなる。
    ので、可愛らしいタイトルとカバーに騙されて読むと……っていう。
    私はこのひんやり感、あんまり得意じゃないなー。汗

  • 織女の七つの異名を鍵に、時代を越えて語られる短編集というか、連作なのでしょうか。

    語り口は綺麗そうに見えて、暗い情念のようなものが。
    「ささがにの泉」と「朝顔斎王」は比較的さっぱりとして気持ちよく読めました。


    姫達は強いのか、弱いのか、一途なのかしたたかなのか。

    短編だからか登場人物達の動機が説明不足だったり、かと思えばやけに説明口調なところがあったりで、ちょっと気になりました。

  • 凝った趣向が見事だが、原典に対しての知識が足りなかったため、楽しみ切れないところがあった。

  •  神代~江戸時代初期頃を舞台にした短篇連作。ミステリの味もあり、幻想味もあり。でも何より大きく作品全体を巡るのはたぶん、女の怖さと妖しさだと感じた。
     そんな中で少し和ませる部分もあるというか、ちょっと少女小説味もある「朝顔斎王」がいい緩和剤になっていて好き。

  • ある村の泉を軸に7つの物語が連なっている。綺麗な印象なのだが、実は怨念?やら人間の心の中の見たくない部分なども織り込まれていて、臨場感のようなものを感じた。自分がこの時代に生きていたらどんな階級の家だろうかとか自分が主人公だったらこういう風に生きられるだろうかということを、考えることが多々あった。時代物、それも古代~平安ぐらいの読み物がなかなかないので、森谷さんには今後もがんばって素晴らしいものを書いてほしいです。

  • 「緑が丘小学校・・」がよかったので借りてみたが、ちょっといまいちだったかな。

  • 七夕の織姫の異称になぞらえて語られる、七編の連作ミステリー。

    神代から江戸時代までの連綿とした時の流れの中で、泉のほとりで機織りをする姫君とその隠れ里にまつわる物語が、史実に絡みながら巧みに織り込まれている。
    連作を読み終える頃には、一族の断片的な物語が繋ぎあわされ、まるで鮮やかで美しい織物を眺めるかのよう。

    元々は古事記や万葉集、古今集の短歌から話を想像して書かれているので、読後に原典や史実を調べる楽しみもある。

    姫君の一族の女たちの、したたかさと同時に揺らぎを抱えているような生き方も印象的。

    文章がとても美しく、ゆかりの和歌も彩りを添えていて、幻想的で豊かな世界観が楽しめました。

  • 本来は清らかであったものの上にどろりとしたものが覆いかぶさってくる。そんな7つの幻想譚が、蜘蛛の糸のように少しずつ絡みあった作品。読んでいると、妙に暗く粘ついたものにまとわりつかれる感じを覚えたが、それは七人の織姫の思いだろうか。

  • 同じ山奥のある村を血筋にもつ7人のお姫様(というか娘?)の話。
    少し残酷で、女の人のよい意味での小賢しさや潔さが表現してあって面白い。
    読み進めるうちに、その村の真髄まで掘れてゆく。
    ただ、私は7つ読み終えるまでにいつもより骨が折れた。

  • 最初の推理物っぽい出だしが残念。ひとつひとつの物語が糸で繋がっていて、謎は読み解けたりそのままになったり。不安定な感じがいい雰囲気。

  • 森谷さんの作品の中で今のところ一番好みです。
    美しくて少し怖くて、少し哀しい話。
    なんというか、『女』という感じがする。

    男性の感想を聞いてみたいけれど、誰かれにはオススメできない.....。

  • 織女伝説をモチーフに、和歌を絡めながら描く七編の連作。

    「ささがにの泉」美しく泉に愛された衣通姫と閨で息絶えた大王の謎
    「秋去衣」成長した軽皇子と機織女の道ならぬ恋
    「薫物合」夏野の死の真相を探る元輔と軽女
    「朝顔斎王」斎王を引退した娟子を狙う悪質ないやがらせの犯人
    「梶葉襲」送られた着物と滝瀬の秘密
    「百子淵」里の伝説
    「糸織草子」遥か古の物語と兄弟の悲恋

    物語は複雑に絡み合い、時代を超えて悲しい恋が続いていく。まるで輪廻転生だなと思った。様々な時代に、それぞれの織姫が存在して、機を織り、悲しい恋をして死んでいく。そしてまた生まれ変わり、機を織って恋をして…とその輪廻は続いていく。とても壮大な世界を感じた。またそれと同時に登場する女たちが弱そうに見えて意外としたたかなので、女の恐さも感じた。
     それにしても物語と最後の短歌や俳句がぴったりとマッチしているのに驚く。実際に存在した人がつくった短歌や俳句を物語に合わせて選ぶのは大変そうだなと思う。この短歌や俳句がこの物語の締めの部分に当たって、より一層「幻想」という言葉がふさわしい不思議な空気をつくっている。読後感のよい作品だった。

  • ゆるやかに時代を超えてつながっていく物語、王朝物好きとしては真ん中三編は非常に楽しかった。こんな形で清少納言が…芳子がこう書かれるとは…などなど、傑作「千年の黙」の作者ならではの世界を堪能した。でも。最初の古代物と、時代が下った後の方のは、うーん、どうなんだろうか。時に最後の1編は話がとっちらかってる感じで、読むのが辛かった。申し訳ない言い方だが、こういうお話をミステリーではなく書いてほしいなあと思う。ミステリーという枠がなくても十分魅力的な物語だ。というよりも、「謎」がお話の進行の邪魔に感じられるような所さえあるように思う。作者は鮎川哲也賞でデビューしたくらいだから、並々ならぬ思い入れがあるのだろう。それでも、最近「これ!」というのがない雅な王朝物語をストレートに語ってほしいと、ないものねだりをしたくなる。もう三十年も前読んだ「なまみこ物語」が忘れられない。円地文子による中編で、何度読んでもうっとりとため息が出る。完璧だ。変色してはずれたページを補修しながら読んできた。あんなのを書いてほしいなあ。

  • 少しずつ下っていく時代の中に、糸のように細くでも確かに繋がっているのが垣間見え面白い。語りやシチュエーションは美しいけれど、結構話はドロドロしているかも。他の作品も読んでみたい。

  • 2007年8月18日読了。

全57件中 1 - 25件を表示

七姫幻想を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ツイートする