- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575235791
作品紹介・あらすじ
私は産みたいのだろうか?産みたくないのだろうか?子供、仕事、恋愛、自由-たったひとつの人生だから。踏みきれないあなたに捧げる物語。心揺さぶる感動の連作短編集。
感想・レビュー・書評
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様々なシチュエーションの中で女性たちが下す、産む、産まないの決断。
結婚はやり直しできるし、いつでもできる。
出産はやり直しできない上に期限付き。
読んだとき、未婚だったらかなり焦っていたと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
産みたい、産めない、産まない。いろいろ形があった話。
自分と重ねて辛かったけど葛藤や悩みが率直に描かれていて苦しんでる人は自分だけじゃないとも思わせてくれた。
いつか、この苦しみは自分を成長させてくれるものだと思いたい。
早く赤ちゃんが欲しい‼︎と思わずにいられなかった。 -
今の時代の空気感、東京(あるいは都会)に住む女性たちの揺れる想いをよく汲み取っているなと思います。
いま20代/30代/40代では妊娠・出産に関する情報量に格段の差があるし、母親世代の考え方も違う。そのあたりのビミョーな差を、主にもうすぐ適齢期を逃してしまう、あるいは出産年齢ギリギリの女性の立場から描写していてすごくリアルでした。 -
「産む」ことをテーマにした短編集。それぞれの心情がリアル。仕事か子どもか、どっちかを選ばなければならない、というほど単純でもないと思う。
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ブログでの紹介を見て図書館にて予約。
母親との記憶が「あぁはなりたくない」と根深くて、
子どもをもつ気になれない主婦。
女を捨てられない主婦。
不妊治療との戦い。
以前読んだ本にもあった、フランスでの産後ケアの公費まかないについても軽く触れられていて思い出した。
膣ケア…フランスの女をいたわる風土はすごい。
それを日本でもやれというのではない。でも日本でも出生率を上げるには、
まだまだ!!!
足りないものがあると思う。
保育園タダだったらいいのに。
もっと妊婦に優しい社会だったらいいのに。
子どもと妊婦と女に優しい社会は、未来も安泰だと思う。
この一冊、産んだ側ではあまりハッピーな登場人物がいなくて、「きれいごとがない」といえばそうなのだけれど、
「迷」った末に「産」む人の運命があまりに過酷すぎて、…こわっ。
それでも産むのはなんやなんやでハッピーよ、なんて自分の意見は言ってみる。それもやっぱりきれいごとかしら?? -
2010/10/05 連作らしい連作。
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20代から40代まで
さまざまな女たち
自分の人生に子供は必要なのか
タイムリミットが迫る中、悩み、焦り、もがき。
そんな女たちの身につまされる連作短編週 -
仕事が楽しくて、辞めたくなくて子供なんて考えられない人
欲しくてもなかなかできない人
結婚願望もなく、子供が産みたいとも思ったことがない人
ただ何となくまだいいと思ってる人
同じ女性でも色んな気持ちを抱いている人がいる。
この作品には、産むつもりがなかった人が産みたいと思うまで
を描いた作品や欲しくて何年も治療を続けたけどできなくて、
治療を辞めたら自然妊娠したという作品など女性と出産を
テーマにした作品が6つ収められています。
私は、仕事が楽しいと感じる期間が極端に短かったので、
結婚願望も早くから強かったし、結婚したらできるだけ早く
子供が欲しかったので、仕事ができなくなるのが辛い
という気持ちがわからない。
だから、あぁそう感じる人もいるんだなぁって新鮮でした。 -
宇佐美游を知ったのは、この本がきっかけだった。
著者初の、妊娠、出産にまつわる連作短編集。自分も妊娠、出産については考えるところがあるので、本書が『ダ・ヴィンチ』で紹介されていたのを見て読もうと思った。
近くのビルの騒音に悩まされながら、胃が痛むので医者に行ったら子宮内膜症だと診断された34歳の会社員。
<女であるために家に埋没せざるを得なかった無念>を抱いて常に不幸な顔をしていた母親の影響で子供を作れずにいるものの、夫の実家から子供はまだかとせっつかれている37歳のフリーイラストレーター。
母親の理解も手伝ってDINKSでいいと思ってきたが、父親の痴呆と介護問題が突然降って湧いたことで、子供を産むことを決意する38歳のコンピュータ会社OL。
不妊治療を続けながら、いつまでもきれいでいたいし仕事もしたいと思っている自分に風当たりは強いが、どうしても子供が欲しいために「自然主義」のクリニックで妊娠に専念するようになる31歳主婦。
47歳の妻子ある男と不倫中だが、身内の遺産相続問題を目の当たりにしたことで自分の老後の不安が募り、子供を持つことを迷い悩み続ける39歳独身の編集者。
数々の店で干され、いつまでもぱっとしない25歳のホステスが、店に来た43歳の銀行員と仲良くなり妊娠、ところがあっけなく捨てられて、借金まみれで行き場を失いながらも産もうと決める。
どの主人公も、年齢や状況が切羽詰っている。妊娠、出産は期間限定であることを、嫌でも思い知らされる。連作短編だから様々な関係で共通の人物が登場するが、そういう友人知人たちにもそれぞれの事情と悩みがある。とにかく現実的で、よくありがちな話なので、小説だと割り切れない恐ろしさがある。だからこそ目を背けることができない。
わたし自身、30も半ばを過ぎた今、子供はいない。だからこの本に出てくる女たちの気持ちが痛いほどよくわかる。産むのか、産まないのか、そもそも欲しいのか。常にどこかで迷い、悩んでいる。
子供の傍若無人なけたたましさと、それを注意もせず笑って見ている母親、という図には常々腹立たしく思っているし、幼稚園や小学校に上がると必ずつきまとうであろうママどうしの付き合いも、想像しただけでうんざりしてしまう。この本の台詞にあるように、子育てしている母親を見て、いいと思ったことがないのだ。
そして何より、子供を持つことで今の自分の生活から失われるものを考えたら、現実問題として子供を欲しいと思うのはなかなか難しい。もちろん老後の不安もあるし、子供がいたらもっと何倍も生活が楽しくなるのかもしれない、という気持ちはないこともないのだが。
こういった揺れ動く心情が、この本一冊にすべて凝縮されて入っている。不安や迷いは自分だけじゃないのだとホッとしながらも、やっぱりこれでいいのか、と自問自答している。結局、<産まない女はずっと、死ぬまで、これでいいのか、これで良かったのか、考え続ける>のだ。
人間はみな、大なり小なり迷いながら生きている。
読了日:2007年7月10日(火) -
今や子供を産む、産まないというのは個人でそれぞれ選択する時代である。私も主人公の女性達のように「いつか産めれば・・・」程度に考えているくらいで具体的なプランを描いているわけではない。しかしどんどんと時は流れ、仕事に夢中になったり、子供の居ない生活に慣れてしまって気づいたときには妊娠すること自体が難しい年齢になったときにどんな風に感じるのか。どんな選択をするのか。今は想像しかできないけれど、タイムリミットのある妊娠について色々考えさせられた。