誘拐

著者 :
  • 双葉社
3.50
  • (32)
  • (90)
  • (102)
  • (17)
  • (7)
本棚登録 : 467
感想 : 96
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575236262

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 10年前の作品ながら、いまだにレビューが絶えなく、つい10年ぶりに再読。
    小説内の、政治状況社会状況などにあまり古さを感じさせず、この10年日本はたいして変わっていないんだなとと、妙に納得。
    日韓友好条約批准のため、韓国の大統領が来日する直前に起きた、総理大臣の孫の誘拐事件。誘拐をテーマにした推理小説は多々あるが、誘拐の意図目的、被害者、誘拐の発案者それぞれがとてもユニークで、特に最後の場面など、再読にあ地する傑作といえよう。
    「誘拐という犯罪は、人間を信じている者にしかできない犯罪だと思うんです」という、星野警部の言葉が、この事件を成立させ、読後感をスッキリさせる要件になっているのでは。

  • 練りに練られた誘拐計画とその後の大金受け取り方法が面白かった。 リストラされた男性が一家心中、それにショックを受けた主人公の娘が自殺というストーリーの始まりはなかなかあり得ない設定で異和感があったけど、読めない犯人の目的と隙のない犯罪計画に引き込まれた。主人公が犯人なんだけど元々、自分の為の犯罪じゃないから逃げ切ってほしいと思った。盗んだ免許証の処置さえ間違えなければ。。本の帯に「ドンデン返し」とあったけどラストにありました。全くわからなかった。

  • 普通の誘拐とは、一味違った手法。
    大統領来日警備との両立に、振り回される警察。
    どうなっていくのか分からない展開が面白かった
    。いくつか気になっていたポイントも、最後には理由が明かされ、すっきりする。
    ただ、犯人の特定にいたる証拠が、用意周到な犯人らしからぬもので、引っかかった。
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-1293.html

  • 旅行会社をリストラされた家族の一家心中から物語が始まり、一体、どんなふうに「誘拐」につながっていくのだろう?
    と疑問に思う間もなく、いきなり物語は「誘拐事件」へと発展していく。
    物語の展開がやや強引なのが、気になる。
    誘拐事件の目的そのものは、今までにないもので面白いと感じていたが、途中で展開が読めてしまい、そのまま終わってしまった。
    最後も何となくすっきりせず、読後感不良・・・
    ただ経済を取り巻く状況は、この作品が発表された時期よりさらに悪く、誘拐自体が頻発することはなくても、この物語の発端となった失業者の自殺が実際に増えるのかと思うと、現実の厳しさをしみじみ考えさせられる。

  • 現職総理大臣の孫が誘拐された。
    犯人は旅行代理店をやめたばかりの秋月。
    いわゆる「普通の」男が、なぜ大それた事件を起こしたのか。
    秋月の要求は政府を混乱の渦に落とし込む。
    (アマゾンより引用)

    孫が絡んでるやろうな、とは思った。
    何か話がごちゃごちゃしてよく分からんやった。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    韓国大統領来日―。歴史的な条約締結を控え、全警察力が大統領警護に集まる中、事件は起きた。少女誘拐―。全く痕跡を残さない犯人に、大混乱に陥る警視庁。謎が臆測を呼び、臆測は疑念に変わる。ベストセラー『交渉人』の興奮再び!稀代のエンターテイナーが贈る超驚の警察小説。

    総理の孫を誘拐するという大胆さと、実行犯の凡庸さが合致しない部分は最後まで読むと氷解する事請け合い。この本ネタバレそのものが作品の価値を下げるものなので内容については沈黙です。
    終身雇用の崩壊と、経済犯罪の絡みを描いた社会派サスペンスです。手垢がついたテーマと言えばそうなんですが、やはり相性のいい組み合わせなのでなかなか読ませます。
    価値を高める為のドラマが本の前半に集中しているので、読み終わる頃にそれが大分薄れていたのは僕の記憶力の問題なんでしょうか。

  • 韓国大統領の来日に備えて東京中の警戒が高まる中、現職総理大臣の孫娘が誘拐される。犯人の側で起こる冒頭のエピソードの緊迫感溢れる描写でいきなり作品に引き込まれ、犯人も犯罪も分かっているのに、「これからどうなるのか?」「何故こんなことをしたのか?」という疑問に駆られて一気に再度まで読んでしまう。非常に優れた組み立ての作品。途中で感じる違和感にも納得感のある答えを提示しつつ、爽やかなラストも見事。

  • 途中からからくりが見えてきた。それを差し引いても用意周到にストーリーが練られていて楽しめた。政治絡みなので正直読み進めるのに苦労した箇所もあった。

  • リストラを言い渡さなければならない相手が娘の親友の父親。その一家が心中。それを苦に娘が自殺。
    弱者はいつまでも弱者。総理大臣の政策に憤りを感じて総理大臣の孫娘を誘拐・・・
    オチがわかったけど楽しめた。

  • 図書館。ありがちな題名。五十嵐さんはどんな誘拐ものを書いたのか興味があり手にした。
    国と国が条約を結ぼうとする一大事の中、第三国の犯行にみせかけて条約締結当事者の身内を誘拐する。そんな大物を相手に一般人や郵便局をを介した一方的な連絡のみで相手というか国を操作する。見事にかく乱されていく様にどんどん引き込まれてしまった。
    壮大すぎる復讐劇だが、言われてみればさもありなん。
    こんな話をリアルに描いた五十嵐さんは面白い。
    しかし、星野刑事はどこで、犯人が秋月を選んだことに気付いたのか。星野刑事の活躍をもう少し知りたかったかな。いま思えば、退職直後の秋月に声をかけた女性を完全に読み違えてたなと少し反省・・・
    でも、最後は気持ちよく読み終えられ、オススメの一冊と思う。

全96件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1961年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。『リカ』で第2回ホラーサスペンス大賞を受賞し、翌02年デビュー。以来、警察小説・青春小説・サスペンス・時代小説等、ジャンルにとらわれずに活躍中。

「2023年 『交渉人・遠野麻衣子 爆弾魔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

五十嵐貴久の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×