告白

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著者 : 湊かなえ
  • 双葉社 (2008年8月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575236286

告白の感想・レビュー・書評

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  • いつか書こうと思っていたが、あまりにも、「読後感が悪い」というレビューが多いので──

    四年前、帯に魅かれ発売直後に購入したのだが、稀に見る衝撃的な作品だった。

    モノローグで淡々と始まる文章。
    春休み前の終業式での教師から生徒へのメッセージ。しかし──
    ──愛美は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒に殺されたからです。
    この語りで一気に魅きこまれる。

    こんな小説があるのか!! という驚愕を覚えたのがこの作品だった。
    しかも全体で六つの章から構成されているこの小説。
    元々は第一章『聖職者』だけで完結していたというのにも驚いた。
    もちろん、この第一章の教師の語りだけでも作品としては充分に成り立つのだが、そこから敢えて、他の人物視点でのモノローグを追加し、最終的にまとめあげた。
    他者の告白を追加し、その後の展開を繋げることによって物語はいっそう凄みを増した。
    『聖職者』で一度終わっている話を、流れもインパクトも壊さずに、章を展開させていくのは簡単なことではない。
    それをいとも容易にやってのけた。湊かなえ、並大抵の才能じゃないと思った。
    この本を読み、その切れのある文章とストーリー展開に驚愕し、凄い作家が現われたと思ったものだ。

    だから私には、この小説の読後感が悪い、と評する方々の気持ちが全く理解できない。
    何故に読後感が悪いと感じるのだろう。
    逆に爽快じゃないですか?
    スカッとした終わり方だと感じる私がおかしいのだろうか。
    何故に悪いかなあ……。不思議だ。

    天に向かって吐いた唾は巡り巡って自分の顔に落ちてくる。
    『因果応報』『目には目を歯には歯を』悪いやつは当然、それなりの報いを受けるのだから。
    自分の犯した罪を反省することもなく、さらに悪業を重ねればこんなことになるのだと少年に諭す。
    復習劇ではあるけれど、これは当然の報いだろう。
    愛する娘を何の理由もなく殺されてしまった母親の悲しみの深さを考えれば。
    最後に救いがないと書かれる方もいるが、何とか希望を与えてあげたいと共感するような人物なら救いも必要だろうが、全く反省していない自分勝手な男の子。
    無差別連続殺人鬼を懲役三年執行猶予ニ年というような軽い懲罰にして、救いを与える必要がいったいどこにあるというのか?

    最後、自らの浅はかな行動によって、最も愛する人を理不尽にも殺されてしまったつらさや悲しみを、ようやく気付くことができるのですよ、修哉君は。
    そのような他人の悲しみを実感として知ること。
    自分の犯した過ちがどれほど人の心を傷つけたかを知ること。
    これこそが甘ったれた考えを持った修哉君にとって、今後の人生の中で厚生に繋がり、救いになると私は思うのだけれど。

    自ら犯した罪はやはり必ず償わなければならない。
    その償い方が、これほど強烈で凄まじいものだとしても。
    彼を本当の意味で救うのなら、このラストのような方法しかないと思うのだ。

    だって考えてもみてください。
    最愛の娘を遊びまがいで殺され、どうしようもない絶望感と悲しみを胸に抱え、その犯人を知りながら法で裁くこともできず、本人に反省の色もないと気付いた森口先生の立場になったら、あなたはどんな感情を抱き、どうしたいと思いますか?

  • 「告白」
    我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。


    正義とは主観でどのようにも変わる。果たして、一体誰が悪なのか。悪とは、どこからどこまでを言うのだろうか。人間は性悪説で染まっているのか、それとも性善説を見出せる存在なのか。


    聖職者:教師の告白。
    殉職者:同級生の告白。
    慈愛者:母の告白。
    求道者:少年Bの告白。
    信奉者:少年Aの告白。
    伝道者:教師の告白。


    1つの事件に対する様々な立場の人間から発せられるその多くは「正義」ではないでしょうか。娘を失った人間が娘を殺した人間に復讐することは正義である。殺人を犯した人間に制裁を加えるのは正義である。自分の息子をここまで貶めた人間を憎むのは正義である。自分の才能を認めてくれない人間を弄ぶのは正義であるetc


    彼らは決して正義という言葉を口にしてはいないけど、憎むべき対象や個人の目的に向かう為に、自分の後ろに正義という絶対的に正しいものがあることを確認していたのではないかと感じました。


    しかし、正義とは常に主観の上に成り立っています。この事件において、娘を失った教師は被害者であり、娘を殺した少年に復讐することは正義に見えます。しかし、事件に関係ない人間からすれば、それが事件から離れる人間であればあるほど、彼らには彼女の復讐は正義と思えなくなります。きっと、「気持ちは分かるけど、犯罪は犯罪でしょう」という反応が大半でしょう。


    これは大切なことだと思います。自分が思った正義を周りが判断し、過ちであれば正し、批判し、諭す、これは必要だと思います。皆が思う正義を行えば、それこそ、世界は終わり、人間は地球上で最も醜い生物となります。そもそも、生き残る為以外に殺人を行う生物は人間だけだから、人間こそが地球で最も劣等だ、とも言えますが。


    と堅い話はここで置き、感情的に読んだ感想を言うならば、「なんだ、このぞわっとする、感覚は」です。正直、正義は主観の上で成り立っているなどと言いましたが、私(事件から離れている、そもそも現実世界にいる私)は、復讐をしようとするこの女性教師を責めることは少し難しいです。


    なぜならば、人を殺すことは絶対に許されないからです。その人間がたとえ未成年であろうとも変わらないし、今で言えば、現在の少年法を見直すべきだと思います。「未成年だからこそ、更生する権利を!」などと言う意見には、いち人間として真っ向から論議をお願いしたいところ。更生を願うからこそ、少年法を改正し、より罪を認識させるべきではないだろうか・・・、などとどうしても考えてしまいます。


    そんな娘を亡くした教師への思いに加え、様々な立場の人間から発せられる苦悩にも大きな衝撃を感じました。ぞわっとする感覚はこっちの方により強く感じたかも知れません。例えば、「失敗」という言葉で一気に砕けてしまった少年Bが抱えていた、加害者であり、共犯者であり、被害者であり、弱い人間でありの苦悩には、ぞわっとした怖さと悲しみを感じました。また、少年Aにも様々な思いがありますが、うーーーん、それでもクソッタレでしょうか。これはぞわっとする怒りです。


    ちなみに、最後の結末には驚きました。ここまで、徹底する復讐には、正義を感じてしまいます。


    読むと、多くを感じる作品。映画が見たくなる。

  • 湊かなえさん作品初読み。
    終始引き込まれ、文章力に驚いた。始めのページから独特な語り口で異様に感じた。
    なんというか全体的に文章が冷たいんだ。

    決して人に勧められる本ではない。
    人間の醜い部分をかい摘まんだ恐ろしい内容。読後感は全く良くない。
    ラストはぞっと鳥肌が立った。

    だけど夢中になって読んだ。
    物語としてすごく面白かった。
    親の接し方次第で子供は歪んでしまう。
    過保護にしすぎてもだめ。褒めすぎてもだめ。認めることが大切なのかなと感じた。
    まだ結婚もしていない私には子供を育てることに恐怖を感じた。

  • ◆「母親」という存在の大きさ◆
    とある中学校の終業式のホームルーム。このクラスの生徒に愛娘を殺された、という担任教師からの告白。―それだけでじゅうぶん衝撃的ですが無論それだけに終わりません。語り手を変え、視点を変えながら、徐々に事件の全貌が明らかになっていきます。
    読んでいて胸が痛むかもしれませんが、ラストまで読む手は止まらなくなります。
    中島哲也監督の映画も、原作を裏切らない良さがありオススメ。

  • 映画などでも話題になって気になっていたので、読めて一安心。勝手にこの教室の中に犯人が…!的なホラー系のイメージがあったのですが、全く犯人探しじゃなかった汗
    面白かったけど、読後感よく無いね。人殺ししておいて罪悪感とか一切ない人間がいたもんだ…と思わざるを得ないと言うか。結局、自分のことしか考えてないです。人間なんてそんなもんか。復讐に意味はないなんて言うけど、復讐するよなぁ。まぁ、私ならもはや生徒とは一生関わりたくないけども。
    先生と生徒の関係の難しさとか、少年犯罪とかなんか色々テーマはあるんですが、うん。犯人はどっちもクズだし。でもA君はどーなるのかな、改心しそうにもないけど。
    先生のたんたんとしつつも怒りに満ちてる?激情はしない大人な感じ?は空恐ろしさはあるけど、ハラハラはしないかな。なんか嫌な事件の手記を読んだ感じです。死んだ娘は帰ってこないし。

  • 先生から生徒への復讐のみが描かれているのかと思っていたけど、実際は様々な登場人物からの視点から物語りが展開していた。

    人によって思いが違い、通常とは違う世界がリアルに描かれているような気がして面白かった。

  • だいぶ前に読んで、登録してませんでした;;;

    丁寧な文章で書かれているのが、逆に激しい感情が伝わってきてどんどん引き込まれていく。
    全体に一定した雰囲気が漂っていて、落ち着いて読めるんだけど、最後には「とんでもないものを読んでしまった…」っていう衝撃が残る。
    不思議だ。
    話題になっただけ、お勧めの本。

  • 怖い。

    まず特徴的なのが、一人称で「誰かに向けて語っている」という文体。

    これが予想以上に怖い。

    なぜなら人が語るとき、それは誰かを意識したために心の中とは離れたものになるということ。
    状況の描写が極端に少ないため、文章自体に感情を読み解くすべがなく、雰囲気も読み取れない。

    「語る」という文体は、読者を「語られる側」にもっていくが、同時に一人称が完全に語られる側に行くことを踏みとどまらせる。
    つかみどころのない奇妙な感覚。
    突き放されていると感じる。

    最後も読者放り投げ。
    いきなりバツンと終わってしまう。
    後味の悪さ。

    面白いとかいうのはおいといて、奇妙で怖い小説だった。

    人間怖い。

  •  ずっと一人称で各章ごとに主人公の目線で進んでいくけど、その度に違う目線と背景から物事が進んでいって、また別の角度から・・・。主観で物が進んでいくスタイルだけど、たくさんの人の主観から全体像が浮き上がる手法でよく作りこまれていて読めば読むほどおもしろかった。最後のシーンなんてなかなか鳥肌でした。ブラックな意味でスカッとした。なかなかブラックにスカッとする作品に出会っていなかったから楽しかった。

  • 本書を読もうか迷っている人がいるのなら、まず一章だけでも読むことを薦めます。一章を読めば、間違いなく一章だけで終わろうという気持ちにはなれないと思うので、こう薦めたいのです。
    本書を読んでいる最中で、「読ませ方がうまい」という表現が浮かびました。すらすら読ませる軽快な文体と、それに乗せられた「殺人」や「いじめ」という重い内容、そのアンバランスさが新鮮に感じたのが理由かもしれません。特に魅力を感じた点は、すべての文章やその内容における無駄のなさにあると思います。余談かと思わせ、しかし少し読み進めると思わずその繋がりに納得してしまう。そんな複線回収の鮮やかさに驚かない人はいないと思いました。

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告白の作品紹介

愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです。第29回小説推理新人賞受賞。

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