森に眠る魚

著者 :
  • 双葉社
3.59
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本棚登録 : 1929
感想 : 394
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575236491

感想・レビュー・書評

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  • すごい。読んでいてとても苦しかった。角田さんの本は本当にこういった暗い部分がうまく書き出されている。リアル。なんだよな。心をえぐるような本でした。

  • ちょこちょこと、ずいぶん時間をかけて読み終わる。


    あぁぁ・・・、後半になるにつれ、どんどん気持ちがふさがる思い。
    だけど、やめられない感じ。


    結局、受験して小学校に入ることがゴールなんかじゃないだろうし、
    子供と共に過ごすことに、ここまで、と線が引かれることもなく、
    それを考えると、途方もないことのように思えたり・・・

    後で知ったけど、実際にあった事件がモチーフになっているとのこと。

    親が子供の支配者になってはいけない。
    あるがままの子供を受け入れる。


    なんとも苦しい話でしたが、

    おもしろいっっっっ!!!

  • ドラマ「名前をなくした女神」の原作ではないか?と噂されていると知って、読みたくなった。
    ドラマの方が、もっとドロドロしてたな。

    5人のママが出てくるんだけど、時系列的に、出会った場所や、人が入れ替わり出会いがあるので、
    誰が誰だか、頭の中で想像しづらいところがあったかな。
    というか、それほど個性がない女たちで。
    唯一抜きんでてるのが、マダムと繭。
    これが、木村佳乃さんと倉科カナさんてき?
    でも、もっともっと裏があったし。

    お受験をさせる、させない。それを隠す、秘密。
    心の弱さを宗教に似た団体に所属したことで救われ
    そこで出会った友人からの手紙に、卑屈さと嫉妬を感じ
    同時に、現在つきあってる仲間の一人にも、同じ感情を抱く人間不信ママ。

    この人なら、信じて、自分のことを話そう。と思ったら
    捉え方が、まるで異なり戸惑ったり。
    価値観がまるで違ったり。
    考え方と、興味が別のところにあったりと。

    5人それぞれが、外面は仲良くしてるのだけど、実は。
    っていうテーマなんだけど。

    それぞれの5人の女たちの本質みたいなものが、
    今ひとつ、曖昧で、

    ああ、そうそう。
    金原ひとみの「マザーズ」が、ママ友3人の話しを書いた小説だったけど、あれは、3人の個性が、よく出てて、とても分りやすくて、3人だったから、感情移入もしやすかったな。

    この「森に眠る魚」は、誰に移入していいのか
    よくわからないまま終わった。

  • 実際にあった事件をもとに描かれたフィクションらしいです。
    小学校お受験を前に、幼稚園ママたちの心の葛藤を描いた作品でした。
    ここに登場していた、人の行動ばっかり気になって自分で自分のことを決められない人とか、どう考えても騙されているのにそれに気が付かない人とかって、受験がどんな結果になろうとも幸せになれないんじゃないの?と感じてしまいました。心が弱すぎる! 自分というものが一本通ってないですよね。
    私自身、幼稚園お受験をして私立の付属校に通った人ですが、もし母親がこんな余裕のない人だったなら嫌だったなぁと感じました。

    どこの塾がよさそうとか、友人のクチコミを頼りにするのもいいですが、やっぱり自分で調べないとねぇ。
    どこの小学校が子供に向いているのか自分たちで決めて、そこに入るにはどうしたらいいのか自分で決めて選ぶ。
    コソコソと隠れて動く意味が分からん!
    でも、お受験となれば友人もライバルになってしまうんでしょうね。
    いやはや、こんな親だったら子供たちかわいそうだなぁ~って思ってしまいました。

    そして最終章では誰かが事件を起こすんですが…。
    実際にあった事件をモチーフにしているだけあって、恐ろしかったです。
    こうして事件は起きたんだね と納得できてしまったことが恐ろしい!!

  • 女なら誰もが身に覚えのある感情がたっぷり味わえる。
    最初はこれ以上ないってぐらいの最高の友達だと思うのだ。自分に無いものを持っていたり、憧れの感情もある。次第にそれが妬み嫉みに変わり、嫌になる。お互いに嫌いになれば付き合わないだけで済むが、片方が逆に執着してきてしまったら、そこはもう泥沼なのだ。
    この話に出てくる5人の女達の、それぞれに向けられた嫌悪と執着の矢印。それは巧みに隙間を縫い、それぞれを刺していく。入り組んでいるけど、理解できるし分かりやすい(私もやはり女だからか)。
    ストレス溜まっている時に読んだら逆にスッとした。こういう話で息抜きができてしまう自分が、大人になって、汚れたなぁ、と思う(笑)。

  • 気が合うママ友がお受験をきっかけに互いを妬み恨み蹴落とそうと変化していく…。ある意味ホラー小説と言えるかも。
    あまりのドロドロさに挫折しそうになったけど、どんな結末かが気になり頑張って読んだ。
    「人は人」って思っている人ほど、人が気になって仕方ない人なんだろうなぁ。
    人の幸せを素直に喜べる人になりたい。
    というより、ならなければならない。
    それには自分の人生をしっかり歩まないと不幸の泥沼が待ってるよと角田光代さんからの強烈なメッセージかも。

  • とてもリアルでした。
    女である私からしてみれば、あぁーわかる。あるよねえ…うんうん。

    最後のクライマックスのところでは、最初とほとんど人が違うというか。なんでそうなったの?なんでなんで?前はみんないい人だったのに。と思わざるを得ません。
    近頃こういった感じの訳の判らんお母さん(モンスターペアレントですか)が多いと聞きますが、私からすれば全く理解できません。(茜ちゃんを怒鳴りつける繭子のシーンとか、ドン引きですよね。)しかし、誰でも最初からあぁな訳でもなく、環境とかすれ違い、ちょっとした感情の揺れが続いて、少しずつ少しずつおかしくなって、自分でも止められなくなっていく事もあるかもしれないな。とこの本を読んで改めて考えました。たとえ、最初は普通のお母さんだったとしても。
    みんな、それぞれ暗い部分ってありますもんね。人間ですから。
    そうなると、結婚する、子どもを産む、育てる事って、ほんとに大変で覚悟のいることだなあと思います。世の中のお母さんってすごい。

  • タイトルが上手につけられているな~と感心。引き込まれて一気に読みました。リアルにありそうで怖くて、でも面白い。

  • ママ友、お受験がキーワードの内容なんだけど。リアル感があり過ぎて、背筋がゾクッとしました。読んでいて楽しい内容ではありません。人は平等じゃないので、羨んだり、羨ましがられたりの中で生活をしていると思うんですよね。いつの間にか、人と比べたり、競争したり、対抗してしまうと、どこかで歪が出てきてしまう。ママ友の交友関係にかかわらず、団体で行動する人間関係の難しさを久しぶりに考えさせられました、ええ。

  • 仲良くなりたいと思ってお付き合いをはじめたママ友さん達が、子供の教育のことやプライドが絡んでいくうちに関係が気まずくなって…壊れていく。

    自分の居場所をいつの間にか見失って迷子になって干上がりそうになったお魚さんたちのお話しなんですね。

    どっぷり息苦しい内容でしたが面白かったです。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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