珈琲屋の人々

著者 :
  • 双葉社
3.17
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本棚登録 : 511
感想 : 115
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575236538

作品紹介・あらすじ

ちょっと、温まっていきませんか?淹れたての、熱いコーヒーを飲んで。東京。下町の商店街にある喫茶店『珈琲屋』。そこは、心に傷を負った者たちが集まる交差点。さまざまな人間模様を、情感溢れる筆致で描いた連作集。

感想・レビュー・書評

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  • 計算高くないといえる
    人間はいないという。

    違いはそれを自覚して
    いるか否か。

    私はどちらなのだろう?

    そのように言われれば、
    たしかに家庭で職場で
    一日中計算をして人と
    接している気が。

    ふだん自覚はないけど、
    ときどきそんな自分に
    気付いて息苦しくなる
    ことはあるかも。

    あざとさはないつもり
    だけど、そう思うのは
    本人だけ?

    ゆったり珈琲を淹れて
    一人物思いに耽りたい。

    心に浮かぶあの人との
    関係性を計算は抜きで
    見つめ直したい。

  • それぞれで話が完結しているが、全体として繋がっている内容だった。
    悪党であってもその人を殺めてしまった主人公は、果たして幸せになっても良いのだろうか。
    もう少し1つずつの話が完結して欲しかった。
    結末を読み手の想像に任せられるパターンは苦手だ。

  • 割と重めの内容をあまり重く感じさせずにえがいているなと感じた。日々の暮らしの中でそうと意識しないで重いものを抱えながら生きている人が多いのでしょうか。
    浮気ってそんなに軽い気持ちなんだなあーって?
    人を好きになるやり方は人それぞれなんでしょうけど。

  • 珈琲屋で癒されてく人の話かなと想像していたら全く違った。前科者のオーナー、そして商店街に巣食う人々。過去のしがらみから好きな人がいてもどうする事もできない切なさ。男同士の決闘なんて言葉も出てくるし。決して癒される本ではなかったけど、重い。そして読了感もスッキリはしない。

  • 全体的に鬱々としたものが漂う物語でした。
    商店街の片隅で前科のある主人公が営む喫茶店。
    心に陰を抱えてふらりと訪れる客達。
    設定は良いと思うのですが、主人公が余りにも前科に囚われすぎていて、それがどうにも鼻についてしまう。
    "人を殺したことのある手"の描き方も些か箇条演出に感じます。
    連作短編なので致し方ないのかもしれませんが。
    島木の人間性も好きになれず、冬子の離婚の真相にもうーん、、、となるし。朱美に至ってはその心の醜さに激しい嫌悪感を覚える。
    かといって主人公と冬子を応援する気持ちにはなれない。
    なんなんだこれは。

  •  地上げ屋を殺めて服役した行介が経営する珈琲屋のお客さん達の人間模様。浮気して離婚した幼馴染の冬子への恋愛感情も絡めて、暗い世間話ばかりでやるせない気持ちになるけど、心は掴まれた。

    「すきま風」は忘れられないストーリーになった。
     
     全編、揺れ動く人の気持ちと、人を殺めた行介の手を見つめる視線が現実的でドキュメンタリーのようだった。

     

  • 古びた商店街で「珈琲屋」を営む行介。彼には、人を殺めた前科があった。
    行介の熱々の珈琲を求めて集る、訳ありの商店街の人々。そんな彼らの連作短編集。

    ゆったりと流れる話が心地よかったです。昔ながらの喫茶店を想像しました。多分そんな店構え、ですよね。
    行介の無言の優しさを頼って、みんな珈琲屋を訪ねるんでしょうね。行介の前科に至っては、正義の味方と言ってもいいほど。その陰の部分が、弱くなっている人たちの心を寄せる理由なのだと思います。

    夜中に放送されるドラマを見ているかのようでした。
    続編も、またいつか手にしたいと思います。

  • 学生時代に読んでもう一度読みたくなった作品。
    どこか心の柔い部分を引っ掻いていくようなそんな気にさせるこの作品が好き

  • 珈琲屋という名前に惹かれて手に取った。訳ありの喫茶店を軸にした連作短編集。
    色んな年代の男女関係を描いているが、ちと重めの話が多く、屋外で読んでると初夏の爽やかな風とのギャップが大きい。
    桜木紫乃さんの「ホテルローヤル」と似た空気感かも。

  • コーヒーが飲みたいと思う一冊でした。

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著者プロフィール

1998 年「走るジイサン」で第11 回小説すばる新人賞受賞。2002 年「コンビニ・ララバイ」で注目を集める。06 年「雲を斬る」で第12 回中山義秀文学賞受賞。その他著書多数。

「2021年 『おっさんたちの黄昏商店街 それぞれの恋路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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