- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575237191
作品紹介・あらすじ
暗黒の欲望にとり憑かれ、さまよう魂。運命は、たったひとつの愛と出会わせた。沼田まほかるの小説は、身も心もからめとる-。おそるべき筆力で描ききった衝撃の恋愛ミステリー。
感想・レビュー・書評
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2020/09/06読了
#このミス作品46冊目
余命僅な父親の部屋から発見した4冊のノート。
殺人に快楽を得る「ユリゴコロ」を求める
「私」の告白が記されている。
告白の真相については、意外とあっさり?
と思いきやしっかりオチもついてて面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ドッグランを備えた喫茶店を自営する亮介に、次々と不幸が襲いかかる。恋人の失踪、父の末期癌発覚、さらには母の交通事故死。父不在時に訪れた実家の父の書斎にて、4冊のノートを発見する。「ユリゴコロ」と題されたそのノートは、殺人衝動を抑えられない“私”による手記だった…
サイコな出来事が書かれた手記はノワールの様相を呈するが、それを読んで動揺する主人公・亮介の心の動きはサスペンス。“ユリゴコロ”に翻弄された亮介が取る行動は予想外だった。
こういった作中作系ミステリは、メインストーリーと作中作がどう繋がっていくかがキーポイント。本書では手記の著者は誰なのか?が大きな謎になっている。その仕掛けは察しがついたので驚きは得られなかったものの、何とも言えない複雑な気持ちになるラストだった。果たして私は誰目線で読めばよかったのだろうか?
週刊文春ミステリーベスト10 6位
このミステリーがすごい! 5位
本屋大賞 6位
SRの会ミステリーベスト10 3位
ミステリが読みたい! 9位
大藪春彦賞受賞(2012年) -
のっけからぐいぐい物語の中に引き込まれていった。
このゾワゾワする感覚、これこそミステリーの醍醐味。
主人公の亮介が偶然実家の押し入れで見つけた四冊のノート。
前半はこのノートの記述が、後半は父親の告白が中心になって家族の秘密が解き明かされて行く。
自分が亮介に乗り移ったような気になってノートを読む感じ。
この感覚が良かった。
思いつめている亮介だけだと重すぎたかもしれないが、物語の節々に登場する弟の存在が救いだった。
このバランスが絶妙。
本屋大賞にノミネートされていたのは記憶にあるが、今さらだけど読んで良かった。
沼田さんの他の作品も読んでみたいと思うに十分。
ただ最後のオチがどうも納得ができず☆4つ。
これだと快楽殺人の正当化にもなってしまわないだろうか。
それともこの場合は許されるのか。
深く考えれば考えるほど納得いかない。
難しい事考えずに単なるミステリーと考えればとても楽しめる作品だと思う。-
こんばんは~(^^)
私もこの本のオチにはちょっと疑問を感じました。
何となくイイ話っぽくまとめようとしているけど、それまでの話の流れから...こんばんは~(^^)
私もこの本のオチにはちょっと疑問を感じました。
何となくイイ話っぽくまとめようとしているけど、それまでの話の流れからそれってムリない?と思って・・・。
その辺がこの作者の感覚なのかな~という気もしますが・・・。
確かに殺人の肯定につながるような・・・そんな終わらせ方でしたよね。
私は図書館で本を借りて読む事が多いんですが、この本は人気作だから中々読む事ができず他の作品から読んだんです。
他のはちょっとついていけない感覚のものがありました。
今まで読んだこの人の本の中はこの本が一番面白かったです(^^)2013/08/10 -
katatumuruさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!
沼田さんは2冊しか読んでいませんがもう言いかなと(^_^;)
ブ...katatumuruさん、こんにちは。
コメントありがとうございます!
沼田さんは2冊しか読んでいませんがもう言いかなと(^_^;)
ブクログやっていると読みたい本が増えてジャンルも広がって楽しいのですが、すでに収集がつかなくなりつつあります・・・。
うれしい悲鳴ですね!2013/08/11
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積読本、ようやく読みました。
ミステリーというかホラーというか、恋愛もの?
独特の雰囲気を纏った作品でした。おすすめです。 -
主人公の亮介は、ドッグラン付き喫茶店の店長をしている。彼ら一家は急に不幸の渦に巻き込まれた。
店の立ち上げの時から共に頑張ってきた亮介の恋人・千絵が突然失踪し、父には膵臓がんが見つかり余命いくばくか、その父を看取る前に母が交通事故で逝ってしまう。家族で残されたのは、施設にいる認知症の祖母と病人の父、賢く陽気な弟の洋平。
そんな最中、亮介はある日父の書斎で不思議なものを見つけてしまう。母・美紗子の遺髪が入った鞄と、「ユリゴコロ」と題された奇妙なノート四冊だ。
これは手記なのか?小説なのか?誰が書いたものなのか?
ユリゴコロを読み進めるうち、その狂気じみた内容に、また幼少時の奇妙な記憶を思い出しもして、亮介は恐怖にとりつかれていく。
「ユリゴコロ」とは一体何なのか…?
弟の洋平や店の店員たちに助けられ、なんとか日々を送っていきながら真相を探っていく亮介だったが…
面白かった。サスペンスホラーチックではあるが、亮介を中心とした家族の物語で、読み終わると胸に何かじんとくる。
なんとなくこの描写意味深だな〜と思ってたらそっちか〜!って感じで、意外な結末だった。
少し切なさもあるが、でもいい終わり方だ。
作者の名前は今までよく見かけていたものの今回が初読みで、小説を初めて書いてデビューしたのが50代ということで驚いた。他の作品も読んでみようかな。 -
著者さん初読みです
図書館をふらふらしてたらふと目について読みたくなりました
恋愛ミステリー、とあったので恋人同士でなにか起こるのかと思っていましたがどんどん展開が変わり、リアルタイムではないにしろ次々と人が死んでいくし、思っていたのと違う、と思いながらも読むのが止められず
誰も憎まなかった物語
恋愛ミステリー、というよりも1つの変わった家族の愛の物語という感じです -
面白かった。
中盤から一気読み。
本の奥付で、かなり前に読んだ「彼女がその名を知らない鳥たち」の作者であることに気がついた。
どうしようもなく何かが欠如している人だとか、歪んでいるけれども確かな愛情だとか、独特の人間観が私には好ましかった。 -
ユリゴコロ。
図書館で予約した時のキッカケを忘れていたので、何の小説だったっけ?と内容を全く覚えていなかった。
タイトルからは揺れ心のような淡い恋愛小説かなと思って読んだら...全く違うではないか。
内容は...
亮介が手にしてしまった4冊のノートには、人を殺めつづけた独白が書き綴られていた。
誰が記したのか。
それは亮介の出生にもつながっていく...
4冊のノートにある独白、一気に読んでしまう。
目を離すことができないとはこのような状態なのかというように。
ノートには、子どもが(死んじゃった...)とただつぶやくように殺めた記録がある。言い訳じゃない。ただ記されている。
そして「アナタ」への想いも。
狂気を感じた。
人への想いとは一線をこんなにも軽く越えてしまうのかという狂気。
狂気が面白いと感じる自分もおかしいのではないかと不安になる。
ミステリー要素は読み慣れた人からするとある程度わかってしまうかもしれないが、ミステリーよりも「人」そのものが持つミステリーさで読み手を惹き込んでくれた。
ラストは予想以上の気持ちよさを残していった。
現実の世界では許されない、小説の中でしかありえない心地良さを残してくれた。
おもしろかったです。