ディーセント・ワーク・ガーディアン

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 273
感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575237542

感想・レビュー・書評

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  • 現代の闇に触れるお仕事小説ではあるが
    しっかりミステリー要素もあった。

    文量は多いけれど読みやすいと感じた。

  • お仕事小説アンソロジーに入ってて面白かったので借りたもの。労働基準監督署の人を主人公とした6篇の連作短編集。労働基準監督署の仕事を初めて知ったし、大変な仕事だなぁと思う。最後の妻の妊娠問題は結局結論が出ないままだったけど。これを清田が知ったらどう思うんだろうなぁ。しかし、清田が結婚して良かった。考えさせられるし、勉強になることはたくさんだったけど、あとわずかで無職になろうとしている私には少々胸が痛む話だったな。まぁフルタイムで働くだけが仕事ではないと三村も分かってくれるはずだ。

  • 労働基準監督官を主役にした物語なんて他にあるのだろうか?頭の硬い人をイメージするが、とても真っ当で、とても正義感が強い。
    お役所仕事ではなく、1つしっかりとした筋が通っていて、とてもまっすぐな主人公である。
    ちょっと、読みにくいところもあったが、特に第六話は一気に読了できた。

  • 労働基準監督署とは何をやっているかを学ぶのにこれほど面白い本はない。物語に熱中しながら、こんなことをしていたんだと、納得する。知り合いが労働基準監督官だったら、一読しておくと、その知り合い苦労が少しは理解できるであろう。しかし、理解されない法執行者というのは大変だなぁ。

  • 労働基準監督署で主任として働く男・三村が、様々な案件を通して、給与や労働環境などの課題解決に挑み、「適切な(ディーセント)仕事」のあるべき姿を訴えていく。
    仕事ではキレ者の三村。しかし、遠距離で暮らす妻と息子との関係に悩み苦しむ。
    終章の盛り上げ方が秀逸だった。これでもかというくらい不幸が一気に襲い掛かる。ちょっとラストがあっさりだったけども。
    三村が、中学一年の息子に人間の幸福に関して話すシーンが好きだな。子供にも飾らずに真摯に向き合い、素敵なお父さんだと思った。

    本文より言葉を引用。
    「人は、仕事により、生活のための収入を得る。そのうえ仕事は、生きがいやアイデンディティも与えてくれる。仕事には、苦労もあるが、だからこそ達成感が味わえる。仕事とは、他人に何らかの価値提供をすることだから、誰かの役になっているという喜びがそこにはある。人は、仕事により成長し、仕事に拘束されたあとだから、余暇時間や引退生活では自由を満喫できるのだ。(略)仕事はすべての土台だから。」

  • こんなお仕事があるのですね!適切なお仕事をしているか査察する機関があるとは知らなかった…。「生きる為に仕事をするのだから、仕事で死んではいけない」はなかなか深い言葉だと思う。適切な働き方を是正しながら、職場に潜む謎を解いていく一種の日常ミステリー系の作品。最後に大きな陰謀があってビックリ!こういう仕事は知らぬうちに恨みも買ってしまうのね…。まっとうに働いてまっとうな給金をもらうことは意外と難しいのかな。そして結局奥さんとはどうなったの?2012/351

  • 感謝されることの少ない労基、働いている人は
    苦労が多いことだろう。

  • 労働基準監督官三村の関わった事故を描く。
    五話までは「小説推理」に連載されたもので、最後の第六話は書き下ろしと言う。
    五話までは★×4と思って読んでいたが、六話で妻の浮気・罷免の罠など、五話までの伏線が効いて面白いと感じた。
    が、息子との会話はちょっと説明的・説教的な部分があり閉口した。
    ★×3にしようかとも思ったが、六話の一部を除いては楽しんで読めたし人物の描き方も好きだったので★×4にした。

  • TVドラマによさそう。

  • 上司や経営者の机にそっと置いてみたい一冊。
    「ディーセント・ワーク=適切な仕事」が守られてるかを監督する労働基準監督官が主人公のお仕事小説。普通に働いて普通に暮らせる社会を目指して、日々奮闘する労働基準監督官、三村の熱い言葉が心地よい。
    ちょっと引用。
    「誰でもが、普通に働いて、普通に暮らせる。それさえ実現できれば、世の中のほとんどの問題は解決するし、世界は平和になると思うんだ」
    「法律は冷たいんじゃない、平等なんだ」とか。

    普通に働いて、普通に暮らす。この当たり前とも思えることが、いかに守られていないか、当たり前のことを守るために不断の努力が必要なんだということを思い知らされる。
    仕事は生活の土台だけど、仕事で死んじゃあ意味がない。

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著者プロフィール

1963年広島県生まれ。鳥取大学農学部卒業。91年に日本ファンタジーノベル大賞に応募した『リフレイン』が最終候補となり、作家デビュー。98年、『ヤンのいた島』で第10回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。骨太な人間ドラマで魅せるファンタジーや、日常のひだを的確に切り取るミステリーなど、様々な世界を展開している。その他の著作に『瞳の中の大河』『黄金の王 白銀の王』『あやまち』『タソガレ』『ディーセント・ワーク・ガーディアン』『猫が足りない』「ソナンと空人」シリーズなど多数。

「2023年 『旅する通り雨』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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