氷の秒針

著者 :
  • 双葉社
3.69
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本棚登録 : 121
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575237733

作品紹介・あらすじ

平成22年4月27日、殺人罪に対する公訴時効は廃止された。諏訪の主婦殺人事件はこの先ずっと犯人を裁けることになったが、2カ月前に時効が成立していた松本の一家殺害事件には間に合わなかった。両遺族-惨劇の中でただ一人生き残った一家の長女・小岩井薫と、妻を殺された夫・原村俊介の思いは乱れながら、接近、交錯する。そんななか、時効になっていたにもかかわらず、松本の事件の犯人が自首し、後日殺される事件が起こる。警察は薫に疑いの目を向けた。俊介は薫のことを気にかけつつも、長年事件を追ってきた元刑事の寺山力らと共に、自身の事件の犯人とおぼしき男を追い詰め-。被害者遺族には「解決」の時が訪れるのか?驚愕と感動が待ち受けるミステリー渾身作。

感想・レビュー・書評

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  • 後半からの勢いがすごい。
    まさかこうくるとは。
    ここまでどんでん返しをできるのも見事に。
    ちょっと納得いかん部分もあるけど、
    最後に希望が残されていたのも良かった。
    救われた。
    重くて苦しくて、
    やっぱり人はなかなか楽にはなれんものや
    苦しみ続けるものなんや
    と思ったけれど
    氷解する時はあるものだ。

    印象に残ったところ。
    「グラスの氷が溶けて、カランという音が座敷に響いた。人と人がわかり合える瞬間がある。心を許す……そういう一瞬だ。それは長い間かけて氷が溶けるという感じではなく、一瞬で飛躍的に変わるように思う。今の氷もそれまでに徐々に溶けていたのだろう。だが音を立てたのは一瞬だけだ。」
    あの氷の立てる音からこう連想できるのが見事だなぁと。
    経験的に同感できるような、できないような。

  • めぐりめぐって...
    とてもよい話しだった
    人の心の動きをすごく鮮明に描いている作品で登場人物と一緒に苦しくなったりしたけれど その分 最後よかったと笑顔になれた
    愛って素晴らしい
    そして子どもって本当に素晴らしい
    愛している人の子どもを授かるって本当に幸せなことだと思う

  • 平成22年、殺人事件の時効が廃止された。時効が無くなったといっても犯罪被害者にとってはほんの気休めなのかもしれない。犯人が自首したとしても遺族には心が安らぐことなど無いのだろうなと思う。薫の負った心の傷はなんとも辛くやるせない。前を向いて生きて欲しいとただただ願う。俊介にも一筋の光が差して、辛い内容の作品だったけど良かった。

  • 妻を無惨に殺された男と、一家惨殺の生き残りの女。被害者遺族という立場は同じだが
    胸に抱えているものが同じとは限らなくて…。二人の恋愛話になるのかと思いましたが
    あくまでも事件の話が主流です。過去の二つの事件とその犯人、現在の事件とその捜査、
    結末が気になって一気読みでした。後味は悪くないけど…個人的には少し不満が残った。

  • 罪火がそれなりに良かったんで読んでみました。
    しかしながらあまり内容がないようにも思えてしまいました。
    原村家の事情については腑に落ちたけど、小岩井家と鮎沢の件についてはどうもこじつけのように思えて興醒めかな。
    時計の知識は得られた。

  • 美しいです

  • 犯罪被害者の会を巡る倒錯推理小説。殺人事件の時効廃止が法律で施行される。
    二つの事件が施行前と後でそれぞれの犯人が自首をする。事件に係わった元刑事と被害者家族が入り乱れて新たな事件と疑惑を抱え込む。
    それぞれのキャラクターが過去の悔恨を胸中に秘めて物語が複雑に展開していく。込み入り過ぎて読後感がすっきりしない!

  • とても面白かった。この作家の他の作品も読んでみたい。

    2015年3月9日

  • 久しぶりに読書したら久しぶりに良作だった。

    この方の作品はテーマが重いイメージがある。今回も裏切らないテーマだったけど、ラストより途中経過が気になって気づいたら1.5時間で完読。

    皆救われてないけど人生こんなもんだよね〜

  • 読んでいてかなり「時効」について取材しているなと感じました。タイトルや時計の蘊蓄の絡ませ方も良いですし、ラストもグッとくるシーンだったので好感が持てました。全体的に良質な社会派ミステリーだと思います。
    しかし、真相だけ納得出来なかったです。それまでの話を無視するかのようなオチで「今迄のストーリーは何だったの」って突っ込みたくなりました。

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著者プロフィール

1974年三重県生まれ。龍谷大学文学部卒。『雪冤』で第29回横溝正史ミステリ大賞、及びテレビ東京賞をW受賞。ほかの著作に、『罪火』『確信犯』『共同正犯』『獄の棘』など。

「2023年 『正義の天秤 毒樹の果実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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