あなたの人生、片づけます

著者 :
  • 双葉社
3.88
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感想 : 202
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575238396

感想・レビュー・書評

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  • さて、そこのあなた!はい、あなたのことです!
    いきなりですが、少しお時間をいただけませんでしょうか?私と一緒にあなたも『片づけられない度』をチェックしましょう!はい、行数がないので強引にいっちゃいますよ。次の質問に○か×かで答えてください。

    『第一問 お茶を床にこぼしても拭かない』
    さて、あなたはどうでしょう?いや、私はもちろん大慌てで拭きますって。拭かない人っているのかなあ。私は絶対×です。

    『第二問 床が見えない部屋がある』
    さあ、これはどうでしょう?グサッと心を突き刺してしまった人がいたらごめんなさい。私は×です。床が見えないって…。”ルンバ君”が友達の私にはこれは信じられない質問です。

    『第三問 衝動買いしたあと、買ったこと自体を忘れてしまうことがある』
    これは、ヤ、ヤッバイナー。私は○です。そもそも配送されてきてからこんなの買ったっけ?と思うことがしばしば…。本なんかは特にそうかも?その時の思いつきで適当にポチッとしているような…。

    『第四問 パンにカビが生えることがよくある』
    えっ?○って人いるのかなあ?いや、いないですよね。カビですよ、カビ。まあ、緑色のパンなんか買ったっけ?青海苔かなにかをまぶしてあるのかなあと思ったことは過去にありますが…(笑) 遠い遠い記憶の彼方の話ですけどね(汗、汗)

    はい、どうでしょうか?○と×は、人それぞれだと思います。でも、そんなチェックをする時に、あなたは今の自分だけを見ていたでしょうか?第四問で、私は”遠い遠い記憶の彼方”と書きました。今は×ばっかりというあなた。過去を振り返ってもずっと×ばっかりだったでしょうか?このレビューを読んでくださっている方の年齢層は多岐に渡っていると思いますが、長く生きれば生きるほどに、順風満帆だったはずの人生に影がさす、どうしたらいいんだろうと思い悩み、前に進めなくなる、そんな経験をされた記憶が増えていくのではないかと思います。そういう私だって、あの時、あの瞬間のどうにもならない辛い記憶がふっと蘇ることがあります。でも、そんな辛い時代も過ぎ去り、今度はまた違う悩みの中で苦しんでいるそんな今の自分がいることにも気づきます。でも、ハッキリ言えるのは、過去のあの時からは確実に前に進み、今日を生きている、それが今の自分だということです。そう、あの辛かった時代を抜け出した”きっかけ”、”起点”というものが確かにあり、今の自分を作ってくれている。今の自分はその先にいる。あなたも私も人はそんな風にして生きているのだと思います。

    さて、ここにそんな”きっかけ”、”起点”に焦点を当てた物語があります。『初めて訪問したときから、彼女はすべてを見抜いていたのだ、きっと』という『片づけ屋』さんが登場する物語。『部屋だけじゃなくて人生そのものを整理してくれる』という『片づけ屋』さん。そんな物語を読んであなたも自分の人生を片づけてみませんか?

    四つの短編から構成されたこの作品。『私は片づけに来たのではないんです。片づける方法をお教えするのが私の仕事です』と語る大庭十萬里(おおば とまり)が、依頼に基づいて色んな人の家へと片づけ指南に訪れるこの物語は、そんな十萬里が各短編に登場する連作短編の形式をとっています。四つの短編とはいえ、その訪問先は多種多様、それぞれの訪問先には”片づけられない理由”をもった人たちの姿がありました。読者によってどの短編に惹かれるかはマチマチだと思います。それは、どの訪問先の人物に読者が一番近い位置にいるかということも関係してくると思います。

    そんな中からこの作品の考え方をよく表していると感じたのが最初の短編〈ケース1 清算〉です。『下北沢駅の改札を出』て、自宅マンションへと向かう途中に、『コンビニで五目焼きそばとコーラと草大福とチーズケーキを買った』というのは主人公の永沢春花。『コンビニの棚を見た途端に歯止めが利かなくなった自分が情けない』と感じる春花が『ひとり暮らしのマンションのドアを開けた途端、酸っぱい臭いが鼻を突いた』というその部屋の惨状。『またしてもゴミを出し忘れたのだった。これで二週間も出していない』という部屋は『ひとり暮らしには贅沢な1LDKで四十平米』という大きさ。『大手生命保険会社の広報部に勤めて十年になる』から問題ないというその生活。『あれ?春花は思わずリビングのドアのところで立ち止ま』ります。『何かが違う』と感じる春花は『空き箱、レジ袋、毛皮のコート…髪の毛がついたままのヘアブラシ…ぬいぐるみ…乾電池…カレンダー…』と『様々な物が散らばっている』『見慣れた光景』を見て『あまりに物が多すぎて、何か失くなったとしてもわからない』と改めて感じます。そんな中『出窓のサッシが数センチ開いてい』るのに気付きます。『嫌な予感がした。両親が上京したのは知っていた』という春花。そのとき携帯電話が鳴ります。『もしもし、春ちゃん?お母さんじゃけど』、『お母さん、もしかして私の部屋に勝手に入った?』、『悪いとは思ったんじゃけど、春ちゃんがどうしとるか心配で心配で』という二人の会話。しかし、部屋の惨状を異常だと感じた母親は『あんた精神状態がちいとおかしいんじゃないか』と心配し『対処法についてはお父さんと相談してみるけん』と言います。『対処法?』と思うものの長くなる電話を避けるように切った春花。翌日、『お父さんと話し合った結果、大庭十萬里さんに手助けしてもらうことに決めました』という母親からのメールを受け取った春花。『大庭十萬里って誰?』と思う春花は職場の同僚の綾子に訊きます。『昨年九月に「あなたの片づけ手伝います」を出版した五十代の女性』、『部屋だけじゃなくて人生そのものを整理してくれるとかで、一部の熱狂的ファンもいる』という情報を得た春花は早速十萬里の本を手にします。『一、自分を見つめよう 二、知らぬ間に忍び寄るマイナス思考…』という目次を読んで『単なるおせっかいなおばさんではないのか。最も苦手なタイプだ』と考える春花。そして約束の土曜日が来ました。『片づけ屋の大庭十萬里でございます』と現れた女性を見て『なるべく早く帰ってもらおう』と思う春花。そんな十萬里の訪れが、部屋同様に、散らかってどうにもならなくなっていた春花の人生を片づけるきっかけを与えてくれる物語が始まりました…というこの短編。決して主役ではない大庭十萬里の存在感を絶妙に出しながら、主人公・春花に前へ進むきっかけを与えていく様が上手く描かれていた好編でした。

    四編から構成されるこの作品では、上記した〈ケース1 清算〉で、『いつまで経っても煮え切らない自分の性格』という30代のOLの部屋と人生を、〈ケース2 木魚堂〉で、『妻の美津子は半年前に癌で亡くなった』にも関わらず、男がスーパーに買い物に行くことを『職人気質がすたるってもんだ』と拒む木魚職人の部屋と人生を、そして〈ケース3 豪商の館〉では、『娘も息子も遠く離れたところに住んでいて滅多に帰ってこない』という78歳の女性の部屋と人生をそれぞれ大庭十萬里が片づけていく物語が描かれていきます。

    そんな物語の主人公に共通するのは、”やればできる”人たちであることです。そう書くと、この人たちが人より優れた何かを持っている印象を受けるかもしれませんが、それはあなたも同じこと。この世の中に”やってもできない”という人などいないと思います。人として生を授かり、人として生きていく限りにおいて、”やってもできない”なんて、逆にそちらの方が難しいように思います。そんなことない、自分はできないんだ!という人は”できない”んじゃなくて、その”きっかけを見つけられない”、”起点を掴めない”、だけのこと、”できない”ということでは決してありません。この作品はその点に焦点を当てていきます。

    そんな前に進むための”きっかけ”、”起点”に注目した作品は多々あります。柚木麻子さん「ランチのアッコちゃん」、古内一絵さん「マカン・マラン」、そして青山美智子さん「お探しものは図書室まで」と私が愛してやまない作品が多々思い浮かびます。それらに共通するのは、それらいずれの物語でも”きっかけ”、”起点”を与えてくれた人物はあくまで脇役であって、主人公は別にいるということです。そして、それはこの作品でも同じです。『私は片づけに来たのではないんです。片づける方法をお教えするのが私の仕事です』と語る大庭十萬里。この作品は、大庭十萬里の物語ではありません。それぞれの短編で主人公となるのは、何らかの理由によって、人生の中で立ち止まったまま動けなくなっている人物であり、物語もその人物視点で描かれていきます。そして、そういった人物に”きっかけ”、”起点”を与えることで、彼らが再び歩き出すのを助けてくれる、それが十萬里の役割です。それぞれの人物はそれぞれの人物が主人公となる人生を生きています。そこに突如現れた十萬里がそんな他人の人生の主人公に取って代わることなどあり得ず、あくまで主人公は別にいます。それがこれら作品の共通ルールです。

    そして、この「あなたの人生」も三編目まではこの共通ルールの上で描かれていきます。そんな良い意味での”パターン化”された物語を楽しんでいた私の目が点になったのが四編目〈きれいすぎる部屋〉でした。いきなり『十萬里は…』から始まるその短編の冒頭。そこには、『昼間は、夫は会社だから、家の中は静かである。丁寧に淹れたコーヒーをゆったりした気分で飲みながら…』と続く、まさかの大庭十萬里視点の物語が現れました。あくまで脇役に徹し、主人公にはなり得ないはずの十萬里視点で描かれるその物語には、十萬里視点でないと描けない物語がありました。他の短編同様に依頼に基づいて片づけの対象となるマンションの一室を訪れた十萬里。そこに登場する人物は『誰にも見せたくないんです』と、どうしてもある一室に十萬里を立ち入らせることを拒みます。これは、当該人物視点では決して描けない物語です。視点の切り替えの自然さに納得のいくその物語は、他の短編とは色合いが異なる、ぐっと沈んだ物語でした。でも、そこに描かれる登場人物は、やはり、”きっかけ”、”起点”を与えてもらったことで、再び前を向いていくというパターンに変わりはなく、そのパターン化された物語の中に十萬里視点が故に、彼女の依頼者への見方など、その『片づけ屋』としての考え方が見れたとても貴重な短編でした。

    そんな変化球のような短編も織り交ぜられたこの作品。読み終わって強く印象に残ったのは、十萬里の決め台詞でもある『私は片づけに来たのではないんです。片づける方法をお教えするのが私の仕事です』という言葉でした。四つの短編に登場した人物たちは、十萬里が現れる前から、自分が抱えている問題をうすうすながらも認識していました。そもそも自分が抱える問題に全く気づけていないということの方が少ないのではないかとも思います。うすうす気づいていながらも、気づかないふりをしてその問題を認めることを拒む、そんな気持ちが人の中にはあるのだと思います。この作品を読んで、そんな人の弱い感情がある限り、”きっかけ”、”起点”というものが、いかに大切か、改めてそのことに感じ入りました。

    このレビューを読んでくださっているあなたも、そしてもちろん私も、人生を生きていく中で何の問題もなく順風満帆に突き進んでいくばかりという人はいないでしょう。誰もが何かしらに思い悩み、答えを探し求めて毎日を生きています。しかし、そんな私たちは実はその答えにうすうすは気づいているのです。『もうとっくにわかっていたことだった』というその答え。でも、いつまでも前に進めず立ちすくんでしまうのは、”きっかけ”、”起点”を掴めないでいる、そんな私たちのある意味での弱い気持ちが勝ってしまっているからなのだと思います。『十萬里が最後のひと押しを買って出てくれたにすぎない』というその真実を、第三者的に見る私たち。そんな私たちにこの作品が教えてくれるものを考える時、『物を捨てることに対して、何か不安感みたいなものをお持ちなんでしょうか?』と語る十萬里の語りの中に一つの”きっかけ”をもらえたような気がしました。

    『初めて訪問したときから、彼女はすべてを見抜いていた』という大庭十萬里が、前に進むための”きっかけ”、”起点”を与えてくれるこの作品。『もっと丁寧に生活しよう』、『生活そのものを楽しもう』、そして『想像しただけでうきうきしてしまう』と前を向いた主人公たちの姿に、自分の今を、自分の明日を、そして自分の未来を重ね合わせてみたい!、そう感じた作品でした。

  • ◇◆━━━━━━━━━━━━
    1.感想 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    ものすご〜く、負のオーラをまとった主人公たちが登場してきて、「うっ」、と、声が出てしまうぐらい、重いものがのしかかってくる感じでした。

    タイトルから想像できるように、ダメキャラが登場してくることは予想できましたが、かなりひどかったです。
    まぁ、でも、何かをきっかけにして、こうなってしまうことはあるだろうなとは思います。

    どのお話しも、負のオーラに満ちた主人公たちが、十萬里さんによって、人生を整理することができ、前を向いて歩き出していきます。最後はいいけど、そこに向かうまでが、冒頭に書いたように、重いものがのしかかってくるので、なかなかにきつい(ര௰ര)です。

    だからこそ、なんでしょうが、それぞれのお話の終盤はすっきり感が強くて、いい感じの読後感です。
    十萬里さん、すごいよ!!という気持ちと共に、なにか、片付けようかな、という気持ちになります(^^)


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    2.あらすじ 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    ■ケース1 精算
    33歳で片付けができずに、いろいろなことが絶望的にダメな女性のお話し。部屋を片付けることから始めて、心も前に向かせていく。

    ■ケース2 木魚堂
    妻に先立たれたおじいちゃんが、生きる意味を失い、娘にいろいろやらせて日々を生活しているところに、娘からの依頼で、生きる意味を取り戻させる。

    ■ケース3 豪商の館
    田舎で一人暮らししているお金持ちのおばあちゃん家に、いらないものが大量に残っているのを、娘が依頼して片してもらう。
    これは、きつ〜いお話し。いらないものを片っ端から照会していくだけな感じ(笑)

    ■ケース4 きれいすぎる部屋
    息子を事故で亡くしたことをきっかけに、家事や育児ができなくなってしまった女性の母が、片付けを依頼する。十萬里さんの過去のお話も登場して、他の3話とは少しちがって、十萬里さん中心にお話が進んでいく感じ。


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    3.主な登場人物 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    大庭十萬里 とまり、ふとっちょ、50代?、片付け屋、人生そのものを整理する


    ケース1 精算
    永沢春花 33歳、不倫、片付けできない
    綾子 春花友達・同期、33歳、情報通
    美咲 綾子娘、2歳
    小笠原悟史 41歳、既婚者、かっこいい、資産運用部
    佐野風鈴 小柄、21歳

    ケース2 木魚堂
    国友展蔵 てんぞう、木魚製作
    三津子 妻、半年前に他界
    風味子 展蔵娘
    春翔 展蔵孫、不登校

    ケース3 豪商の館
    三枝泳子 78歳
    睦美 娘
    間宮 近所の人

    ケース4 きれいすぎる部屋
    池田静香 72歳
    池田麻美子 義理の娘
    祐介 長男
    沙耶加 学生、娘、長女
    菜々美 学生、娘

    • かなさん
      Manideさん、こんばんは!
      私、この作品を読んで
      片づけをしなきゃと思ったのに
      まだ片づけできてないです(^-^;)

      Man...
      Manideさん、こんばんは!
      私、この作品を読んで
      片づけをしなきゃと思ったのに
      まだ片づけできてないです(^-^;)

      Manideさん、垣谷美雨さんの作品で
      「あなたのゼイ肉、落とします」って作品は読まれましたか?
      大庭十萬里さんの妹さん大庭小萬里が活躍しますよ(*^-^*)
      Manideさんはきっとダイエットは無縁なんじゃないかと
      勝手に思ったりしてますが(^-^;)
      2023/07/09
    • Manideさん
      shukawabestさん、こんにちは。

      読むのがきつい部分もありましたが、なかなか面白かったです。
      さくっと、読めるので、時間ある時に読...
      shukawabestさん、こんにちは。

      読むのがきつい部分もありましたが、なかなか面白かったです。
      さくっと、読めるので、時間ある時に読んでみてください(^^)
      2023/07/10
    • Manideさん
      かなさん、こんにちは〜。

      コメントありがとうございます。

      あなたのゼイニク落とします!
      ちょうど、読んでます(^^)

      ブクログ、相手の...
      かなさん、こんにちは〜。

      コメントありがとうございます。

      あなたのゼイニク落とします!
      ちょうど、読んでます(^^)

      ブクログ、相手の人がどんな人か想像してしまいますよね。みなさん、ぽろっと、自分のことを話すことがあるので、その人がわかってきますよね。

      ダイエットは無縁そうだなんて、、よいイメージですね、ちょっと喜んじゃってます(^^)
      ですが、まさに、一話の主人公のような感じです。昔はチヤホヤされるときもありましたが、いまでは、肉が落ちなくなってきました(T . T)
      がんばって、もうちょっと、痩せたたいと思ってま〜す(^^)
      2023/07/10
  • 面白かった。読み終わった時の爽快感がすごい。気分スッキリという感じだ。

    ごみ屋敷、汚部屋はやっぱりストレス、悩みがあるとなりやすいのかな?問題を解決できないとこの本の主人公達みたいにゴミが溜まってしまう。部屋いっぱいに。そうすると、ゴミが溢れても、臭くても、床がベトベトでもなんとも思わない。心が荒んでしまう。隙間を見つけてはそこに落ち着き、しばらくするとそこもゴミ置き場になってしまう…。

    そんな時、大庭十萬里さんの出番。十萬里さんは彼らに何が問題なのかを自分で気付かせ、導いてくれる。彼らが今までの事を吹っ切って片付ける姿が、読んでて気持ちいい。「頑張れ」と応援してしまう。

    3話目の話が自分の事を言われてるみたいで、ちょっと恥ずかしかった。三枝泳子と一緒で私も物が捨てれない…。あまりにも溜まってくると「えい、やあ」と処分するんだけど、そこに至るまでが長い長い。ため息が出てしまった。

    『片付ける』と言っても色々あるという事が分かった。物、気持ち、思い出etc。この本を読んでしみじみ思った。

  • 垣谷美雨さんの作品を読むのはこれが3作目です。
    『あなたの片付け手伝います』の著者で片付け屋の大庭十萬里が、4人の片付けを手伝うというストーリー。1人目は社内不倫中のOL、2人目は妻に先立たれた木魚職員、3人目は資産家で独居の老女、4人目は子供に先立たれ生きる意欲を失った主婦…片付けれない原因は様々ある中でその人の人生そのものに寄り添った片付けを提案していく…。
    読み終えてみて、片付けには関係ないけれど人とのつながりっていいなぁ~と感じました。今回片付けを手伝ってもらった4人には、その人の生活を心配して片付け屋の大庭十萬里を依頼してくれる人がいる…これって素敵なことだと思いました!リアルなことで、うちも片付けなんとかしなきゃなんだけれどなかなか動けないし(読書はできても)…大庭十萬里さんのようなプロを依頼してくれる人もいないかな(汗)。

    • かなさん
      Manideさん、こんばんは♪
      今日もお疲れ様です!
      そしてこちらにもありがとうございます(#^^#)

      この作品って、片づけだけに...
      Manideさん、こんばんは♪
      今日もお疲れ様です!
      そしてこちらにもありがとうございます(#^^#)

      この作品って、片づけだけに終始しない
      人の思いがありますよねぇ~
      読後もよかったし、垣谷美雨さんの作品って
      読みやすくて共感もできるから好きなんです♪

      「あなたのゼイ肉、落とします」
      レビューも楽しみにしてますね(^O^)/
      2023/07/10
    • Manideさん
      かなさん、こんばんは〜

      私、垣谷さん作品をあまり読んだことないと思ってたんですが、5冊も読んでました(笑)
      さきほど、自分の本棚調べてびっ...
      かなさん、こんばんは〜

      私、垣谷さん作品をあまり読んだことないと思ってたんですが、5冊も読んでました(笑)
      さきほど、自分の本棚調べてびっくりです。
      ちゃんと感想書かないと、忘れるのも早いかもしれないですね。

      夏っぽくなってきたので、暑いのを楽しんでいきましょう(^^)
      2023/07/11
    • かなさん
      Manideさん、こんばんは!
      今日もお疲れさまでした(*^-^*)
      コメント、ありがとうございます。

      Manideさんは、
      読...
      Manideさん、こんばんは!
      今日もお疲れさまでした(*^-^*)
      コメント、ありがとうございます。

      Manideさんは、
      読んだ本のレビューすごくしっかりされてますよ(^O^)/
      私なんか、恥ずかしいくらいで…
      私も読み終えた作品を忘れているってこともあったり(^-^;
      でもまた読み直してレビューするよりは、
      それはあきらめて、これからはちゃんとしようって!
      なかなか、ムズイんですけどねぇ…

      明日も暑くなりそうなんで
      暑さ対策しながら、読書もお互い楽しみましょうねっ!
      2023/07/11
  • はじめての作家さんでしたが、スイスイ読めました。4つのお話しでしたが、十萬里さんのキャラに引き込まれました。お部屋だけでなく心までもキレイにしてくれる...読み終わるとこちらまでスッキリした気持ちになりました。
    特にケース4のきれいすぎる部屋は、中学生の息子さんを亡くしたお母さんの話。同世代の息子がいるので涙が止まりませんでした。
    部屋の片付け、いらない物は、捨てなくちゃ!と無性に掃除がしたくなりました。

  • 断捨離という言葉が浸透してもう長い。ものにあふれる時代から生活が変化した。自分も片付けしなきゃな、と思っているからこそ、気になった本。

    十萬里さんのもとにはいろんな人からの相談が舞い込む。片付けを通して、人生の整理を考える。時に悲しく、すっきりしたお話。

  • 垣谷美雨さん、初読み。
    ブクログの感想でよさそうだったので‥

    「あなたの片づけ手伝います」という名刺を持って働いている大庭十萬里は50代、一見ごく普通のオバサン。
    「人生まで整理してくれる」という噂があるのだが‥?
    短編連作で、どれも見かねた家族の依頼なため、本人は色々抵抗を示します。
    いや~その気持ちがよくわかるのもあり、それは違うよといいたくなるのもありで、苦笑させられます。

    「清算」は、妻とは離婚するという言葉を信じ、社内不倫5年で、しかも若い後輩に奪われそうになっている女性。
    期待して努力していたのがだんだん投げやりな暮らしになり、それでも迷っている、そんなとき。
    片づけ屋さんがキッパリ背中を押してくれます。

    「木魚堂」は、妻をなくした老人。
    娘が家事をしに通っているが、大変な負担になっていることに気づいていない‥

    「豪商の館」は、一人暮らしになった裕福な女性。
    子供たちの誰かがいつかは地元に戻ると思っていたがそんな様子はなく、孫も最近は来ていない。
    それなのに、習慣を変えられずに待ち続け、家族の好きなものを作ったりとっておいたりする生活を続けていた。
    大きな家なので、収納場所はたくさんあるんですね。

    「きれいすぎる部屋」だけは、十萬里の視点から。
    洗剤メーカーに勤めていた経歴から掃除はお手の物だが、物を溜め込んで掃除もしないという心理状態に興味があるという。
    魂の抜けたような顔をした主婦の場合は?
    悲劇的なトラウマから抜け出せない‥
    下手に慰めず、悲しみは消えない、と同調してあげるほうがいい場合もある、と。

    十萬里のチェック項目も面白いです。
    「床が見えない部屋がある」「お茶を床にこぼしても拭かない」「窓が開けられない」というのには吹きました。いえ、該当してないです~!
    ただ「昔の年賀状が捨てられない」などはもろあたり。

    気持ちが滞っていると、捨てる判断がつかない、というのはわかる気がしました。
    ちょっとお節介なぐらいのオバサンが登場したように、何かのきっかけで事態が動き始める、ということもあり得るのでしょう。
    あちこちちょっと痛かったけど、痛すぎず、優しい気分で読み終われましたよ。
    前向きにね☆

  • うーん、私も大庭十萬里に来てもらいたい!
    ただ片付けるのではでなく、客観的な視点で見つめ、その先の人生を見据える。自分じゃなかなか出来ないもんなぁ。
    ケース1からケース4まで。最後は十萬里の視点で書かれていて、そこがまた良かった。片付けって、生と死に通じるものがある。2019.7.3

  • 垣谷さんの本は【リセット】に続いて2冊目。

    リセットが好みの本だったので、垣谷さんの本を読みたい!と思い続け、ようやく2冊目。
    【あなたの人生、片づけます】というタイトルがとても気になりました(笑)

    大庭十萬里はブログから人気に火が付き『あなたの人生片づけ手伝います』を出版した50代の女性。

    社内不倫に悩むOL。
    妻を亡くしてたことで生きる希望もなくした老人。
    子どもたちとなかな会えず寂しさに押しつぶされそうな老女。
    汚れた家の中で、一部屋だけはきれいにしている主婦。

    それぞれの家の汚れは人生そのものを表すかのようで…

    十萬里さんの、指南が素晴らしい!
    私のところにも来て下さい!!

  • 片付け大好き!人間の私としては、この本に出てくる4つの汚部屋の描写を読むと、十萬里さんと同じく、わあ、片付けたい!
    捨てさせてーーとうずうずと腕が鳴った

    巷に溢れている片付け本と違って、十萬里さんのやり方は、そんな部屋にならざるを得なかった心に寄り添って、その解決を図るようさりげなく方々に手を回しているんだよね
    ワンランクアップの片付けだ

    読み終わった後、我が家の台所は大丈夫かな?
    使わなくなった道具はないかな? 消費期限切れの食品はないかな?と見直しちゃった

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

垣谷美雨の作品

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