きらきら眼鏡

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575239270

作品紹介・あらすじ

愛猫を亡くし、喪失感にうちひしがれていた立花明海は、西船橋の古書店で普段は読まない自己啓発系の本を買う。すると、中に元の持ち主の名刺が栞代わりに挟んであり、明海が最も心を動かされたフレーズにはすでに傍線が引かれていた。気になった明海は意を決して名刺の「大滝あかね」に連絡をとる。会うと、あかねは明るい年上の女性で、日常の物事を幸福感たっぷりに捉えている"幸せの天才"だった。明海には、今まさに恋愛関係に発展しそうな会社の同僚・松原弥生がいたが、あかねの存在が徐々に大きくなっていく。だが…あかねには恋人がいた。彼は病に伏し、余命宣告を受けているという-。

感想・レビュー・書評

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  • ◇◆━━━━━━━━━━━━
    1.あらすじ 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    心にトラウマを抱えた優しき主人公の立花明海。
    そして、笑顔がペコちゃんのような大滝あかね。
    二人が一冊の本を通して、出会い、物語が進んでいきます。

    その出会いは切ない恋の始まりでした。
    とてもとても切なさが漂う物語です。

    主人公の明海の視点、思考、言葉で物語は終始進んでいきます。とても深く相手のことを考え、人を傷つけない選択を探す中で、自分の心とも向き合っていきます。



    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    2.感想
    ━━━━━━━━━━━━◆
    ざわざわ、という潮騒が何度も登場します。そのざわざわに重ねるように、黒いものが自分の身体の中にも現れてくるようで、なかなかに切なさが響く作品でした。
    ※ざわざわでなかったらすみません。本が手元にないので…

    これを読むと、苦しく切ない日常の中で、最高の笑顔を持ったあかねさんに読者も惹かれていきますね。
    とても魅力的なキャラクターで、とくに「きらきら眼鏡」が、いい。

    作品の中にでてくる言葉が、大切な今を見つめるきっかけとなって、キラキラと輝く日々になるといいなと、ぼんやりと感じました。

    「そんなに一生懸命に歩き回って、未来に何かが見えてるの?」
    「この世は、軌跡のみで成り立っている」
    「あたりまえの幸せに気づかないと、もったいない人生になるんだよ。

    マインドフルネスとか、瞑想とかでもありますが、日々の出来事を振り返って、感謝を感じることは大切ですね。
    感謝することは、溢れるぐらいあるんでしょうが、しっかりと、見るべきものを見ていくことが、今の自分には大切なことだと感じています…

    2人の結末が幸せでありますように…


    ◇◆━━━━━━━━━━━━
    3.主な登場人物 
    ━━━━━━━━━━━━◆
    立花明海 あけみ 25歳 本好き 不器用 まじめ 高身長
    ナツばあちゃん


    英子 35歳 姉
    ペロ マロン

    大滝あかね 30歳 ペコちゃんスマイル
    正枝 
    裕二 35歳 あかね恋人 

    (喫茶店)
    カッキー
    キリコさん

    (会社)
    本田宗一 40代 課長補佐 
    松原弥生 26歳 営業成績トップ 優秀 美人すぎない美人
    小山田孝之 同期

  • 視界に入ったものすべてをきらきらに輝いたものにしてくれる眼鏡、きらきら眼鏡を必要としている人は、実はとても悲しい経験をしている人。
    過去のトラウマから人の顔色を窺いながら生きてしまう青年明海。
    彼の好きになった女性あかねには死に行く運命にある恋人がいた。

    重たい部分もあったが、読み終わった時には読めて良かったと思った。
    キッチン風見鶏や癒し屋キリコの約束などが出てきて嬉しかった。

  • 森沢明夫さん何冊か読んだけど一番好きかもしれない
    ☆5じゃ足りない(^ ^)

    他作品に登場する人や物がサプライズ出演するから
    順番に読みたかった〜と毎回思う。

    キッチン風見鶏で出てきた切ないブランコ少年…
    「ざわざわ公園」で繋がってグッと来ました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

    素敵な作品素敵な読書時間でした( ´ ▽ ` )

    • Manideさん
      みんみんさん

      コメントありがとうございます。
      メロリンと呼ぶ仲だったんですね (¬ -̮ ¬)ww

      私も森沢週間に参加します❤️
      ステキ...
      みんみんさん

      コメントありがとうございます。
      メロリンと呼ぶ仲だったんですね (¬ -̮ ¬)ww

      私も森沢週間に参加します❤️
      ステキな時間を共有できるのは、うれしいですね。

      きらきら眼鏡と、青い孤島の2冊で8月は終わりそうですが…

      2022/08/13
    • みんみんさん
      森沢さんの作品は他の作品と繋がる人やキーワード的な事柄が出てきますよ♪
      あの作品のあれだ!って気づくのが楽しい!
      森沢週間は森沢習慣というわ...
      森沢さんの作品は他の作品と繋がる人やキーワード的な事柄が出てきますよ♪
      あの作品のあれだ!って気づくのが楽しい!
      森沢週間は森沢習慣というわけです(^o^)
      2022/08/13
    • Manideさん
      うまいですね ^_^
      そうなんですね ♪♪

      本が紡いだ五つの奇跡を読んだ時に、エミリの小さな包丁にでてきたメンバーが登場して、嬉しくなって...
      うまいですね ^_^
      そうなんですね ♪♪

      本が紡いだ五つの奇跡を読んだ時に、エミリの小さな包丁にでてきたメンバーが登場して、嬉しくなってしまいましたが、全体的にそうなんですね。

      それも楽しみに森沢週間に参加します。
      2022/08/13
  • 愛猫のペロを亡くした“ぼく”=立花明海は、馴染みの古本屋で『死を輝かせる生き方』というタイトルの自己啓発本を手に入れた。
    その本の中で明海の印象に残った一文には、傍線が。そして、栞代わりに挟まれていた、おそらく前の持ち主の名刺。
    ふとした思いつきで名刺のアドレスにメールをしたところ、その“大滝あかね”という女性から思いがけず返信があり…


    森沢明夫さん、初読。
    ちらちらと名前を見かけながら、何となくきっかけがなくて読んでいなかった作家さんのうちの一人。

    繊細な好青年が、仕事もできる美人の先輩からモーションをかけられる一方で、運命的な出会いをした笑顔のすてきな女性に心惹かれ、けれど彼女には余命宣告を受けた彼氏がいた。

    最後は、二人の恋が近い将来実るであろう、明るい予感に満たされて終わる。

    綺麗な物語だった。主要な登場人物は、優しくて相手を思いやる事ができるいい人ばかり。
    『きらきら眼鏡』をかけたつもりで生きる、というのも、素敵なアイディアだと思う。
    けれど、どこか、何かが、もやもやする。
    何だろう?


    しばらく感想を書かずに放置して、もやもやの元は、どうやら女性たちがやけに明海にとって都合よく、キレイすぎることかな、と思った。
    明海だって、何もしていないわけではないけれど、どうも彼が気まずくなりそうな場面になると、よくできた女性たちが上手いことやってくれちゃってる…ようで。

    それと、スピッツ、オフコース、大滝詠一と、スタンダードな名曲が使われていて、物語の切なさを曲のイメージで増幅しまくっているところ。
    私も音楽は大好きだし、音楽と生活は切り離せない。音楽が物語の空気を決めている作品もたくさんある。なのに何故か、どこか、ちょっとズルをされたような気がして。

    この作品が初読だったのが、たまたま相性が良くなかったのかもしれない。

  • ぼくの弱い毒を少しだけ洗い流してくれた。登場人物みんな良い人で、ストーリーもとても眩しくて目を開けていられないぐらいだけど、こんな小説、好きだな。紹介してくれてありがとうって言いたい。

  • 愛猫ペロを亡くし、喪失感に打ちひしがれていた立花明海。
    西船橋の古書店で、普段読まない分野の本を選ぶ事にした。
    一冊の本の背表紙に釘付けになった。-「死を輝かせる生き方」-
    中には、栞代わりにしていたのか、〝大滝あかね〟と書かれた名刺が挟まっていた。
    明海は思い切ってあかねにメールをしてみるが…。


    主人公は厚紙加工メーカーに勤務する25歳の明海。
    物語は、彼が愛猫の墓を作る場面から始まる。
    子供の頃のいじめが原因で、常に人の顔色や場の空気を読み過剰に気を遣う
    言葉を選んで物を言い、読書を愛する。
    控えめながら、真面目に働き穏やかな毎日を送ってる。
    愛猫ペロが亡くなった喪失感から、手に入れた一冊の本。
    名言がいくつも散りばめられた中から、唯一感銘を受けたのと同じ、
    たったひとつの文章に赤線を引いていたであろう〝大滝あかね〟という
    女性の事が気になって仕方がない。
    〈自分の人生を愛せないと嘆くなら、愛せるように自分が生きるしかない。他に何ができる?〉
    彼女は、何を思ってこの本を買い、何を想ってこの言葉に線を引いたのだろう…。
    明海は、意を決してあかねにメールを送るー。
    会うと、あかねは5歳年上の微笑むとペコちゃんにどこか似ているとても魅力的な人。
    笑顔の横に♪が見えそうな、目の前にいる人をついにっこりと笑わせてしまう人。
    あかねと会ううちにどんどん惹かれて行く、存在が大きくなっていく。
    だが、あかねには恋人がいた。
    彼は病に伏し、余命宣告を受けているというー。

    恋人を案じながらも、明海のトラウマを少しでも癒そうとするあかね。
    あかねの恋人の事を思い、好きだという気持ちを懸命に抑える明海。
    互いを労りながら、友達付き合いを続ける二人。
    互いの思いやりが切なくて、たまらなかった。

    読み始めから愛猫ペロの埋葬のシーン。
    もう、自分の愛猫との別れのシーンが思い出されて、思い出されて
    涙が邪魔で読めないって位、泣けて泣けて仕方なかった。
    森沢さんの作品には、いつも沢山の素敵な言葉が散りばめられています。
    心に突き刺さる、心に残したい言葉が輝いてます。
    あっ、この言葉は前にも登場したなぁってのもありますが(*´艸`*)
    この本は、何だろう…心の琴線に響く言葉じゃない何気ない会話やシーンで、
    何度も何度も涙が零れました。
    自分の何処に何が響いてるのかわからない程、泣いてました。
    ソット ボッセも沢山聴きました(*´︶`*)

    人って当たり前の幸せ程気付かないもの
    視界に入ったもの全てを、きらきら輝いたものにしてくれる
    きらきら眼鏡をかけてるつもりで、
    その当たり前の幸せに気付く事のできる幸せの天才になりたいって思った。

    明海の上司のケラさんは「大事なことほど小声でささやく」のケラちゃん。
    そして、スナックひばりのゴンママもチラリ♪
    昭和堂や岬のカフェ♪
    色んな作品にリンクしてるのも、とっても嬉したかったぁ(*´˘`*)♡

  • 愛猫ペロを亡くし寂しさに暮れていた明海は、古本を介して、幸せオーラを振りまくあかねと出会た。しかし彼女には、余命宣告をされた恋人がいた。

    暖かく優しい、切ないラブストーリー。
    明海くんの人となりを語る、彼の過去や、彼を取り巻く人とのつながり方とかが絶妙で、実際に明海くんを目の前にしているような気持ちになりました。
    ラストの裕二さんのコカ・コーラのくだりに涙腺崩壊。
    裕二さん、カッコ良すぎです(涙)

    ケラさんとゴンママとの再会は、著者の作品を追いかけてきた者としては嬉しいサプライズでした。

    今の気分じゃなかったかもと、途中で悩みましたが、最後の展開に一気に引き込まれ、今は気持ちのいい読後感を味わっています。

  • 子どもの頃は、いじめられていた優しく人の痛みがわかる明海くん。向いていない営業の仕事をしている。
    古本屋で買った一冊の本をきっかけに、5歳上の女性と出会う。
    両想いであろう彼女には余命宣告された彼が居る。

    デート場所は、実際に船橋にある(あった)
    居酒屋一九 中華料理店桃龍門 お好み焼きやのや
    のメニューも魅力的。

    「白地のプリントTシャツを着ているぼくは、青いひろがりにのんびりと浮かぶ白い雲になれたらいいな」
    「コーラは常温で、舌の奥に嫌な甘さがまとわりついた。それでも、どこか自分への罰のような気持ちで、黒い液体を喉に流し込んだ」
    描写も素敵だ。

    房総の海の景色が見えて潮の香りがする。
    暖かい涙の流れる恋愛小説だった。

  • 森沢さんのお話は、相変わらず優しい。
    古書店で買った本に挟まっていた名刺から始まる出会い。意外と登場人物たちの事情が暗いんだけれど、スラスラ読める。きらきら眼鏡、かけるのは難しそうだけれど素敵だな。

  • ほんのり淡くて甘いロマンチックな小説で、こんなオジサンも爽やか気分になれました 笑。愛猫を亡くし職場でも今一つな若者が古本に挟まれた名刺にふと連絡することがきっかけで、物事を明るく前向きに捉える生き方の5歳年上の女性と出逢い、少しずつ自分の殻を破って行く。忘れ難い人になった彼女には しかし重病に伏す恋人が居た。しかも とてもいい人なのだ。終盤の印象的なツールにコーラのボトルが何度も活躍するけど、味わいはカルピス でした(^^)

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著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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