幹事のアッコちゃん

著者 :
  • 双葉社
3.75
  • (174)
  • (427)
  • (325)
  • (35)
  • (7)
本棚登録 : 2743
感想 : 371
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575239447

作品紹介・あらすじ

背中をバシッと叩いて導いてくれる、アッコさん節、次々とサク裂!妙に冷めている男性新入社員に、忘年会プロデュースの極意を…(「幹事のアッコちゃん」)。敵意をもってやって来た取材記者に、前向きに仕事に取り組む姿を見せ…(「アンチ・アッコちゃん」)。時間の使い方が下手な"永遠の部下"澤田三智子を、平日の習い事に強制参加させて…(「ケイコのアッコちゃん」)。スパイス絶妙のアドバイスで3人は変わるのか?そして「祭りとアッコちゃん」ではアッコ女史にも一大転機が!?突破の大人気シリーズ第3弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2作目を飛ばして3作目と読んでしまった。アッコちゃんの弟子がいつの間にか出世していたが、弟子は相変わらず迷いの多い行動のよう。
    5日間でのコーチングスタイル。宴会嫌いの若手社員を自分の宴会に連れて行って指導。自分のアンチに対しても自分の看病を通じて変えて行く。
    自分の弟子の三智子がプロジェクトリーダーとなり、どうすべきか悩んでいても、色々な稽古を通じて三智子を変えて行く。
    三智子がアッコちゃんの会社を買収する担当に出世しても、焼きそば屋を通じて成功に導く。
    アッコちゃんの弱さも強さも見せながら、関わる人達を導く姿が清々しい。

  • 新年最初の読書は久しぶりのアッコちゃんシリーズ。第二作までは読んだ覚えがあるのだが、この第三作は読んだかどうか曖昧。
    気持ちの良いシリーズなので、再読でも良いかと思って読んだ。結果的には読んだような読まなかったような、今もって分からない。

    アッコちゃんシリーズの原点に帰って、アッコちゃん(またはアッコさん)こと黒川敦子による五日間のレッスンのスタイルを取っているのがニンマリする。

    「幹事のアッコちゃん」
    人と同じ鍋をつつくのが苦手、ワイワイやるのも苦手な男性社員が忘年会の幹事をすることになり憂鬱に。
    分かるな、これ。でも彼の場合は私と違ってお酒を飲むこと自体は大好きらしい。さて、彼を敦子はどう変える?

    「アンチ・アッコちゃん」
    昔から敦子に反感を持っているネット記事会社の女性ライター。何とか彼女の弱点、揚げ足を取ってやろうと張り付くが…。
    敦子の真似をして悉く失敗したという彼女に御愁傷様と言いたい。敦子がグイグイ人を引っ張っていけるのも彼女の性格と視点ならでは。
    ミイラ取りがミイラになるのか…と思ったが、なるほどな結末。

    「ケイコのアッコちゃん」
    長年の弟子・澤田三智子が笹山三智子となって登場。つまりあの彼氏と結婚したらしい。しかも会社ではプロジェクトリーダーに抜擢されるという出世振り。しかし自分はリーダータイプではないと、相変わらず周囲や部下の顔色を伺い、何でも引き受け、結果新婚なのに夫婦間はすれ違いばかり…と大変そう。
    そんな三智子に敦子がレッスンするのはお稽古事。一体何を学ぶ?

    「祭りとアッコちゃん」
    三智子の勤める会社が敦子の会社の買収に動いていて、しかも交渉人として三智子が指名される。三智子は何とか買収を避けたいと様々な提案を敦子に出すが突き返される。そして敦子の最後のレッスンは屋台での焼きそば作り?

    『私、変わりたくてうずうずしてる人にしか、話しかけないことにしてるから』
    常に先へ先へ進み、凡人が思い付かないアイデアで新しいビジネスを展開していく敦子。
    そんな敦子に見出だされ花開く人々は、「アンチ・アッコちゃん」に出てくる温子が分析するように、もともとの能力があって敦子の『ポジティブシンキングにノレ』るのだろう。
    だがそうじゃない人がいても良いし、それぞれのやり方でそれぞれの道を切り開けば良い。

    常に前向きで挫けないようなイメージの敦子も傷つくことはあるし、上手く行かずに不安で仕方ない時もあると知って安心した。
    だからこそビジネスだけでない、様々なお稽古事やイベントで人と人との繋がりを持ったり様々な刺激を受け世界を広げているのだろう。

    第一作からは考えられない三智子の出世にも驚くが、長年弟子をしていただけあって、敦子の本当の願いに気付いただけでなく、それをビジネスとして形にした成長振りに感慨深くなる。そして敦子はやはり三智子の遥か斜め上を行っていて嬉しい。

  • 『ゲルニカ』再読で、少々気持ちが重くなったので、気分転換に全くジャンルが異なるアッコちゃんシリーズ『幹事のアッコちゃん』を選んだ。

    とにかく、やっぱり前2作品に引き続きカッコいいアッコさんだった。今回はさすがにこれで最後かなぁという終わり方だったのだが、きっといつの日か不死鳥のように突如として現れ、そして、あのアッコ節で周りの人を魅了していくのであろう。

    今回の『幹事のアッコちゃん』もまた、4話からなるが、4話ともにアッコさんが登場。今まで以上に心の持ち方として教訓になる言葉があったように感じる。

    それぞれの物語は以下の通り。

    第1話 『幹事のアッコちゃん』
    大手商社『高潮物産』の営業二課・澤田三智子の後輩新入社員の久瀬涼平は、潔癖症で周りと交わらない少々扱いにくい性格。忘年会幹事に指名されたが、受け入れることができない。そんな涼平に忘年会プロデュースの極意をアッコさんが4日で伝授する。

    「ランチのアッコちゃん」の「ゆとりビアガーデン』で登場した佐々木玲美がいきなり登場し、『おお、前作の続きかな?』と、少々興奮気味で、読み始める。
    進むにつれ、今回はやっぱり玲美が主人公ではなく、アッコさんから忘年会幹事の極意を教示されるべくアッコさんプロデュースの忘年会に火曜日から金曜日まで一緒に参加する。4日間の成果はいかに!

    第2話 『アンチ・アッコちゃん』
    私生活と仕事に取り組む姿勢をアッコさんを見て、敵意を持ってやって来た取材者・赤井温子が変わる。

    温子のアッコさん評価に『問題を可視化し、物事をすっきり単純化するセンスだ。彼女の言葉が人にやる気を出させるのは、それがあまりにもシンプルだからだろう。』がある。アンチと言いながら、アッコさんのよく見ている彼女のこの言葉に、『なるほど!』と思い、仕事の、そして人生の問題解決手法であると納得した。見習いたい手法である。

    第3話 『ケイコのアッコちゃん』
    販売チームのリーダーに任命された笹山三智子(澤田三智子)は、仕事中心で時間の使い方が下手である。アッコさんは『永遠の部下』三智子を平日の習い事に強制参加させる。はたして三智子はこの参加によりアッコさんの期待する進歩があるのだろうか?

    自分の時間の使い方を考えるのはもちろん、何にでも挑戦してみたいと前向きな気持ちになる。

    第4話 『祭りとアッコちゃん』
    三智子が勤める「高瀬物産」が、アッコさんの会社「東京ポトフ&スムージー」を企業買収する。しかも、三智子が買収交渉担当に任命される。アッコさんのかいしゃの運命やいかに、そして三智子とアッコさんの今後の関係はどうなるのだろう?

    タイトルに『祭り』とあるが、「高瀬物産」が「東京ポトフ&スムージー」をM&Aする。M&Aとは、Mergers & Acquisitionsの略で、直訳は合併と買収。
    尊敬する元先輩・アッコさんの会社の危機に落ち着かない三智子。しかしアッコさんの思いは『将来を見据え、従業員を守ること』。このことを三智子にわかってもらい、三智子がこのM&Aをwin-winの統合に進めることができるように自分の思いを『祭り』といシチュエーションを通じて伝える。『グループの拡大ではなく、従業員が今よりも働きやすく、さらにいい待遇で、よりやりがいを見いだせること』そんな思いを感じ取った三智子のアッコさんに対する尊敬と配慮は、冷静かつ適切で見習いたいところである。
    最後の6ヶ月後の章には、やっぱりアッコさんだなぁと、笑ってしまった。

    シリーズを通して、気分が乗らない時、後ろ向きになりそうな時、ちょっと笑いたい時に読むと、考え方が広がり気持ちの修まりどころを見つけることができる作品である。

  • 今回も元気をもらいました!アッコさんみたいな生き方、カッコいいなぁ。

  • 蔵書します。アッコさんが主役の物語。
    アッコさんの素敵なポリシーがわかる。
    すっきり読了できます。

  • 4話全てがアッコさんの話で嬉しい。
    そしてこれでアッコさんの話が完結してしまったようで、さみしい。
    ただの読者の私も、三智子たちのように、いつの間にか励まされていたみたい。

    ポトフのワゴン、駅のジューススタンド、ビルの屋上のおでん屋、プレハブの自宅、そして最後はニューヨーク?!
    どこでもアッコさんが堂々と、そして生き生きしているだけで元気をもらえる。
    出会った人に活力や一歩踏み出す勇気を与える座敷童子みたい!

    アンチ・アッコちゃんの章で、珍しくアッコさんの弱い一面が覗けた。
    同い年の温子(こちらもアッコ!)のセリフに、アッコさん同様私も頷いてしまった。
    「日本は、若くて小さくて未熟で可愛い、そういう女が特をする国だから……。つまり、私たちみたいなたくましくて気が強いタイプは、誤解されて損ばかりするように出来てる。どう頑張っても、甘えるのが上手い女には負けてしまう……」P87

  • 第二弾を、飛ばして第三弾を図書館で借りてしまい、慌てて第二弾も予約しました。
    しかし、こちらから先でも問題なく読み進められたので、そのまま読了。
    第一弾では、アッコさんの活躍がもう少し見たかったので、こちらで一巻まるまる登場してきて、大満足でした。
    近日、第二弾を読みまーす。

  • アッコちゃんシリーズ、第三弾。
    前作は、アッコちゃんの出番が少なくて物足りなかったけれど、
    今回はどっぶりアッコちゃんです。
    それと、三智子の成長に目をみはりました。

    どんな時も、自信満々で、逞しいアッコちゃん。
    人間だもの、体調を崩すときもあれば、打たれて傷つくこともある。
    アッコちゃんの、そんな素の一面が見られました。

    なかでも、#アンチ・アッコちゃん
    同じ大学だった頃から、黒川敦子が嫌いだった温子。
    このもやもやした感情って、なんかわかるんですよね。
    その感情も、裏返せば憧れているということに他ならないのですが…。
    くったくったのパスタ、食べてみたい。

    いくつになっても、今の自分と”ありたい自分”を比較しては情けなくなる私。
    「どんなに弱っていても、その時出来る一番簡単なことからやる。」
    「大きく進めなくても、やらないよりやった方がましだから。」
    まず、この精神を見習いたいです。
    やらまし、やらまし、ですね。

    天才けん玉少年の竜を、「師匠!」と呼び敬うアッコちゃんが可愛かったです。
    そして、オリジナルソースで作った屋台の焼きそばに、お腹が鳴りました!

    「アッコちゃ~ん、アッコちゃ~ん、すきすき~♪」
    やっぱりこの歌をくちずさんでしまいます。

  • シリーズ通して、アッコさんの言う様にランチは大事だと思うけど、ランチに限らず人間食べること、寝ること、喋ることは生きていく上で大事なことだと思う。あのブラック企業には就職したくないわ。

    落ち込むことはあるだろうけど、それでも前を向いて、何か障害があっても考えを巡らせ乗り越えていく、アッコさんの逞しさは羨ましい。

  • 読み終えて、清々しい気持ちになれました。
    前2作は、ただただアッコさんの言葉や行動の痛快さを楽しんでいましたが、今回は三智子の成長物語として味わうことができました。
    1作目から一気に読んだ身としては、ラストの三智子の姿がとっても感慨深い。
    1作目ではYESしか言えず、彼氏にもフラれた冴えない派遣社員だった三智子が、アッコさんとのランチ交換をきっかけに自分を見つめ、認めて、自分なりの働き方を考え実践し、成長していく姿に拍手を送りたくなります。
    きっとアッコさんは、三智子の成長を誰よりも認め、喜んでいるんだろうなぁ、と心が温まるラストで、3作一気に読んできてよかったな、と思えました。
    いつか、アッコさんと三智子がタッグを組んで働いている姿を読めるといいなぁ。

全371件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚木麻子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×