さらさら流る

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著者 : 柚木麻子
  • 双葉社 (2017年8月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240528

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さらさら流るの感想・レビュー・書評

  • こういう心配を今の若い子たちはしなきゃならないのだな、と。や、中年の人たちも同じかもしれないけど。
    柚木さんがとがってない女性を描いた!とびっくりしながら読んでいたのだけど、リベンジポルノの被害者となった主人公菫が、その最初のふんわりとした優しいイメージに反して、自分の力でしっかりと向き合っていく姿に、やはり柚木小説の主人公だな、とほっとしたりして。
    菫から見た光晴と、光晴から見た菫、その微妙な差が少しずつ広がっていくのは悲しいけど致し方ない。恋愛なんてそんなもんだろうし。でも別れ際と別れた後の自分の気持ちをきちんと処理する力をつけなきゃね、男も女も。
    それよりなによりプレイベートであるべき恋人同士のヒミツの写真を悪気なく拡散していく第三者たちの行動が恐ろしい。

  • ネット社会の怖さを取り上げながら見事に今時の恋愛模様を描いた作品。主人公の二人が自己に向き合い再生し成長していく展開がいい。生まれた時には各々スタートの位置が違うというのはいつの時代でも語られるんだなと。著者の感性の素晴らしさを改めて。

  • 19歳の時、付き合っていた恋人に乞われ携帯で撮らせたヌード写真、それが9年も経つ今、何故ネットに流れているのか。別れてからも6年経つのに・・・・

    28歳の菫とかつての恋人光晴、それぞれの心の深みにはなにがあったのか。
    暗渠になぞらえた、誰もが抱える心の内の暗い流れ。多くの矛盾を抱えた心。蓋をして見ないふりをしてきた光晴と、勇気をもって直視し前進する菫。どんな時も明るいほうにしか進まない、そんな自分を許す強さが潔い。

    リベンジポルノに対して当たり前にある、「そんなもの撮らせたあなたも悪い」という被害者を再び傷つける容赦ない言葉は、自分も持っていなかったか・・・

    ーー日本社会全体がそうなのだ。
    頑張れ、でも暑苦しいのはだめ。魅力的であれ、でも性的にだらしないことは許されない。厳しい時代を生き抜け、でも、絶対に周囲を驚かすようなことはするな。つまり、女が何かきらめく部分を持っているからには、必ずエクスキューズや、人の気持ちを逆なでしない要素を用意してすぐにでも差し出せるようにしておかないと許されないーー
    生きづらいよね。。。
    それでも、前を向いて進んでいく菫の強さには励まされ、何度か目頭が熱くなったし、清々しく本を閉じることができた。

  • とても爽やかな読後。作品の内容は流出した自分の裸の画像を巡るもの。1度出てしまえば完全削除は不可能な、本当に厄介な問題。光晴がまだマシな性質で良かった。そして菫が家族にも友達にも恵まれていて良かった。再生の過程は物語ならでは、で普通にはなかなか無い環境だろうけど、それでも取り戻していく様子は読んでいて清々しささえ感じました。本人の質も高かった。リベンジポルノの問題は決して常に被害者に同情的ではない、からこそ、1つにまとめて語ることの無いように…そう思います。

  • リベンジポルノと暗渠をモチーフにしているせいか、前半は薄暗く、柚木麻子さんというより島本理生さんを思わせるような雰囲気で、読みながら少し混乱した。
    光晴が出てきたとき、最初は言い訳がましく、嫌な気持ちになったが、菫に対する憧れと想いが描かれた半ばは、この若く幼い男女を応援したい気持ちになったが、この2人がリベンジポルノの被害者と加害者であることを思い出し、そんな未来が永劫来ないと気付いて悲しくなった。
    後半の勢いはまさに柚木麻子さんの文章で、暗闇から光に向かうのを感じた。菫が日常を取り戻そうと少し前向きになった時に、同僚とのエピソードを持ってくるのが上手い。

    菫のためのお話であると思っていたが、これは光晴のための物語であるかもしれない。
    誰もが自分の中に強いものと弱いものを持っている。その強さを自覚して光の方へ進もうとする菫。その弱さを自覚して、闇から抜け出そうとする光晴の生き様が瑞々しいと感じるくらい鮮やかに描かれている素敵なお話。

  • う~ん。まあまあです。

  • かつてつきあっていた恋人に、一枚だけ撮られたヌード写真。
    それが、流出して・・・・というお話。

    筋はシンプルだけど、大学時代の、おおげさでなく運命が変わった日と、6年後の今を行き来して、不安定な雰囲気が小説全体に漂い、不穏で、哀しい。

    主人公は、なにかをつなぎとめるために、たった一瞬、自分の体を犠牲にした。そのひっぺがえしが現在にある。
    でも、その一瞬の責任は、彼女にあるのか?本当に?

    「BUTTER」にひきつづき、この国に住む女性が直面する理不尽さと、ジェンダーの問題を、描いて見せた。
    個人的には、「BUTTER」よりもこちらのほうが、端的にまとまっていて、物語の雰囲気が好きでした。

  • 生暖かいしめった梅雨の季節から爆発的に緑がイキイキとし出す夏になるような、そんな雰囲気を感じた。
    元彼に自分の裸の写真を拡散され、そこからどう立ち上がって行くかというなかなかヘビーな内容。
    ヘビーだけど、気持ちを強く持って生きていけば人の印象見た目なんて、どんどん変わって行く。
    きっと励まされる人も居るだろうけど、やっぱり思ったのは自分の身体は安売りしてはいけない。
    あと、元彼にまったく救いや成長が無かったのがなんだか悲しかった。でも、過去に囚われてずっとウジウジしているといつまでも同じままだよ!と言う姿を見せられた気もした。

  • 過去と現在、あの時と今を交互に描きながら、一つの恋を辿る。
    傷を負いながら気づく、彼のこと、自分のこと、自分を支えてくれるたくさんの人たちのこと。
    読後、凛とした主人公の姿が立ち上がる。

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