さらさら流る

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著者 : 柚木麻子
  • 双葉社 (2017年8月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575240528

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さらさら流るの感想・レビュー・書評

  • こういう心配を今の若い子たちはしなきゃならないのだな、と。や、中年の人たちも同じかもしれないけど。
    柚木さんがとがってない女性を描いた!とびっくりしながら読んでいたのだけど、リベンジポルノの被害者となった主人公菫が、その最初のふんわりとした優しいイメージに反して、自分の力でしっかりと向き合っていく姿に、やはり柚木小説の主人公だな、とほっとしたりして。
    菫から見た光晴と、光晴から見た菫、その微妙な差が少しずつ広がっていくのは悲しいけど致し方ない。恋愛なんてそんなもんだろうし。でも別れ際と別れた後の自分の気持ちをきちんと処理する力をつけなきゃね、男も女も。
    それよりなによりプレイベートであるべき恋人同士のヒミツの写真を悪気なく拡散していく第三者たちの行動が恐ろしい。

  • 菫は、かつて恋人、光晴に撮影を許した裸の写真が、
    ネットにアップされていることを偶然発見する・・・

    んー、あんま共感できなかったな~~。。。

    光春も悪い奴じゃないのに、歪み方がキモイし。
    菫も、もうちょっと早く別れてればよかったのに、っても思うけど、まぁ、恋愛の最中はいろいろ見えなくなるからしょうがないかー。

    それにしても、自分で発見しちゃうのってショックだろうな。
    いや、人に言われてももっと嫌だし、言われなくて知り合いの間に広まっちゃったりしたらもっと嫌だけどさ。

    このご時世、恋愛で盛り上がってたら、写真なんて簡単に取ったりしちゃうかもだし、やっぱり、身近で被害が起きないのを祈りたくなっちゃうな。

  • かつて恋人に撮られた裸の写真がネットに流出しているのをみつけた、という話。
    題材としてはわりと好きなんだけど、なんせこの主人公の菫のことが最後まで好きになれなかった。私自身の問題だけど、こういうこれまでの人生陽の当たる場所以外歩いたことありませんみたいな子、現実でも心底苦手なんだ。
    だからどちらかというと光晴に肩入れしながら読んでしまいました。
    義理の母親に軽蔑され拒絶され続けてきたかわいそうな男の子。まるで暗渠のような人生。
    そういうものを理解してくれなそうな菫の無垢さ、明るさにどうしようもなく惹かれ、そして同時に腹の底で苛立たざるを得ない気持ちが痛いほど分かった。
    この写真流出が、周囲に愛され守られ支えられ生きてきた菫が初めて直面した大事件なのであれば彼女は本当に恵まれた人生を歩んでる。
    バラバラになってしまった自分を、親友の百合に裸体を描いてもらうことでまた一つに採り集め自分らしさを取り戻したみたいなラストが気に食わない。
    持って生まれた才能のような強さって何?それを持っている自分を許すって何?
    地盤が違うんだ。土壌が。根幹が。
    菫のそれが、まっとうでまっすぐな本来の強さだってことは知っているけれど、そんなことを改めて突き付けられてちょっとショックでした。
    と、だいぶ個人的な熱の入った感想になってしまったけれど…小説そのものはとても読みやすく前向きになれる良作だと思います。

  • 大学時代に知り合った男に別れた後に自分の裸体写真をネットに流出させられた。
    辛くても毎日が過ぎていく。男との関係、人間性など考えることになる
    最後は友人の画家にヌードを描いてもらい心の平穏を取り戻す

  • 初出 2016〜17年「小説推理」

    この作者は苦手。なかなか読み進めない。
    『BUTTER』は1週間かかり、『ナイルパーチの女子会』は途中で挫折したままになっている。
    作者の、この社会での女性の生きにくさへの告発が基調にあるのだろう、読んでいて気分が重くなる。

    井出菫は別れて6年経った元恋人に撮られた裸の写真が、ネットに流出して拡散されていることに気づく。

    交際のきっかけとなった、大学生になったばかりの頃に二人で暗渠になった川を辿り玉川上水の暗渠の前の自宅まで夜通し歩いた出来事が並行して語られる。

    二人の生い立ち、家庭環境、互いへの見方、理解、誤解、深層心理までが語られる。

    菫は立ち上がれないほど打ちのめされるが、親友が手際よく弁護士を頼んで画像の削除に乗り出し、励まされ、等々力渓谷に倒れ込んで自分の心を悟り、立ち直っていく。
    暗渠だった川をたどって海へ出るように。


    重たい気分にさせられる表現の数々。
    ーー必死に引きずり下ろそうとする見えない無数の手
    ーーレンズを向けられると、息苦しく、全身の血が透明の気体になって流れ出し、外気に溶けていくような気がした。

  • はじまりがとても好き。

    この川はここから上流は地下を流れていて見えないけれど、君の家の前まで、繋がっているはずだよ。ここは谷底なんだ。すごく低い場所なんだよ。せっかくなら川を辿って、歩いて帰らない? 介抱してくれたお礼いうちまで送らせてよ。

    と、光晴くんが菫にかけた言葉からはじまる。大学で【東京名所探究会】というサークルに所属するふたりの淡い、恋のはじまり。

    内容を知らずに、柚木さんの著書だからといって手にとったのですが、その恋が破滅し、さらに六年後、絶望的な展開を迎える。
    リベンジポルノ、と一括りにしてもいいのかわからないが、それが題材。
    ある日菫はひょんなことから自分の裸の写真がネットに挙がっていることを知る。それはかつて初めて恋をした男に撮らせた写真だった。

    このまま菫視点で描かれる作品だったら間違いなくおもしろいといえたのだけど、光晴くんの視点でも物語られるからいらだって仕方ない。読者を苛立たせるのは著者の思惑通りなのかもしれないけれど、好かないなー。けれどこういう男に惹かれてしまう女の気持ちがすごくわかるからかもしれない。
    男に写真を撮らせた女がビッチなだけという風潮のなか、拡散させる男が悪いと言い切った親友の百合。そして彼に嫌われたくない失いたくないから嫌で仕方ないのに裸の写真を撮らせた菫のあの日の、写真からじゃわかない数々の事柄。大事にしてくれる家族。
    いっぱいつまっていて苦しくて何度も泣いてしまった。強さに。そして少しの弱さに。それを光晴くんのうっかりな感じで台無しにしてくれるから、嫌になったな。うっかりは悪意をもって行うことよりずっと、ずっとタチが悪い。恵まれない家族環境のせいだとか、なんだかんだ理由をつけて自分を大事にしすぎる光晴くんがとてもさみしく、哀れで、けれど誰よりも人間らしかった。

  • かつて恋人に撮影を許した裸の写真がネットに出回ってしまう。調べていく中でわかってくる真実。それは悪意の不在なのか、それてもリベンジポルノなのか。
    作者が選んだ展開はちょっと物足りないものだ。読後感は非常にいいし、どこかにちょっと勇気をもらった気もする。
    しかしこの作者にはそんな読後感の良さではなく、ドロドロと澱んだ人間の醜さを描いて欲しい。

  • ネットの時代、気をつけないと。暗渠を悪く言うのはやめてほしい。

  • #柚木麻子
    冒頭からは少し前の『東京「暗渠」散歩』(http://booklog.jp/item/1/4800300045)を思い出しつつ進んだ。
    リベンジポルノ(とこのケースは言えるのか?)。
    撮らせるのが悪いのではない。流出させるのが悪いのだ、というところにハッとする。
    あと、柚木麻子さんは女子同士のドロドロが面白いのに果たしてどこにそれが入る余地が?と思ったが、ドロドロではなく丁寧な機微としてきちんと織り込まれており、力強く好もしく感じた。
    個人的には「BUTTER」より読みやすく感情移入しやすかった。

  • ネット上で拡散する自分の裸の写真。
    主人公・薫とその家族、親友・百合、流出の元凶である元彼・光晴。

    本当の自分ってなんだ?
    自分らしさって?と疑問を持ち、自ら百合のモデルになる事を選択する。

    かわいそうと言われる立場の人間に向き合う時、自分が強い事に対する負い目、引け目。
    自分が恵まれている事に対する負い目。
    その負い目につけ込み優位に立ち、みずからを弱いと言う奴ら。
    そんな罠には、決して嵌ってはいけない。

  • 登場人物に魅力を感じなかった。

  • ネット社会の怖さを取り上げながら見事に今時の恋愛模様を描いた作品。主人公の二人が自己に向き合い再生し成長していく展開がいい。生まれた時には各々スタートの位置が違うというのはいつの時代でも語られるんだなと。著者の感性の素晴らしさを改めて。

  • 19歳の時、付き合っていた恋人に乞われ携帯で撮らせたヌード写真、それが9年も経つ今、何故ネットに流れているのか。別れてからも6年経つのに・・・・

    28歳の菫とかつての恋人光晴、それぞれの心の深みにはなにがあったのか。
    暗渠になぞらえた、誰もが抱える心の内の暗い流れ。多くの矛盾を抱えた心。蓋をして見ないふりをしてきた光晴と、勇気をもって直視し前進する菫。どんな時も明るいほうにしか進まない、そんな自分を許す強さが潔い。

    リベンジポルノに対して当たり前にある、「そんなもの撮らせたあなたも悪い」という被害者を再び傷つける容赦ない言葉は、自分も持っていなかったか・・・

    ーー日本社会全体がそうなのだ。
    頑張れ、でも暑苦しいのはだめ。魅力的であれ、でも性的にだらしないことは許されない。厳しい時代を生き抜け、でも、絶対に周囲を驚かすようなことはするな。つまり、女が何かきらめく部分を持っているからには、必ずエクスキューズや、人の気持ちを逆なでしない要素を用意してすぐにでも差し出せるようにしておかないと許されないーー
    生きづらいよね。。。
    それでも、前を向いて進んでいく菫の強さには励まされ、何度か目頭が熱くなったし、清々しく本を閉じることができた。

  • とても爽やかな読後。作品の内容は流出した自分の裸の画像を巡るもの。1度出てしまえば完全削除は不可能な、本当に厄介な問題。光晴がまだマシな性質で良かった。そして菫が家族にも友達にも恵まれていて良かった。再生の過程は物語ならでは、で普通にはなかなか無い環境だろうけど、それでも取り戻していく様子は読んでいて清々しささえ感じました。本人の質も高かった。リベンジポルノの問題は決して常に被害者に同情的ではない、からこそ、1つにまとめて語ることの無いように…そう思います。

  • リベンジポルノと暗渠をモチーフにしているせいか、前半は薄暗く、柚木麻子さんというより島本理生さんを思わせるような雰囲気で、読みながら少し混乱した。
    光晴が出てきたとき、最初は言い訳がましく、嫌な気持ちになったが、菫に対する憧れと想いが描かれた半ばは、この若く幼い男女を応援したい気持ちになったが、この2人がリベンジポルノの被害者と加害者であることを思い出し、そんな未来が永劫来ないと気付いて悲しくなった。
    後半の勢いはまさに柚木麻子さんの文章で、暗闇から光に向かうのを感じた。菫が日常を取り戻そうと少し前向きになった時に、同僚とのエピソードを持ってくるのが上手い。

    菫のためのお話であると思っていたが、これは光晴のための物語であるかもしれない。
    誰もが自分の中に強いものと弱いものを持っている。その強さを自覚して光の方へ進もうとする菫。その弱さを自覚して、闇から抜け出そうとする光晴の生き様が瑞々しいと感じるくらい鮮やかに描かれている素敵なお話。

  • う~ん。まあまあです。

  • かつてつきあっていた恋人に、一枚だけ撮られたヌード写真。
    それが、流出して・・・・というお話。

    筋はシンプルだけど、大学時代の、おおげさでなく運命が変わった日と、6年後の今を行き来して、不安定な雰囲気が小説全体に漂い、不穏で、哀しい。

    主人公は、なにかをつなぎとめるために、たった一瞬、自分の体を犠牲にした。そのひっぺがえしが現在にある。
    でも、その一瞬の責任は、彼女にあるのか?本当に?

    「BUTTER」にひきつづき、この国に住む女性が直面する理不尽さと、ジェンダーの問題を、描いて見せた。
    個人的には、「BUTTER」よりもこちらのほうが、端的にまとまっていて、物語の雰囲気が好きでした。

  • 生暖かいしめった梅雨の季節から爆発的に緑がイキイキとし出す夏になるような、そんな雰囲気を感じた。
    元彼に自分の裸の写真を拡散され、そこからどう立ち上がって行くかというなかなかヘビーな内容。
    ヘビーだけど、気持ちを強く持って生きていけば人の印象見た目なんて、どんどん変わって行く。
    きっと励まされる人も居るだろうけど、やっぱり思ったのは自分の身体は安売りしてはいけない。
    あと、元彼にまったく救いや成長が無かったのがなんだか悲しかった。でも、過去に囚われてずっとウジウジしているといつまでも同じままだよ!と言う姿を見せられた気もした。

  • 過去と現在、あの時と今を交互に描きながら、一つの恋を辿る。
    傷を負いながら気づく、彼のこと、自分のこと、自分を支えてくれるたくさんの人たちのこと。
    読後、凛とした主人公の姿が立ち上がる。

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