- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575297362
作品紹介・あらすじ
インチキの伝統論を笑え!言葉の広がりと深さを知れ!朝夕食後に一章、言葉の病気を防ぎます。
感想・レビュー・書評
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古典や漢籍への教養は言うに及ばず、外国語の知識も兼備していなければ、到底著者の目の高さにハシゴをかけても近づけない。
いっとき「汚名挽回」が取り沙汰されたが、著者は縮約語だとして厳しく咎めていない。例として「堂に入る」を挙げ、論語の「堂に昇り室に入る」の縮約形だとしている。さすが儒学の徒。
槍玉に挙げられた面々が気の毒になるほどの舌鋒の鋭さ。敵に回したくない論客である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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日本語についてのうんちく
金字塔とはピラミッドのこと、文字の象形的利用 -
「言葉の常備薬」というタイトル通り言葉の使い方の誤用や時代の中での変遷、変化した経緯を著者の該博な知識を持って解説してくれている。それでも著者は専門家ではないという。どんだけ賢いねや。普段から知らず知らずのうちに間違って使ってる日本語や隠れた意味を持つ言葉もあった。お祭り=セックスの意味があるとは知らなんだ。連濁語=二語がくっついて一語になる時、後の語の語頭が濁音化すること。で舌鼓は本来ならばした・づつみだが、した・つづみも正解ということ(むしろした・つづみが一般的で俺はしたづつみだと思っていた。一応どちらも可らしいが)そのほか秋葉原は本来の連濁ではあきば・はらだが上の言葉が清音化してあきは・ばらになったとか、難しいし本当には理解出来てないが面白い。たらちねが垂乳根で垂れた乳という解釈が一般的だが新しい生命を育む乳をしたたらせて子供の恵みとするから「垂乳根」だという解釈が自然ではないかと著者はいう。本当に知らんことだらけで自分の無知さにイヤになる。文中著者は、よく教育に大切なのは暗記ではなく考えることだ、などという。教育に大切なのは、考えることではなく、暗記に決まっている。まず暗記ありき。というのは納得した。まず辞書を引けだそうだ。そこから少しずつでもやってみよう。
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ことばをネタに展開する文章芸が楽しめるエッセイ集。こういう本、賢くなった気になれるし、好きです。呉智英という人、昔はもっと攻撃的な筆致だったような気がします。ことばまわりのエッセイだし、初出の舞台がパズル雑誌やミステリ雑誌ということもあるのでしょうか。
「ルイ十四世」はちゃんとした辞書・時点では「ルイじゅうしせい」で出ている、とは知りませんでした。
「いたいけな子供」も「いたいけない子供」。「いたいけ」は「痛い気」で、心が痛くなるほど可愛い、いじらしい。「いたいけない」はそれを否定するのだから「いたいけな子供」が正しそうですが、どちらも正しいのだそうです。両方目にするので、どっちかなあと思っていましたが、スッキリしました。この場合の「ない」は程度が甚しいことを表す接尾語。「しどけない」「せわしない」も同じだとのこと。
「おまえの母ちゃん、デベソ」の罵り言葉に隠された驚くべき真実。夫婦や恋人同士の仲のよいところを見せつけられたとき、なぜ「ごちそうさま」とか「お安くない」とかいうのか。……などなど、枕上・鞍上・厠上の好適本です。
この本の前に読んだ『言葉のせんじ薬』同様、この本の装丁も素敵です。使われている写真は大英博物館所蔵のロゼッタストーン。デザインは日下潤一+後藤あゆみ、デジタル印字は飯塚隆士。中野豪の本文イラストレーション(一コマ漫画)も、とても面白いです。 -
H.21.2.18.白子BF.001
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久々に本を読んでいて声を出して笑いました。
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俺基本的に知的なうんちくが大好きなんだな。しかも日本語にすごく興味があるんだな。ということで、面白かったよ。
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皮肉屋 呉智英のうんちくに満ちた毒舌炸裂
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呉智英の言葉をめぐるエッセイ。呉智英も何となくまるくなったなあという印象。「鳴呼玉杯に花受けて」については著者の指摘に納得。これは全く勘違いしていた。「汚名挽回」は「名誉挽回」、「汚名返上」の誤りというのが通説的見解だが、「汚名を雪ぎ、名誉を挽回する」の縮約とみなせば必ずしも誤用とはいえないという指摘は一考に値する。私も別の視点だが、以前から「劣勢挽回」や「失地挽回」がいいのであれば「汚名挽回」も許容されうるのではないかと考えていたところ。