星守る犬

著者 :
  • 双葉社 (2009年7月7日発売)
3.88
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本棚登録 : 2908
感想 : 567
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (124ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575301434

感想・レビュー・書評

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  • 星守る犬:犬が星を物欲しげに見続けている姿から、手に入らないものを求める人のことを表す。
    ー冒頭より

    みくちゃんに拾われておとうさんとおかあさんとみくちゃんの一家の一員になったハッピー。
    いつも散歩に連れて行ってくれるのはおとうさん。
    月日は経ち経ち、いろいろなものが変わっていくのでした。おとうさんは病気になり、離婚。ハッピーはおとうさんと楽しい楽しいドライブをすることになったのでした。その行く先はー…

    もうね、泣きました。泣いたしか感想がない。語彙力がないので。
    おとうさんも愛しいし、おとうさんのことが大好きで、無邪気に家族の移ろいゆく様子、そしておとうさんとのドライブを楽しむハッピーも愛しい。
    結末は悲しいけど愛おしい。
    幸せってなんだろうと思わされる。胸にじんわりじんわりしみわたってくる。何度でも読みたい名作だ。

    ハッピーとおとうさん。作者曰くそんな二人の葬儀の章であるとする「日輪草」という短編も良かった。
    彼らに関わった人たちのその後もちらりと垣間見え、彼らを弔う奥津さんもまた犬とのかけがえのない思い出と後悔があり。
    あとがきまで何もかも良かったです。ぜひ読んで!

  • 不器用なお父さんが、その不器用さから、人生を終わらせた時にもそばには犬がいた。
    人がいい、だけでは生きていけないし、家族は生きるためのお金が必要だし、愛情をきちんとしめさないことでも、ボタンの掛け違いでもすぐに壊れてしまう。

    そんな人生、家族と、何も関係がなかったはずの犬と人間の絆の対照が、静かな感動を起こします。

  • 先に原田マハさんの小説の方を読んでから、原作のこっちを読みました。
    さらっと読めば、10分もかからず読み終わるんだけど、だけどだけど。2回目、3回目と読むと、ジワリジワリと染み込んでくるものがある。何て悲しい、切ない結末。また、そこに至るまでの人物の心情の移り変わり。
    村上たかしさんが初めて描いたストーリーものだそうだけど、なかなかどうして、叙情に溢れる作品です。

  • 人間の生きる力強さと優しさを感じる作品でした。

    “「守る」というのは「じっと見続ける」という意味” ー作品よりー

    犬の表情の描き方が素晴らしく、文字がなくても感情がとても伝わってきました。
    そっと寄り添ってくれる一冊だと思います。


  • 号泣…何度読み返しても泣ける。あとがきにあるように、この主人公はどこにでもいる、悪人でもないおじさんだ。奥さんや娘さんがここまであっさりしてるもんか、とも思うが、ゆるやかに転落するのが切ない。最後の死んで再会のシーンは、震えるほど泣けた…。

    • pさん
      ラッキーさん。

      私、細かい内容は覚えてないんですが号泣した記憶だけが…
      次の日、目が腫れたって記憶です。笑
      ラッキーさん。

      私、細かい内容は覚えてないんですが号泣した記憶だけが…
      次の日、目が腫れたって記憶です。笑
      2022/05/19
  • かねてより読みたいと思っていた本書でしたが、品切れでなかなか手に入らず、入荷待ちメールをずっと待ち侘びていました。

    表紙絵の真っ白い犬が一面に拡がる向日葵畑の中に、ちょこんとこちらに向いている姿が印象強くて、どうしても欲しい本でした。

    犬が、もしも人間と共通語で話せるとしたならば、きっと尊敬語で会話するのでは?と、このハッピーくんの従順な姿に思わされました。
    いつもいつの時でも、「おとうさん!!おとうさん!!」と、尻尾を振りながら真っ直ぐに見据える澄んだ瞳。

    寂しい人の、ぽかんと空いてしまった心を、ほんわかと優しく癒してくれる存在なのでしょう。

  • 十数年ぶりの再読。再度、号泣。

    亡くなり方がどうであろうと、その人の生き方、人柄は刻まれている。そうであってほしい。
    身元不明の遺体も、その人にはその人の生き方があった。幸せな時間や、残してきた人やものがあった。
    ネットニュースの片隅の小さな文字の羅列だとしても、その人の姿を想像することをを忘れたくないな、と思う。
    そして、人の幸不幸を他人が決めてはいけないな、とも。

    初読では、記憶に残っていなかったが、今は後編の「日輪草」が胸に残る。奥津さんのお仕事は尊いよ。彼らはちゃんと弔われていた。彼らの生き方は奥津さんに繋がっていた。

    ただの悲しく美しい話ではない。その後の現実にも目を向けた地に足のついた作品。

  • うちの飼い猫の寝顔を見ながら
    号泣してしまった…。


    病気のため仕事も家庭も失った
    不器用な中年男の
    「お父さん」は
    愛犬ハッピーを連れて
    オンボロ車で
    南へ南へと
    死へと向かう旅に出ます。


    もうこの二人だけの
    ロードムービー風の設定だけで
    切なくて切なくて泣けてきます(T_T)
    (と言っても終始ハッピーの視点から描かれているので、悲壮感などなく、むしろ淡々と日々生きてる感じがまたリアルで、二人は幸せそうで余計胸に迫ってくる)



    「待つ」ということしかできない犬を、

    ずっと待ち続けてくれる
    純粋な心や信頼を、
    裏切るようなことは
    絶対にあってはいけない。


    読む人すべてが
    憤りとやりきれなさを覚えるだろうけど、
    せめて旅の間だけは
    お互いに幸せだったんだと思いたいな。


    あとがきにもあるように
    今の社会に適応できない不器用な人間が
    だんだんと生きづらい世の中になっていってる現状…。


    悪い人ではなく
    普通の人が、
    こういう結末に至る経緯は
    決して人ごとではないし、
    こうなる可能性のある世の中が
    本当に恐ろしいと感じました。


    あなたの前に彼らがいたら
    あなたならどうしますか?


    悲しい結末ではあるけれども
    いろんなことを考えさせてくれる。


    是非とも沢山の人たちに
    読み継がれていってほしい漫画です。



    「手に入らないもの」を意味するタイトルと、
    表紙で微笑む
    向日葵畑のハッピーの姿が
    読了後胸に沁みます(>_<)

    • あいす桃さん
      円軌道の外さん、こんにちは!(^o^)丿
      この『星守る犬』は絶賛されていますよね。

      実は最近、注文しようとしたのですが品切れで、入荷...
      円軌道の外さん、こんにちは!(^o^)丿
      この『星守る犬』は絶賛されていますよね。

      実は最近、注文しようとしたのですが品切れで、入荷待ち状態なんです。
      良書は電子本ではなく、紙の本で保管しておきたいので絶対手に入れたいのです。
      入荷ありのメールがきたら、即注文します!

      ところで本題に入りますが、“社会に適応できない人間”が、他人事には思えません。
      いつも明るくそんなふうには見えない人が、この本のお父さんのようなことを考えているかもしれない。

      『星守る犬』は、是非とも増版希望です!!


      私の『ハチミツとクローバー10』へのコメント有り難う御座います。
      \(^o^)/
      2015/06/25
    • 円軌道の外さん

      あいす桃さん、いつもホンマ沢山の花丸ポチ感謝感激です!
      まさかのコメントも嬉しいです(T_T)

      僕は今でこそ猫にメロメロですが、...

      あいす桃さん、いつもホンマ沢山の花丸ポチ感謝感激です!
      まさかのコメントも嬉しいです(T_T)

      僕は今でこそ猫にメロメロですが、
      最初の猫に出会うまでずっと猫アレルギーで、
      犬命でした(笑)

      だからこの漫画はもうホンマ
      冷静には読めなかったんですが…( >_<)

      ハッピーの可愛さ、健気さはもちろんだけど、
      それ以外にホンマいろいろ考えさえられる作品でした。

      そう、そこなんですよ~( >_<)
      社会に適応できないのは
      ある意味僕自身そうだし、
      そこで死を選んじゃう人と
      そうでない人の差ってなんやろうって
      本当に考えさせられました。

      甘いと言われても、
      正直者がバカを見たり
      地道に努力してる人が報われない世界を僕はやっぱおかしいと思うんです。
      そんな社会を見過ごさないためにも
      ツラいけど、こういう作品は
      意味のある一冊だと思うし、
      ひとりでも多くの人の気付きとなって欲しいと思います。
       
      ありがとうございました!
      2015/06/27
  • 手に入らないものを求める人。
    あったかい。
    人を恨むこともなく、ずっといい人であり続けるって
    ああ、そう生きたいなあと思わせてくれる。

  • 期待してたのに…泣けはしなかった…お父さんそんなに良い人では無いですよね。外では良い顔してるのに、家庭を蔑ろにして…因果応報という感じです。

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