熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575306026

感想・レビュー・書評

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  • バカラで熱くなっていくところは、博打の種類も金額も違いますが、沢木耕太郎氏の『深夜特急』黄金宮殿を思い出しました。佐野眞一氏への批判で、ノンフィクション作家ではなく、フィクション作家には笑いました。アルコールとバクチへの依存を除けば極まともな経営者だったようですね。

  • 大王製紙前会長の井本意高の懺悔録。

    著者は大王製紙の創業家に生まれ会長職になりながら、カジノに依存していくさまを冷静に書き綴っている。

    しかし、前半は真っ当なビジネス本になっており驚いた。
    父親のスパルタ教育・赤字子会社を立て直したエピソードなどは参考になる。

    後半は、芸能界との華麗なる交流やギャンブル依存症への顛末になってくるのだが、読みやすい。

    氏をホリエモンが援護してきている点も興味深い。
    いつか、華麗なる復活を成し遂げるのではないかと、ひそかに期待してしまう。

  • 100億円を超える額をカジノにつぎ込むまでの
    過程や心の動きを知りたくて読んだ。
    「言い訳じゃないか」「反省しているのかな」
    と思う部分もあるにはあったが、自分のことを
    終始客観的に捉えて書かれている所には感じ入った。

  • 大王製紙の創業家の当時会長が、マカオとシンガポールのカジノで子会社の資金106億円すった話を自ら語った本。

    筑駒-東大法学部と進み、ある種の帝王学を先代の父親から学び、銀座・六本木で経済人脈を作り、創業家の長男として経験を積み、若くして社長として大企業を経営した、かなりの成功を収めたビジネスマンであったことがわかる。単に金持ちの馬鹿御曹司でお飾りで社長になっていたわけでないことが伝わってくる。ビジネスについて、「徹底的に」や「とことん」といった情緒的な言葉を廃し、数字を大事にして5W2Hを明確に定量化することの重要性を説く。(二代目である父が『私は努力しています』というものを一番困るというところとつながる)

    取り調べの可視化を拒否する理由となった交友関係が少し垣間見ることができるが、日本の中にも相応の格差というものがあるんだろうなと改めて感じさせる。著者は明らかにその頂点に近いところにいたのだ。

    だからこそ、週末になるとシンガポールに飛び、24時間以上も飯も食べずに連続してバカラをやって、月曜に間に合うように日本に戻るということをなぜ繰り返していたのか不思議である。バクチにはまるというのはそういうことなのかと思う。子会社のお金でありながら、運転資金でないからと自分の自由になるお金のように思っていたというのは、自らの行動を無理にでも正当化しようとする異常な心理状態であったことを表している。ただ、それを異常と片付けるのではなく、条件さえ揃えば誰にでも起きうる事象であると考えることが取るべき謙虚な姿勢なのかもしれない。ただ、その条件が揃っていないだけだと。

    また、取り調べにあたった検事に親近感を覚えた、というのは、佐藤優や堀江貴文が取り調べを描写するときにも出てきたように思う。担当検事との共感は、実は一般的な心理学的な影響で説明できる検事側のストラテジーなのかもなと思った。
    堀江氏が早々に座布団を送ったというエピソードは面白い。悪気のない経済事件で実刑判決を受けて拘束されることの理不尽さを共感しているのかもしれない。

    それにしても、堀江貴文も藤田晋も本書の著者の井川意高も学生時代に麻雀にはまってたのか。時代なのかもしれない。

    「「バクチをやる人間は、結局のところ皆バクチに向いていない」のだろう。皮肉なことに、「バクチをやらない人間ほどバクチに向いている」のである。」
    「バクチに向いていなかった」で済ましてしまうべき問題ではないのではあるが。

    ギャンブル以外では優秀な経営者であったと言いたげ。でもね、やっぱりあれだけの上場企業が土日を無為に過ごして大丈夫というのが創業家社長の甘さだったりするのではないのだろうか...。

  • 放蕩息子のギャンブル狂いの一部始終。

    そこの描写、げんをかつぐ、週末寝ないでギャンブル(バカラ)三昧。
    そのまま会社へ直行など、常人では味わえない体験が盛りだくさん。
    一回の掛け金が1000万円以上!!!

    しかし、中盤に描かれている仕事への厳しさは以外にもまともで、
    そしてためになる。
    一生懸命頑張ります、では全くダメ。結果がすべて。
    ライバル社と夢の中でも値引き合戦をしているなど。
    意外と、別な職種でカムバックされてみてはどうかな。
    なんか応援したくなった。

    佐野眞一、ここでもデタラメとばっさり切られているが、それも納得。
    工場の煙突からの煙=案に公害を匂わせる描写でも
    実際には工場から煙は一切出ていない。
    子供たちの名前にすべて”高”がついているのは、父親の身長への
    コンプレックス=全くのデタラメ。本名が高助だから。

    と、ここまではっきり書かれているので、佐野眞一はもうだめだろう。

  • ビジネスの部分は「なるほど」と、私生活(ギャンブルやお酒)では反面教師と、学びの多い内容でした。

  • 大王製紙社長が書く、ギャンブルにハマり来るって会社の金に手を出した破滅に至るまでの自叙伝。


    一回に賭けるギャンブルの額が大きすぎて庶民には想像もつかなかったが、こうして自叙伝にされるとホントにこんな世界があるのだなと驚かされた。一回のゲームに一千万円とかスケールが違いすぎる。積んできた学歴、育てられ方、キャリアや仕事論を聞いてるととてもギャンブルで負けそうには見えない著者である。勝ち方を覚えるか、負ける勝負はしないと撤退するかしそうである。それでも身を滅ぼしてしまうまでギャンブルをしてしまうのであるだから、一般人である我々が身を滅ぼすようなハマり方をする可能性も、今後大いにありうるのではないかと思った。気をつけねば。。。

著者プロフィール

1964年、京都府生まれ。東京大学法学部卒業後、1987年に大王製紙に入社。2007年6月、大王製紙代表取締役社長に就任、2011年6~9月に同会長を務める。社長・会長を務めていた2010年から2011年にかけて、シンガポールやマカオにおけるカジノでの使用目的で子会社から総額約106億8000万円を借り入れていた事実が発覚、2011年11月、会社法違反(特別背任)の容疑で東京地検特捜部に逮捕される。懲役4年の実刑判決が確定し、2013年10月から2016年12月まで3年2カ月間服役した。著書に累計15万部のベストセラーとなった『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』(双葉社、のちに幻冬舎文庫)のほか、『熔ける 再び そして会社も失った』『東大から刑務所へ』(幻冬舎)がある。

「2023年 『熔ける日本の会社』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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