新装版『坊っちゃん』の時代

  • 双葉社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575306873

感想・レビュー・書評

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  • カラー版は1冊でストップなのかな?
    http://www.futabasha.com/botchan/

    双葉社のPR(旧版)
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  • 明治のいろんな有名人が重なり合っていて面白い

  • 軽佻浮薄の輩を多少揶揄ってみたくなった ぼうだい厖大な通貨発行は必然的にインフレーションを呼んだ 根がしっかりしていてこそ嘘話の葉も青々と繁る 強迫神経症からの唯一の逃避手段であった こうじ好餌と堕さぬ為には 小泉八雲ラフカディオ・ハーン 哀惜の念もだし難く 樋口一葉旧宅を望見して懐旧 山県有朋 椿山荘と名付けた自邸 名人で「けんけん内股」の如く地の果てまで逃げても逃げおおせぬことを身をもって知っていたからである はこう跛行 浅学に由来する そうてい装丁

  • 渡邊太先生 おすすめ
    69【教養】K726-T

    ★ブックリストのコメント
    『坊っちゃん』執筆時の夏目漱石を中心に、近代国家形成の途上で翻弄され、あるいは奮闘する人々を描いた群像劇。物語のクライマックスの一つは、幸徳秋水ら社会主義者が処刑された大逆事件。

  • 明治38年、坊ちゃんを書こうとする漱石。いろいろな登場人物が出てきて楽しめるけれども、どこまでが創作? 坊ちゃんと近代日本がオーバーラップしているというテーマには、うなずかされた。

  • 2017年5月20日

    ブックデザイン/日下潤一+浅妻健司

  • 本日が命日。初めて知った漫画家さんです。小津映画みたいに尊敬されてるとは知らなかった。

  • 明治という時代背景から推察される、さもありなんと思われる、坊ちゃんの成り立ちがユーモラスに描かれる。たまたま、今、坊ちゃんを書いた夏目漱石宅の近くに住んでいるので、余計に往時のことを考えてみたくなる。確かに森鴎外の旧宅も、樋口一葉の旧宅も近い。

  • 英国留学から戻った夏目漱石が、『坊っちゃん』を書き始めようとするとき。
    夏目漱石の周囲の人々を通して明治という時代を描く。

    漱石の家に集まる若き日の荒畑寒村、森田草平、坊ちゃんのモデルだった(?)太田仲三郎、山嵐のモデル(?)堀紫郎。
    この5人がゆる~く繋がりながら、明治という激動の時代を駆け抜ける。

    森鴎外が住んでいた家に、留学から戻ってきた漱石が住んでいた。
    二人が樋口一葉の住んでいた家の前で彼女の思い出を語り合う時、一葉の後にそこに住んでいた森田草平を訪ねて平塚らいてうを見かける、なんてことがあったかどうかはわからないが、そんなことがもしかしたらあったのかもしれない。

    漱石と小泉八雲の関係。
    日本が西洋とどう対峙していくかを顕わしているかのよう。

    どうしても近代社会になじむことができない漱石が、ロンドン留学中に神経症を発症したのは有名な話だが、『坊っちゃん』の中にも近代対古き良き日本の対立がある。
    漱石は古き良き日本に心を寄せてはいるのだが、結局近代化には勝てないことも知っている。

    西洋と日本を比べたら、日本は遅れている国である。
    はたして本当にそれだけなのか。
    日本には日本の良さがあるではないか。
    自分の意志であるのなら、絶対にイギリスへ行くことなどなかったというくらい外国嫌いの漱石が、生活のために英文学を教える。
    なんとか小説を書くだけで生活できないか計算する漱石。

    漱石にとって小説を執筆するということは、神経のささくれを寝かせるのに必要な行為だった。
    ただ自己の精神の解放と慰安が目的であった。
    漱石のセリフとして「根がしっかりしていてこそ、嘘話の葉も青々と繁る。こうすりゃよかった、ああすりゃもっとおもしろかったってね。言ってみりゃ小説なんざ。思い切りのすこぶるつきに悪い負け惜しみか、頭の屁みたいなもんだよ」とある。

    近代化のシンボルとして山縣有朋や桂太郎、伊集院影あきが登場。
    安重根や東条英機もチラリと出てきて、北原白秋、伊藤左千夫、国木田独歩なんかもそこら辺にいたりして、知らなかった明治がぎゅうぎゅうにつまったマンガなのである。
    236,237ページの写真(マンガだけど)が圧巻。

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著者プロフィール

1949年、新潟県生まれ。上智大学外国語学部中退。
1985年『海峡を越えたホームラン』で講談社ノンフィクション賞、1998年『「坊ちゃん」の時代』(共著)で手塚治虫文化賞、2001年『二葉亭四迷の明治四十一年』など明治以来の日本人の思想と行動原理を掘り下げた業績により司馬遼太郎賞、2003年『昭和が明るかった頃』で講談社エッセイ賞受賞。『ソウルの練習問題』『「ただの人」の人生』『中年シングル生活』『白樺たちの大正』『おじさんはなぜ時代小説が好きか』『汽車旅放浪記』『家族の昭和』『「解説」する文学』など著書多数。

「2015年 『子規、最後の八年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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