匣の中の失楽 (双葉文庫 た 22-1)

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  • 双葉社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (756ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575508475

感想・レビュー・書評

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  • 推理小説好きの集まりで、そのうちのひとりが仲間の実名をつかって小説を書くことを発表する。すると翌日、小説の構想なかで最初に殺される人物が実際に殺されてしまう。仲間は集まって各々の推理を披露するのだが…

    章が変わると、その殺された人物が小説として書かれた前章を読んでいる。そしてまた章が変わると、再び前章は小説の内容だったような構成をとる。虚構と現実が入り混じり、真相はどこにあるのか。『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』につづく「第四の奇書」。

    古今東西の知識の開陳、劇中劇、推理くらべといった上記の三冊の要素をすべて詰めこんだ、竹本健治のデビュー作にして「青春小説」。

    双葉文庫版では巻末に、綾辻行人との対談、本作を論じた多数の評論、創作ノートも収録されている。

  • 綾辻先生との対談、作品論集、創作ノート収録。

  • ひたすらに長い時間をかけて、ようやく読み終わった。四大奇書に含められていることは、他の方のレビューを見て知りました。不思議な空気がありますが、不快ではないです。ただ、とにかく読んでいて疲れました。☆は3にしましたが、もしかすると、一年後くらいにもう一度読み直せば、評価は変わってくるのかもしれません。

  • 最初に買った四大奇書の一冊。何故か途中で断念してんだよね。
    こーゆー形式の本って読んでて場面が訳分かんなくなってくからキツイんだよ。だがそれがいい、って話でもあるけど。実家に置いてあるのか、下宿先に持って来てんのかも分からない状態。多分下宿先なんだろうけど探すのしんどいしな。絶対読みたい本ではある。気合で探す。無かったらもう一冊買っても良いくらい。

  • 「匣と箱」
    現実なんてないのだし、
    フィクションなんてないのだ。
    この世は結局、匣の中。

    名作。

  • 実は読んだのはノベルス版なのですが、好きなミステリーを文庫で集めてるので、文庫版で登録しました。この本の復刊を希望します(笑)

  • ミステリ・マニアが密室で殺された。それは仲間の一人が書こうとしていた探偵小説を先取りしたかのような事件だった・・・。『ドグラ・マグラ』『黒死館殺人事件』『虚無への供物』に続く「第4の奇書」と呼ばれる本作品。綾辻行人氏との対談、作品論集、未公開の創作ノートを収録した永久保存版。
    (「BOOK」データベースより)

    これをミステリとしてよいのかどうかわからない。ただ、「奇書」ではある。三大奇書と呼ばれたもののうち、「ドグラ・マグラ」は「まんがで読破」シリーズでなぞった。原著は購入したまま未読。「黒死館殺人事件」も「まんがで読破」シリーズで購入。未読だが。「虚無への供物」はまだ出逢っていない。

    作中作の連続か?と最初は思った。読み進めるうちにどちらが現実でどちらがフィクションなのかわからなくなる。何が本当で何が創作? いや、全部創作なんだろうけれど、そう言う意味じゃなくて・・・。どうやって説明したらよいのかわからないような気分。
    読み始めてから長いことこの本に拘束されていた。いつも気がかりで。やっとそこから解放されたのだけれど、でも1度読んだからといって「はい、お終い」と放り出すことはできそうにない。2度読んだら納得できる、そんなものでもない。恐らく何度読んでも、その度に違う想いを抱いて本を閉じることになるだろう。だからこそ、「奇書」と呼ばれるのかもしれない。

    前述の三大奇書の影響は多分に受けているようだ。であればそれも読まずにいられない。そのあとでまた、この本をめくることになるだろうか。

    密室殺人がやたらと出てくる。「さかさまの密室」なるものも含めて。その謎を解こうとするミステリ・マニアたち。けれど、その謎解きが本書の本質ではないんだな・・・。謎解き自体はそれほど面白いものではないし、動機にも説得力はないし。それでももう一度読みたいと惹き付けられるのは、他の魅力があるから。全体的に流れている幻惑的な雰囲気・・・かな。

    まだ消化し切れてない。それが正直なところ。

  • 章を読み進めるたびに襲ってくるどんでん返しに打ちのめされるのが段々快感になってくる(笑)酩酊感を楽しんでいると言えば良いのか。
    作品の中に一貫してただよう雰囲気も好み。
    じっくり時間がある時に再読したい。

  • ミステリ・マニアが密室で殺害された仲間の書こうとした探偵小説と同じような状況で起こった殺人事件。
    仲間たちの推理合戦の中新たに起こる密室殺人事件。
    密室から消えた死体、密室に現れた死体。

     2009年5月11日購入

     2009年6月14日初読

  • ミステリマニア(総勢12人)の1人である卑間了が倉野貴訓の自宅で殺害された。密室で、しかも犯人は倉野が来る数分前まで居たような形跡がある。犯人は何故殺害後直ぐに逃走しなかったのだろうか。何時帰ってくるか判らない住人の帰宅を待ってたというわけでも無いはずなのに……。
    卑間の死の謎を解くために残された11人は互いに推理を始める。



    ※双葉文庫版は、本文の後に綾辻氏との対談・論評・創作ノートと、総数756頁に及びます。

    この作品は、「ドグラ・マグラ」「黒死館殺人事件」「虚無への供物」と並び称される戦後四大ミステリーのうちの一つで1977〜78年に書かれたものです。
    読了(論評含む)し、まず真っ先に思ったのが、虚無より後に読んだ方が良かった!とかなり後悔。
    というのも、この作品は虚無の影響を受けてるそうな。順番を間違えました。やっぱり時代の古いもの順に読めばよかったと、部屋に転がる虚無を恨めしげに見たり(笑)

    ミステリー界ではかなり有名な作品なので(解説などに良くこの4作品の名前が出ます)、知ってる人も多いと思うが、一応、ネタバレしそうな部分は伏せで行きます。

    12人という登場人物はさほど多く無いので、大抵は混同せずに読めるのですが、この作品に関しては(全員とは言いませんが)個々の特徴が薄く物凄く混同しやすい。
    ブツ切り的に読んだ影響と全体の構成の所為でもあると思うが、それにしても何度、人物一覧を見たことか。
    本章に入って直ぐに密室殺人事件が起こるので、展開が早いと思いきや、とんでも無い仕掛けがありました(笑)
    一種の叙述ですね。従って読んでる方は物凄く混乱します。流れ的には事件に対して、おのおのが推理をするという趣向なので、「だから犯人は誰よ」と突っ込みいれたくなりますが、読んでて飽きない。鏤められた作者の細かなこだわりはとても面白く読めます。密室のタネ自体は驚くようなものでは無いが、九星の絡め方がとても好きですね。物凄く計算されて作られてますから。
    それに登場人物の名前も全て人形を表す名前だし。(例:根戸真理夫=マリオネット 卑間了=ピグマリオン...など)
    でも、やっぱりなんと言っても、この構成に勝るものは無いですね。不連続線を根底に進められてゆくこの作品は眩暈感たっぷりです。読んでる最中は何度もマトリョーシカを思い浮かべました。

    ネタバレしても良いという人はどぞ↓
    【1章を読み終わって、2章に入った瞬間、なるほどと。そして3章に入ってなんぢゃこれ!?と思いました(笑)
    2章で1章がナイルズ(片城成)の書いた小説だという事で、作中作とすんなり頭に入って来るまではいいのだが、3章は1章の設定になる。そうすると作中作は2章・・・?と混乱した。そして4章は2章の設定になり……と本当にワケがわからなくなる。勿論、事件も増えてゆくわけですから、めまい感爆発という感じ。
    まぁ、偶数章の事件解明はされて居ないので、偶数章が虚構で、奇数章が現実と判断したのだが・・・これもかなり怪しい(笑)
    密室の解明は目新しく無いし、肝心なことを話して無いから、そりゃあわからんぞ。という部分はあるが、それを簡単にスルーできるほどこの構成の強さがある。
    これで、偶数章の事件も解明されてたら、全く虚構と現実の区別がわからんぞ。と思い、いっそのこと全て解明してよ。とか読了後直ぐに思ったのだが、改めて考えると解明されてたら、単なる別次元の話2本という感じになるので、ここで止めてるのがベストだなと。
    それに解明されちゃうと、最終章の意味が全くなさなくなるし(最終章は序章にリンクしてるので)。
    微妙に尻切れ蜻蛉の感じは受け、どこかに騙されたという気持ちで悶々とするのだがこの設定(構成)は目から鱗という感じ。】

    これが処女作で、しかも21・2歳で書いたのかよ!?と驚きのあまり倒れそうになりました。
    でもまぁ、好き嫌いはかなりありますね。
    私みたいにメタものが好きな人にはお勧めですけど。

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著者プロフィール

竹本健治:
一九五四年兵庫県生れ。佐賀県在住。中井英夫の推薦を受け、大学在学中に『匣の中の失楽』を探偵小説専門誌「幻影城」上で連載。デビュー作となった同書は三大奇書になぞらえ「第四の奇書」と呼ばれた。
ミステリ・SF・ホラーと作風は幅広く、代表作には『囲碁殺人事件』『将棋殺人事件』『トランプ殺人事件』の「ゲーム三部作」をはじめとする天才囲碁棋士・牧場智久を探偵役としたシリーズや、自身を含む実在の作家たちが登場するメタ小説「ウロボロス」シリーズなどがある。近著に大作『闇に用いる力学』。

「2022年 『竹本健治・選 変格ミステリ傑作選【戦後篇Ⅰ】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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